更新日: 2022.08.29 働き方
小規模企業共済、フリーランスなら入っておくべき? メリットとデメリットは?
本記事では、小規模企業共済がフリーランスに有益なのか説明し、具体的なメリットやデメリットも紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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制度を理解して加入を検討
小規模企業共済の制度には長い歴史があり、その起源は昭和40年にまでさかのぼります。経営者や個人事業主が仕事を辞めても退職金は支給されません。廃業後は生活や事業再建の資金が不足しがちであり、救済措置を講じる必要性が議論されるようになったのです。
小規模企業の経営者や個人事業主は会社員とは異なり、労働保険などの恩恵が少なく、社会保障が不平等という風潮もあります。それらを受けて設立されたのが本制度であり、積み立てた掛金に応じて、退職金の代わりに共済金が支給されます。
このようなコンセプトを理解して、小規模企業共済を頼りにしている人は少なくありません。独立行政法人中小企業基盤整備機構の発表によると、2022年3月の時点で加入者は約159万人にも及びます。
個人事業主として活動しているフリーランスも対象なので、利用を前向きに検討するとよいでしょう。ただし、後述するメリットとデメリットを念頭に置いて、自分にとっての加入の是非を判断する必要があります。
どのようなメリットがあるのか?
退職金の役割を果たすこと以外にも、小規模企業共済には魅力的なメリットがあります。以下に代表的な2点を挙げるのでチェックしておきましょう。
・所得控除の適用
小規模企業共済の掛金は1000~7万円まで500円単位で自由に設定が可能です。いずれの金額に設定した場合でも、全額が所得控除(小規模企業等掛金控除)の対象になるため確定申告における課税対象額から差し引けます。毎年、課税対象所得の控除に使えるため、事業を営んでいくうえで節税効果はとても大きいです。
・貸付制度の利用
事業資金の貸付制度を利用できることもメリットの一つです。積み立てた掛金の範囲に限られますが、契約者は低金利で融資を受けられます。新規事業展開や事業承継をはじめとして、さまざまな用途のものが存在するため、事業の状況に合わせて選択できます。
デメリットの把握も必要!
小規模企業共済にはデメリットもあるので、あらかじめ理解しておくことが大事です。
・掛け捨てになる場合がある
加入している期間が12ヶ月を下回っていると共済金を受け取れません。いわゆる掛け捨ての状態になってしまい、その分を廃業に備えて残しておいたほうがよかったと思う人もいるでしょう。加入を決断する前に、少なくとも1年は事業を継続できそうかということを検討する必要があります。
・元本割れとなる場合がある
掛金の納付月数が240ヶ月未満の場合、共済金が掛金の合計より少なくなります。つまり、元本割れとよばれる状況になるため、廃業までの節税効果をふまえても、総合的に損をするリスクがあるのです。対策としては、投資のような別の手段も併用し、当面の資金を確保しておくことが挙げられます。
魅力的な小規模企業共済! 総合的な視点で判断しよう
フリーランスにとって、小規模企業共済は退職金制度に該当します。そのため、利用を検討する価値はありますが、あらゆる観点で総合的に判断しなければなりません。所得控除のメリットや掛け捨てのデメリットなどを理解することがポイントです。そのうえで魅力的だと感じるなら、安心して事業を営むために加入しておくとよいでしょう。
出典
独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 沿革
独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小機構とは
独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 制度の概要
独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 掛金について
独立行政法人中小企業基盤整備機構 小規模企業共済 共済金(解約手当金)について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部