一家に5枚のクレジットカード!だから家計の支出が把握困難に。原因と解決策を徹底解剖
配信日: 2018.04.08 更新日: 2024.10.07
ご主人が主に使っているカードで、支出の明細は見せてもらうことができず、ポイントを貯めることにこだわっているとのことでした。
上手に付き合えば、便利に使えるクレジットカードとポイント。今回の相談の問題点と解決策を考えてみます。
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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目次
なんとなくポイントを貯めているカードがある
相談をいただいた家庭には、5枚のクレジットカードがありました。奥さまが3枚、ご主人が2枚保有してどれも使用しています。
そのうち1枚は「ガソリン用」と明確な目的を持ち、仕事で使用するガソリンを決まったところで入れると割引になるため、用途を限定して使用していました。
残りの4枚は「ポイントを貯めるため」に使うというものの、作ったきっかけは何かを契約するときに少し割引になるから、とった理由でした。そのため携帯電話代金だけ、たまにいくスーパーで使うだけ、と支払いがばらついており、実際にはポイントもそれほど貯まっていませんでした。
家計外の小遣いや同僚の買い物の立て替えまで
一番多く使用していて、毎月15万円ほど家計の給与口座から引き落とされるカードは、とにかくご主人がポイントを貯めることにこだわっている、とのことです。
利用明細を見せてもらうことはできず、わかるのは家計で必要な消耗品をネットショッピングで購入してもらった分だけ。お小遣いも決まっていないため、ご主人の個人購入分もそのカードから使用しているようでした。
また混乱の原因の最たるものは、ポイントにこだわるあまり、ご主人が会社の同僚のネットショッピングを、代わりにそのカードで購入していることだったのです。
家族のものか個人のものかもわかりにくいところに、完全に他人の物が混ざり込んで、給与口座から引き落とされていたのです。立て替えて購入した代金はご主人の会社の同僚からもらっていたそうですが、金額ももらうタイミングも奥さま側からはよくわからないため、家計側から把握するのは至難でした。
まずは不必要なクレジットカードをやめ、現金払いにシフトする
まずはスーパーごとに持っているクレジットカードの利用を、一度やめてもらいました。いきなり解約するのはハードルが高いとのことなので、まずは1カ月現金払いに変えてみる。
上手に付き合えるようになったらまたカードを利用してもいいと思うことで、奥さまはすんなりとクレジットカードの利用をやめることができました。
結果、特に節約しようとしなくてもスーパーでの支出が4割近く減ったのです。「ポイント2倍の日」などにわざわざ足を運ばなくなったため、いま買わなくていいものを買わなくなったとのことです。
カードの立て替えはお小遣い口座のなかで
問題は、ご主人がこだわっているクレジットカードです。完全にお小遣い用の口座を作り、ご主人専用のカードにすることを提案しましたが、ご主人は家計でネットショッピングする物のポイントもどうしても貯めたいとのこと。
また、明細はいちいち見せるのが嫌とのことでした。
教育費含め、必要な貯金ができていない現状ですから、家族の将来のために協力してもらいたいと奥さまも繰り返し説明しましたが、それ以上は変えられないそうです。貯まったポイントは、一部家計の買い物にも還元しているからいいだろう、と話し合いは平行線になりました。
そのため、まずはそのクレジットカードの引き落とし先を給与引き落とし口座から、ご主人が個人的に使っている口座に変更しました。そしてお小遣いを決め、そのクレジットカードで引き落とされる固定の家計費と合わせて給料日にそちらに振り込むことにしたのです。
これで、まず家計側からは固定費は把握できる状態になりました。そして、家計のネットショッピングをそのカードでしてもらった場合は、家計からご主人へ現金をわたすことにしました。
家計からの支出にはそれぞれ責任を持つ
ご主人は、会社の経費の立て替えなどもそのクレジットカードで行っていましたが、今までと違い自分の管理している口座内でしか立て替えることができなくなったため、まめに精算を行うようになったとのことです。
もちろん、家計から出すべきものは気持ちよくわたすこと、奥様自身も同様にお小遣い制にして見える化することで、不明瞭だったか家計の支出は明確になりました。
どちらの給料も家族のものとして責任を持ち、見せたくないと思うものはお互いに話し合って決めたお小遣いのなかですることにより、それぞれが家計からの支出に関しては責任を持つシステムになりました。
まだ家計の形が整ったばかりで、貯金を増やすことまでは手が回っていませんが、全体像が見えるようになったことは大きな進歩です。現状がわかるからこそ、計画が立てられるわけですから。今後の展開が楽しみです。
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催