更新日: 2022.09.11 働き方

会社から夏休みは「有給」で休むようにいわれました。これって違法ですか?

会社から夏休みは「有給」で休むようにいわれました。これって違法ですか?
夏季休暇は法律によって定められているものではなく、会社によって日数や時期が異なります。しかし「うちの会社は夏休みを有給で取ることになっているからそのつもりで」と告げられたら、「違和感」を持つのではないでしょうか。
 
この記事では、年次有給休暇を使って夏季休暇を取ることは法律に違反するのかについて、労働基準法の内容を元に解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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会社が強制して有休を使わせるのは違法

年次有給休暇は、一定期間勤続している労働者が付与される休暇のことで、賃金を減額されることなく休むことができる権利です。「労働者が請求する時季」に与えることが労働基準法に定められています。権利の行使は労働者自身が決めるものなので、会社が夏季休暇に有休を充てることを強制するのは違法です。
 

会社が付与日を決めて有給休暇を取得させる「計画付与」

会社が付与日を決めて有給休暇を取得させることができる「計画付与」という制度があります。
 
これは、自由に取得できる5日間の有給休暇を残せば、残りを計画的に付与することができるもので、労働基準法で定められています。実施するには労使協定の合意や就業規則への明記、対象者への周知などが必要で、取り決めがないにもかかわらず企業が一方的に行うのは違法です。
 
計画付与には、全社が一斉に休業する「一斉付与」や交代で休暇を取る「交代制付与」、個人が計画的に取得する「個人別付与」といった取得方法があります。
 
一般的に、夏季休暇はお盆の時期に合わせて帰省したり墓参りをしたりする日本の風習に合わせて8月13日から15日を中心に設定されることが多いですが、その前後が飛び石連休になっている場合などに計画付与を行う場合もあります。
 

有給休暇を取る時季を変更する「時季変更権」

夏季休暇は会社が独自に設けるもので、法律で義務付けられた休暇ではありません。「夏季休暇を設けない」と会社が定めているのなら、それは違法ではないのです。会社が強制的に有休を夏季休暇として使わせるのは違法ですが、会社が定めた夏季休暇に労働者自身が有給休暇を足して長期休暇を取ることは法律的に問題ありません。こうした方法で夏に長期休暇を取得した経験がある人も多いでしょう。
 
ただし、有給休暇を取りたい時期が繁忙期に当たり、会社運営が妨げられるといった正当な理由がある場合、会社は、有給休暇を取得する時季を変更する「時季変更権」を行使することができます。
 
会社が時季変更権を行使したにもかかわらず、労働者が休暇取得を強行した場合、その期間の賃金が支払われなかったり、出勤を拒否したとして懲戒処分を科されたりする可能性があるので注意が必要です。
 
時季変更権は、事業の正常な運営を妨げる場合に認められるため、安易に行使できるものではありません。どうしてもその時期に有給休暇を取りたい場合は、会社に相談してみるとよいでしょう。
 

有給休暇の強制は違法だが、労使の合意があれば一斉取得させることが可能なケースも

会社が労働者に有給休暇を使って夏季休暇を取るように強制するのは違法です。会社が有給休暇を一斉に取得させる「計画付与」は労使の合意があり、さまざまな条件を満たした場合のみ認められます。会社が定める夏季休暇に自主的に有給休暇をプラスして長期休暇にすることは法律的に可能ですが、労働者側にも繁忙期を避けるなどの配慮が必要です。
 

出典

厚生労働省 労働基準法第39条(年次有給休暇)について

厚生労働省 年次有給休暇取得促進特設サイト

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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