更新日: 2022.08.21 働き方
副業をしたら社会保険料の負担が重くなる!? 注意すべきポイントとは?
本記事では、副業をして社会保険料の負担が増えるのはどのようなケースかを解説するとともに、副業で社会保険料負担が発生する際の手続きや保険料の計算方法をまとめました。副業を検討する際には、社会保険料についても頭に置いておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
加入要件を満たすと副業に対しても社会保険料負担が発生する
副業が内職や個人事業、資産運用など会社と雇用契約を結ばないものであれば、社会保険料は発生しません。しかし、アルバイトやパートなど、会社に雇用されるかたちで副業をすると、副業のほうでも社会保険(健康保険・介護保険、厚生年金保険)の加入対象となり、社会保険料の負担が発生することがあります。
アルバイトやパートで社会保険の加入対象となるのは、次の要件を満たした場合です。
●短時間労働者を除く被保険者の総数が常時500人超(令和4年10月以降は100人超)の事業所または労使合意を得た任意特定適用事業所
●1週間の所定労働時間が20時間以上
●賃金月額が8万8000円以上
●雇用期間の見込みが1年以上(令和4年10月以降は2ヶ月超)
●学生ではない
上の条件に当てはまる場合、副業でも社会保険に必ず加入することになります。そのため副業収入も含めて社会保険料を算出することになり、社会保険料の負担が増えるのです。
本業・副業両方で社会保険加入要件を満たす場合の手続き
本業と副業の両方で社会保険(健康保険・介護保険、厚生年金保険)の加入条件を満たす場合、本業と副業の事業所の両方で加入手続きをし、事業所から「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」が提出される必要があります。
さらに、被保険者はメインとなる「主たる事業所」を選択し、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出しなければなりません。
●提出期限:事実発生から10日以内
●提出先:選択した主たる事業所の所在地を管轄する事務センター(年金事務所)
●必要書類:健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届、健康保険被保険者証
●提出方法:電子申請、郵送、窓口
届出が完了すると、選択した主たる事業所がある所在地の管轄事務センターまたは健康保険組合が、届出者の健康保険・厚生年金保険に関する事務を担うことになります。
本業・副業両方で加入要件を満たす場合の社会保険料の計算方法
本業と副業の両方で社会保険(健康保険・介護保険、厚生年金保険)に加入する場合、保険料は両方の給与を合算した金額をもとに算出します。
例えば、本業の給与が30万円、副業の給与が10万円の場合、合計した40万円が計算のもとになります。報酬月額40万円に対応する標準報酬月額41万円に保険料率を掛け、2で割った金額がそれぞれの保険料自己負担額です。
健康保険料・介護保険料自己負担額=標準報酬月額41万円×保険料率11.45%÷2=2万3472.5円
厚生年金保険料自己負担額=標準報酬月額41万円×保険料率18.300%÷2=3万7515円
なお、会社負担額は2社の給与額の比率で案分されます。上記の例では、本業の会社負担額3:1副業の会社負担額の割合です。
副業をするときは社会保険の加入要件を意識しよう
副業をする場合、個人事業として仕事を請け負ったり、資産運用で利益を得たりする方法であれば、社会保険料の負担は本業のものだけで済みます。しかし、アルバイトやパートなど企業に雇用されて働く場合は、要件を満たすと副業でも健康保険・雇用保険や厚生年金保険への加入が必要です。その場合、保険料は両方の収入を合算して計算するため、社会保険料の負担は増えるでしょう。
副業をするときは、社会保険の加入要件を意識して副業の内容や働き方をよく考えるのが、社会保険料の負担を増やさないポイントです。
出典
日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
日本年金機構 複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き
厚生労働省 二以上事業所勤務被保険者に係る保険料計算の考え方について
全国健康保険協会 令和4年度保険料額表(令和4年3月分から)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部