更新日: 2022.10.06 働き方
残業代はどうやって計算されている?
しかし、適正な残業代が支払われているかどうかを確認するためにも、残業代の計算方法について知っておくことをおすすめします。
今回は、残業代の計算方法について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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残業とは
残業とは従業員が所定労働時間を超えて働いた場合に、その超えた部分の時間(残業時間)のことです。例えば、勤務時間が8時から17時までの会社で20時まで働いた場合には、3時間分の残業代が支給されます。
所定労働時間とは
所定労働時間とは会社が独自に定めている労働時間のことで、就業規則や労働契約書に記載されている、休憩時間を除く始業から就業までの時間です。
法定労働時間とは
労働基準法第32条第1項に定められている、次の労働時間の上限のことをいいます。
・1日8時間
・週40時間
なお、上の所定労働時間は、法定労働時間内で定めなければなりません。例えば、始業7時就業17時(うち休憩1時間)では、1日の労働時間が9時間になってしまうため、所定労働時間として設定することはできないということです。
残業代とは
残業代は従業員の残業時間に応じて会社が支払う手当をいい、給与に上乗せされて支給されます。給与明細には「残業手当」や「時間外手当」の項目で記載されていることが多いです。
残業代は、「法定内残業」と「法定外残業」に大別され、割増賃金の要否が異なります。
法定内残業とは法定労働時間を超えない残業
法定内残業とは、所定労働時間を超えているけれども、法定労働時間まで達していない残業をいいます。
法定内残業に対しても残業代が支払われるのが一般的ではありますが、法定外残業で解説する割増し賃金にする必要はありません。例えば、1時間当たりの賃金が1500円で、法定内残業が5時間あった場合の残業代は7500円ということになります。
なお、法定内残業の場合には、残業代が支払われなくても労働基準法違反にはあたりません。
法定外残業とは法定労働時間を超えた残業
法定内残業に対して法定外残業とは、法定労働時間である1日8時間・週40時間を超える残業をいいます。
法定外残業については、労働基準法で25%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。例えば、1時間当たりの賃金が1500円の場合には、1500円×1.25=1875円以上で残業代が計算されていなければなりません。
残業代を計算してみよう
それでは、本題である残業代の計算を具体的に解説していきます。
残業代はまず、1時間当たりの賃金を算出します。そして、法定内残業はそのまま1時間当たりの賃金を使用し、法定外残業は割増賃金にして残業代を計算する流れになります。
それでは、次の条件における残業代を計算してみましょう。
・月給:21万600円
・1日の所定労働時間:8時~17時(うち休憩1時間)
・所定年間休日:122日
・残業時間:20時間(法定内残業10時間・法定外残業10時間)
1時間当たりの賃金を計算
1時間当たりの賃金は、次の算式で計算します。
月給/1年間における1ヶ月の平均所定労働時間
これに上の条件を当てはめると、1時間当たりの賃金は1300円ということになります。
21万600円/{(365日-122日)×8時間/12ヶ月}=1300円
法定内残業代を計算
法定内残業については賃金を割増しする必要はないため、1時間当たりの賃金にそのまま残業時間を乗じます。
1300円×10時間=1万3000円
法定外残業代を計算
法定外残業については、1時間当たりの賃金を25%増させた上で、残業時間を乗じます。
1300円×1.25×10時間=1万6250円
法定内残業と法定外残業を合計
最後に、法定内残業と法定外残業を合計して残業代を算出します。
1万3000円+1万6250円=2万9250円
その他の割増率
残業による賃金の割増率は、法定外残業の25%だけではありません。法定労働時間を超過した時間数、休日出勤、深夜残業ごとにそれぞれ定められています。
残業の種類 | 条件 | 割増率 |
---|---|---|
時間外 | 法定労働時間を超えた場合 | 25%以上 |
残業時間が限度時間(月45時間・年360時間など)を超えた場合 | 25%以上 | |
残業時間が月60時間を超えた場合 | 50%以上※ | |
休日 | 週1日の法定休日に出勤した場合 | 35%以上 |
深夜 | 22時から翌朝5時までの間に労働した場合 | 25%以上 |
東京労働局 しっかりマスター労働基準法割増賃金編より筆者作成
※中小企業については現在は25%以上ですが、2023年4月1日以降は50%に改正されます。
まとめ
残業代は、まず1時間当たりの賃金を計算することから始まります。法定内残業の場合には1時間当たりの賃金をそのまま乗じ、法定外残業には割増率を乗じた上で計算しましょう。
60時間を超えての残業や、法定休日には25%より高い割増率が定められているため、きちんと適用されているか確認してみると良いでしょう。
出典
東京労働局 しっかりマスター労働基準法割増賃金編
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部