更新日: 2022.11.17 働き方

2022年10月から社会保険の適用範囲が拡大。パートやアルバイトで働く人はどう変わる?

2022年10月から社会保険の適用範囲が拡大。パートやアルバイトで働く人はどう変わる?
2022年10月に社会保険の適用範囲が拡大されました。これにより、今までは社会保険に未加入だったパートやアルバイトの人において、勤務内容に変更はなくとも、社会保険への加入が必要となるケースが生じています。
 
では、社会保険への加入が必要となることで、パートやアルバイトの人にはどのような影響が出てくるのでしょうか? 解説していきます。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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社会保険の適用拡大の対象は?

ここでいう社会保険とは、主に「厚生年金保険」や「健康保険」のことをいいます。同じ事業所で働く正社員が加入しているからといって、非正規社員のパートやアルバイトの人が必ずしも社会保険に加入しているとは限りません。
 
社会保険については、以前から、適用事業所におけるパート勤務の場合、週の所定労働時間数と月の所定労働日数が正社員のおおむね4分の3以上であれば、加入が義務付けられていました。
 
前回2016年10月に実施された社会保険の適用拡大では、被保険者の総数が「常時500人超」の事業所が対象となり、社会保険適用条件の「労働時間」や「賃金」「勤務期間」についても見直しが実施されました。
 
今回2022年10月の改正では適用範囲がさらに拡大され、被保険者の総数が「常時100人超」の事業所が対象となり、「勤務期間」の条件についても見直しが実施されています。
 
【図表1】
 

 
出典:日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」適用要件早見表
 

社会保険加入のメリットとデメリット

勤務内容は今までと変わらなくとも、社会保険の適用拡大によって、勤務する事業所や勤務内容が適用要件に該当した場合、社会保険に加入することとなります。
 
では、社会保険に加入することで、どのようなメリットやデメリットが生じるのでしょうか?
 

社会保険加入のメリット

社会保険への加入には、以下のようなメリットが考えられます。
 

●老齢厚生年金が上乗せされることで将来の年金額が増える
●厚生年金により、要件を満たすことで遺族厚生年金や障害厚生年金を受給できる
●健康保険により、要件を満たすことで傷病手当金や出産手当金などを受給できる
●社会保険料は勤務先の会社に半分負担してもらえる

 

社会保険加入のデメリット

一方で、社会保険への加入によって社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)の負担が増えるといったデメリットもあります。
 
年収が130万円未満で、これまでは配偶者の被扶養者だった人でも、勤務先の事業所が適用対象となり、かつ年収106万円(月額8万8000円)以上など要件を満たすと、本人が社会保険の加入対象になります。
 
配偶者の扶養の範囲内で働いてきたパート勤務の場合、社会保険加入前は配偶者に扶養されていることによりゼロだった保険料の負担が、加入後は発生することになります。
 
例えば、月額給与が9万円の40歳パート勤務の場合、社会保険に加入することで扶養から外れ、自身で負担する社会保険料は図表2のようになります。
 
【図表2:社会保険加入前と加入後の社会保険料(月額)】
 

加入前 加入後
厚生年金保険料 0円 8052円
健康保険料 0円 5038円
合計1万3090円

 
※全国健康保険協会 「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」より筆者試算・作成
 
また、配偶者が勤務先から家族手当などを支給されている場合、配偶者の扶養から外れることにより、それらの手当が支給されなくなる可能性もあります。社会保険加入の際は、配偶者の勤務先に関しても確認するようにしましょう。
 
なお、それまで国民年金や国民健康保険の保険料を納付していた人であれば、社会保険加入後の保険料が必ずしも負担増になるとは限らず、逆に負担が減ることもあります。
 

まとめ

社会保険への加入は、メリットもあればデメリットもあります。社会保険料により家計負担が増える一方で、将来の年金や万が一の保障などは手厚くなるといった良い点もあります。
 
社会保険に加入するのかどうか、家計の状況をよく確認しながら、働き方を調整していくようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)

 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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