更新日: 2022.08.28 働き方

サービス残業代、後から請求できる? 請求するには何が必要になる?

サービス残業代、後から請求できる? 請求するには何が必要になる?
会社の繁忙期などに、上司の指示で残業や休日出勤で対応したのに、サービス残業にさせられてしまった経験はないでしょうか?
 
それは本来「サービス」では片づけられない、会社の違法行為です。働いた分は、給料という正当な対価を受け取ることが、従業員に認められた権利です。
 
では、残業代などの正当な対価を受け取れていない場合、後で請求できるのでしょうか? ここでは、請求ができるのかどうかと、請求のために必要なものを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

サービス残業とは、残業代や休日出勤代などが「未払い」の状態のこと

会社に勤めている従業員は、1日あたり8時間以内、1週間あたり40時間以内の労働時間が定められています。
 
そして、36協定が締結・届け出られていれば、原則、月45時間、年間360時間を上限として、労働者の時間外労働が認められています。
 
もしも、法定労働時間を超えて働いたなら、それは時間外労働です。会社は「時間外手当」として、通常の給料に上乗せした割増賃金を従業員に支払う義務を負います。
 
時間外手当の割増賃金が発生する場面は、1日の労働時間を超えて会社に居残って働く「残業」だけでなく、休日と指定された日に働く「休日出勤」のほか、就業規則などによっては、定められた勤務開始時間よりも早い出勤を命じられた「早出」も含まれます。
 
もしもこれらの時間外労働を会社に申請しているにもかかわらず、時間外手当が支払われていなければ、いわゆる「サービス残業」という違法状態です。
 
なお、労働条件の決定やそのほか労務管理について、経営者と一体的な立場にある「管理監督者」は、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日に関する制限を受けません(労働基準法41条2号)。
 

サービス残業代を請求できる期間には制限がある

未払いのサービス残業代は、後になって会社に請求することができます。会社のために働く従業員の正当な権利です。
 
サービス残業代の請求権は、2年で時効となり消滅するとされていましたが、2020年4月以降は労働基準法の改正により、当面は3年に延長されました。そのため、3年以内に請求しておけば確実といえるでしょう。
 

サービス残業代の請求には、何が必要?

必要となるのは「証拠」です。その日、その時間に、あなたが会社で働いていたことを、客観的に裏付けられるものが求められます。
 
代表的な証拠はタイムカードです。しかし、タイムカードを押した後に残業させている悪質な会社もありますので、デスクワークであれば、PCのログイン・ログアウト日時を証拠とすることもひとつの方法です。
 
また、業務日報に労働時間が書かれている場合、上司の承認印が押されていれば、これも証拠として使えます。会社のオフィスビルの入退出がIDカードで管理されている場合は、その記録も証拠にすることができます。
 
会社にサービス残業代を請求する場合は、弁護士に依頼するのが確実です。しかし、まずは「内容証明郵便」を使って、自分で会社に要求してみましょう。
 
会社が内容証明郵便に応じる義務はありませんが、書かれた文章が正当なら、請求に応じて支払ってもらえる場合もあります。そうすれば、問題が早く解決し、弁護士報酬も節約できます。内容証明郵便で応じてもらえないときに、初めて弁護士に相談しても遅くはありません。
 

ブラック企業には要注意

今どき、サービス残業が横行する会社は、「ブラック」と呼ばれても仕方ありません。残業代の未払いは、労働基準法に違反するだけでなく、従業員と結んだ労働契約にも違反しているのです。
 
サービス残業は単なるお金の問題にとどまりません。長時間労働は心身に支障をきたすおそれもあり、数ヶ月・数年と続くと、従業員がストレスをため込んで精神的に病んでしまうリスクもあります。
 
もし改善が見込めないなら、転職を検討してみることもひとつの方法です。
 

出典

e-Gov法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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