収入に対する貯蓄の割合はどれくらいが理想? 年収別にチェック
配信日: 2022.09.11
この記事では、平均的な貯蓄率と理想の貯蓄をするための考え方について解説します。
執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。
労者世帯の平均貯蓄率
総務省の家計調査によると、2021年時点で、勤労者世帯の年間収入に対する平均貯蓄率は下記表のとおりになっています。
<勤労者世帯の年間収入別の平均貯蓄率(2021年調査)>
年間収入(万円) | 357 | 537 | 673 | 844 | 1,275 |
---|---|---|---|---|---|
貯蓄純増 (平均貯蓄率)(%) |
22.9 | 29.8 | 32.2 | 36.0 | 40.7 |
(出典) e-stat 家計調査 2 年間収入五分位・十分位階級別(総務省)を基に筆者作成
平均貯蓄率は収入に対して2~4割となっており、意外に高いという印象を受ける方も多いのではないでしょうか。
平均よりも低い貯蓄率の方は「このままで大丈夫だろうか」と心配になるかもしれませんが、こちらの貯蓄率はあくまでも平均的なものであり、平均を下回るからといって過度に悲観する必要はありません。おのおのにとって理想の貯蓄率は、今後のライフイベントにどれだけのお金がかかるかによっても変わってきます。
今後お金が必要なライフイベントを書き出してみる
多くの日本人は「貯蓄が大切だ」ということは漠然と理解しています。しかし、貯蓄の目的を明確にしていない方は多いのではないでしょうか。貯蓄の目的と目標金額を決めないと、貯蓄の過不足が生じる可能性があります。
理想の貯蓄率は、目標金額から逆算して必要金額を計算することで求められます。目標金額を決めるためにも、今後のライフイベントを書き出してみましょう。
ライフイベントと目標金額の例
子どもの教育費用、住宅購入資金、老後生活資金は人生の三大支出といわれており、お金がかかるライフイベントの代表的なものとして頻繁に取り上げられます。
例えば、子どもの教育費用のうち、大学の学費が500万円かかると仮定します。もし、その金額を10年で貯めるなら、年間で50万円、月に4万1666円の貯蓄が必要になります。月収が40万円の方であれば、収入に対する貯蓄率は10%以上必要です。仮に、住宅購入のための頭金や老後生活資金のための貯蓄に対しても同程度の金額が必要だとしたら、必要な貯蓄率は30%以上にまで膨らみます。
このように、ライフイベントごとに目標金額を決め、必要な貯蓄率を合計することで、過不足のない理想の貯蓄率を計算することができます。
なお、ライフベントが20年先ないしは30年先のように、時間が十分に確保できる場合は、投資によって効率的に資産形成ができる可能性もあります。「増える」という前提があれば、必要な貯蓄額は多少抑えられるかもしれません。ただし、投資にはリスクがあることを念頭に置く必要があります。
キャッシュフロー表を作成する
ライフイベントは、頭で考えているだけではなかなか思い浮かばないものです。そのような方には、キャッシュフロー表の作成をお勧めします。
キャッシュフロー表とは、年間の収支と貯蓄額を時系列に記載した年表のことです。キャッシュフロー表を作成するためには、ライフイベントを書き込む必要があります。キャッシュフロー表を作成しながら自身の理想の生活を想像してみると、徐々に具体的なライフイベントが浮かんでくるのではないでしょうか。
出典
e-stat 家計調査 2 年間収入五分位・十分位階級別(総務省)
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)