更新日: 2024.10.07 ライフプラン
第一子、第二子の子どもの間で発生する教育費の格差を考える
これについて考えてみましょう。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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平等かどうかは金額ではなく支援内容で考える
兄弟姉妹でも、キャリアパス、やりたいことは人それぞれです。そして、そのゴールに向けた発射台を親が整えるにあたって、ゴールが違うのですから必然的に準備にかかる費用(教育費)も変わります。
医者になりたいといって医学部を目指すのであれば、大学だけで2000万円~3000万円は軽くかかってしまいますし、大学に入学するまでの高校や塾代などでも相当の負担になります。
かたや職人を目指して、中学あるいは高校卒業後に就職、親方の元で今風でいうOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)をやっていけば、ほとんど義務教育にかかる費用にとどまることになるでしょう。
このような兄弟姉妹の例は珍しくないと思います。その際に、片方には多額の教育費を、片方にはほとんどかけなかったというのは、むしろ当然の結果といえるでしょう。
これに対してうしろめたさを親が感じる必要はまったくないでしょう。問題は金額面での平等ではなく、子どもが将来に独り立ちする力をつける支援の平等です。
支援内容と金額の調整は遺産分割で行う
しかしながら「同じように将来の独り立ちに向けて支援をした」といっても、金額というわかりやすい数字で考えると、平等ではないという結果になります。その帳尻合わせは、遺産分割という機会が提供してくれます。
相続が発生したとき、法律的には兄弟間で均等に分割するといわれていますが、正しく書いた遺言書があればその内容が優先されます。
そこに教育費での金額面における不平等を調整する意味で、あらかじめ記載しておけば問題発生を回避できます。
遺言書について言及するのをタブー視しない
最近、エンディングノートが話題になりますが、正式に認められる遺言書はフォーマットも厳格に決められているので、まったく異質です。
エンディングノートに書いたからいい、というものではありません。教育費の不公平感が気になっているのであれば、今すぐにでも正式な書式の遺言書を子どもたちへの思いを込めて用意しておくべきでしょう。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表