更新日: 2022.10.12 働き方

【2022年10月から】「扶養内で働く」条件は「社会保険適用拡大」でどう変わる?

【2022年10月から】「扶養内で働く」条件は「社会保険適用拡大」でどう変わる?
社会保険の適用範囲が2022年10月から拡大されました。
 
この制度変更は事業者のみならず、扶養内で勤務している人に大きな影響を及ぼすものです。被扶養者として働きたいと思っているなら、これまで以上に条件をしっかり理解しなければなりません。
 
本記事では、最初に2022年9月以前の状況について紹介し、そこから条件がどのように変わったのか具体的に解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

2022年9月以前の状況

扶養内で働くのは、健康保険や年金といった社会保険に関する支払いを抑えるためであり、雇用保険と直接的な関係はありません。それにもかかわらず、2022年10月に被扶養者でいるための条件が変わったのは、雇用保険適用拡大と同時に社会保険の適用範囲も広がったからです。
 
既存の条件として、130万円未満という年収の基準を知っている人は多いでしょう。その基準自体は残り続けていますが、適用拡大は今回だけでなく、すでに数回にわたって実施されています。
 
特に大きな影響があったのは2016年10月に施行されたものです。従業員が500人超の企業に関して、週の労働時間が20時間以上で、月額賃金が8万8000円以上の人は加入対象者になりました。ただし、学生は除外されており、1年以上の勤務期間が見込まれる従業員に限定されています。
 
この変更によって、扶養内で勤務していた多くの人が働き方の見直しを余儀なくされました。年収が130万円未満になるように調整していても例外ではありません。
 
そして、2017年4月の施行によって、扶養から外れる人がさらに増えました。労使の合意があるなら、従業員が500人以下の企業でも適用されるようになったのです。
 

従業員数の条件が100人に減少

上記のように、扶養内で働ける条件は段階的に厳しくなっています。いわゆる「130万円の壁」を取り除くことで、積極的な労働意欲を喚起することが狙いです。国はこの方針を継続しており、2022年10月からは一気に保険適用の範囲を広げました。
 
最大の変化は、従業員数に関する基準が500人から100人に引き下げられたことです。つまり、101人以上なら該当するので、それまで対象外だった多くの中小企業に影響があります。働く側にとっては、被扶養者の条件が「100人以下の企業に雇用されて年収が130万円未満」に変わりました。
 

雇用期間の条件が2ヶ月に短縮

2022年10月以降でも、労働時間や収入に関する保険適用の基準は維持されています。つまり、週に20時間以上働いて、8万8000円以上の月額賃金を得ている人が加入対象者です。また、2022年9月以前と同様に、学生はそこから除外されています。よって、「週の労働時間が20時間未満」「月額賃金が8万8000円未満」「学生である」の3点は扶養内で働ける条件のままです。
 
一方、雇用期間に関しては事情が変わったので注意しましょう。これまでは1年以上の雇用期間が見込まれる場合のみ加入するルールでしたが、それが2ヶ月超に短縮されたのです。したがって、上記の条件に「見込まれる雇用期間が2ヶ月以下」を加えて考えなければなりません。
 
つまり、「被保険者の総数が常時100人を超える事業所で働いている」「週に20時間以上働いている」「8万8000円以上の月額賃金を得ている」「学生ではない」「2ヶ月を超えて使用される見込みがある」という場合は社会保険の被保険者になるのです。
 

正しい条件を把握して適切に判断しよう!


 
2022年10月からの社会保険適用拡大は、扶養内で働く人にとって注意を要する事柄です。特に従業員数や勤務期間に関する条件が変わったので、それらの詳細をチェックすることが欠かせません。
 
労働時間や収入についての条件に変化はありませんが、この機会にあらためて確認しておきましょう。扶養から外れて働くことも選択肢の一つであり、いずれにせよ情報を早めに把握して適切な判断をする必要があります。
 

出典

厚生労働省 被用者保険の適用拡大について
厚生労働省 厚生労働省関係の主な制度変更(令和4年10月)について
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第9 被用者保険の適用拡大
日本年金機構 令和4年10月から短時間労働者の適用拡大・育休免除の見直し等が行われます
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集