更新日: 2022.10.30 働き方
副業の所得は「事業所得」と「雑所得」のどちらにするかで大きく違う? 所得区分に違いで生じる税金事情とは?
本来の給与とは別に報酬を得る場合、申告や税務について疑問を持つことも少なくないでしょう。
そこで今回は、副業の所得と税金の関係について解説します。主に事業所得と雑所得について、それぞれの概要と税務のポイントについてまとめていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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事業所等と雑所得の違いとは?
所得の種類はさまざまありますが、会社員が副業で収入を得た場合の所得は、主に「雑所得」に該当します。
事業所得になることもありますが、ここからは事業所得と雑所得の違いについて解説します。
事業所得とは主に個人事業者等が事業で得た所得
国税庁によると、事業所得とは、農業、漁業、製造業、小売業、サービス業そのほかの事業を営んでいる人の、その事業から生ずる所得をいいます。主に個人事業者などが事業で得た所得のことです。事業所得の金額は、次の計算式で求めます。
総収入金額-必要経費=事業所得
なお、「総収入金額」とは事業で得た所得のことで、「必要経費」とは所得を得るために消費した経費のことです。
会社員が副業で得た収入のほとんどは「雑所得」に該当
雑所得とは、次の8つの所得を除いた所得のことを指します。
●給与所得
●利子所得
●配当所得
●不動産所得
●事業所得
●退職所得
●山林所得
●譲渡所得および一時所得
雑所得の例としては、次のものがあります。
●公的年金
●個人として単発で依頼された原稿料や講師料
●オークションやフリーマーケットの利益
通常であれば、会社員が副業の範囲で得た所得は雑所得です。しかし、事業的規模で所得を得ている場合には、会社員であっても事業所得とみなされる場合があります。
自身の所得について、どちらになるか不安な場合は、税理士や税務署へ相談しましょう。
会社員が事業所得として申告する場合のメリット
会社員の副業に関しては、ほとんどが雑所得になります。ごく一部ですが、事業的規模で所得を得ているとみなされた場合には、事業所得になることがあります。
雑所得とするよりも、事業所得として申告した方が受けられるメリットもあるため、事前に税務署等に確認し、事業所得に該当するのであれば検討しましょう。
給与所得者が事業所得で申告するメリット
会社員が事業所得として申告するメリットとしては、給与所得などとの損益通算が可能なことです。
副業で赤字が出ている場合でも、ほかの給与所得などから赤字分の控除が可能なため、税制面のメリットがあります。
このほか、事業所得として申告することで、以下の税制優遇が受けられます。なお、損益通算や以下の優遇は、雑所得には適用されません。
●青色特別申告控除[55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円]
●青色事業専従者給与
●純損失の繰り越しと繰り戻し
●30万円未満の少額減価償却資産の特例
まとめ
繰り返しになりますが、ほとんどの場合で会社員の副業は雑所得になります。そのため、事業所得で申告することは、かなりのハードルがあることを覚えておきましょう。
どうしても事業所得として申告する場合には、事前に税務署などへ相談し、確認するなどしておくと安心です。その上で、事業所得であれば受けられる税制優遇があります。
税務に関しては細かい規定もありますので、自身だけで解決せず、あらかじめ税理士や税務署など専門機関へ相談の上、進めるようにしましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1350 事業所得
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1500 雑所得
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部