更新日: 2022.10.23 家計の見直し
ひとり暮らしの電気代は「新電力」でどれくらい安くなる?
世帯人数が多ければ多いほど節約効果は高くなりますが、ひとり暮らしではどれほどの節約効果があるのでしょうか。
ここでは、ひとり暮らしの人が新電力に替えるといくら安くなるのか解説します。
新電力とは
家庭用の新電力は、正式には「小売電気事業者」といいます。自由化までは大手の電力会社が「発電」「送配電」「小売」の3部門を独占していましたが、2016年4月以降は小売部門のみ全面自由化されています。
発電部門や送配電は引き続き大手の電力会社が担うため、新電力に切り替えても電気供給の質に影響が出ることはありません。電気料金は新電力会社によって差があり、大手の電力会社より安い会社だけでなく、高い会社もあります。
ひとり暮らしの人が新電力を選ぶときの注意点
ひとり暮らしの人が新電力を選ぶ場合は、部屋のアンペア数を必ず確認しましょう。新電力によっては、ワンルームでよく見られる20A(アンペア)以下では契約できない会社があります。
集合住宅でもアンペア数は変更できますが、管理会社や大家さんに許可を取らなければいけません。電気工事が必要な場合は工事費用もかかるため、現実的ではないでしょう。
契約アンペア数が20Aの部屋に住んでいる人は、契約できる新電力は限られます。
ひとり暮らしの電気代を新電力と大手の電力会社で比較
ひとり暮らしの電気代は、新電力に変えることでどれくらい安くなるのでしょうか。総務省統計局の調査結果によると、単身世帯の毎月の電気代は平均5482円です。
契約している電力会社によりますが、毎月の平均電力使用量は180kWh(キロワットアワー)前後と推計されます。20Aの契約数で180kWh使用した場合、東京電力と、とある新電力会社との料金差は以下の通りです。なお、燃料調整額は1kWh当たり5円とします。
・基本料金:572円
・電力量料金:3974円
・燃料調整額:900円
合計:5446円
・基本料金:535円
・電力量料金:3902円
・燃料調整額:900円
合計:5337円
毎月の料金は109円、年間1308円安くなります。ただし、新電力会社の料金プランによっては、試算した金額より高くなる場合もあるでしょう。
ひとり暮らしには新電力による節約効果は乏しい
電気料金は使用する電力量によって決まるので、使用する電力量が少ないひとり暮らしでは、大手の電力会社から新電力に契約を変えてもそれほど大きな節約効果が望めない場合もあるでしょう。
新電力の中には、「燃料調整額の上限がない会社」や、「上限を撤廃した会社」もあります。料金体系をよく調べずに新電力会社と契約すると、逆に電気料金が高くなる可能性もあるでしょう。
ひとり暮らしなら、節約すべき費用は他にあります。節約したいのであれば、通信費や家賃などの固定費を削減したほうが節約効果を見込めることもあります。携帯電話を格安SIMに契約変更したり、今より少し家賃が安い部屋に引っ越したりすれば、毎月2000円~1万円程度の節約が可能です。
まずは、あまり大きな節約効果が見込めない電気代より、毎月節約できる金額が大きい固定費に注目しましょう。
出典
総務省統計局 2021年家計調査(単身世帯)
東京電力エナジーパートナー株式会社 従量電灯B・C
東京電力エナジーパートナー株式会社 燃料費調整のお知らせ(2022年10月分)
執筆者:北川真大
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種