更新日: 2024.10.07 ライフプラン
侮れないペットの生涯費用、そこまで覚悟して飼いますか?
執筆者:田中恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
北海道大学卒業後、メーカー勤務を経て出版業界へ。自身の経験を生かした旅行、
アウトドア、ライフスタイル、自然などを得意とするが、ジャンル問わず、多方面
で活躍。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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意外と大きい食費
まずは初期費用として、首輪、リード、犬小屋やケージ、トイレ、ケアグッズなど小物が必要になり、犬の場合で2~6万円ほどかかるといわれます。
さらに、登録とワクチン、入院も含めた去勢や避妊手術など合わせると、購入代金のほかに6~10万円くらいかかるとみておかなくてはなりません。
月々必要なお金は、まずは食費ですね。もちろん大きさによって大きな差があり、また肥満や病気などのためにダイエット食、療養食となるとかなり高額になります。ほかにフィラリア予防、シーツやシャンプーなどの消耗品。
トリミングが必要な犬種もあるでしょう。食費を含めた月々のコストは平均的に犬で5,000~2万円超、猫で2,000~6,000円といわれます。しつけの学校やペットホテルとなると計算外です。
そして恐怖の医療費
医療費は自由診療であるため、医療機関の裁量による部分が多くなりますが、診療費、薬代ともに体重に応じて高額になります。
だいたい初診料1,400円、入院料は1泊につき小型犬2,700円~特大犬4.800円ほど、注射1本2,000円前後、点滴2,000~3,000円。実際の診療ではこれらの併用のほか検査なども行われ、驚くほどの出費となることが少なくありません。
狂犬病予防接種も毎年必要です。予防注射を除き、年間平均犬で1~4万円、猫で8,000~2万5,000円ほどの医療費がかかっています。最近はがんや成人病など人間と同様な病気にかかるペットも多く、高度医療、延命治療などを施す場合、そしてそれが長くなるときはかなりの出費を覚悟しなくてはなりません。
平均寿命は犬で13年、猫で12年ほど。生涯にかかる費用は初期費用を除き、健康でもそれぞれ150~350万円、100万円程度と試算されます。たとえ譲渡などで費用をかけずに手に入れられても、この料金は変わりません。
ペット医療保険加入は必要か
ペット医療保険を扱う会社は十数社あり、比較サイトもあります。犬種(大きさ)や年齢などにより保険料は月額1,500円程度から。
保障割合や上限額、加入可能年齢、通院ありなしなどさまざまなプランがあり、飼い主の過失による病気やケガ、予防接種や予防医療、遺伝病などには適用されないことが普通です。
多くの人がペットを飼って初めて診療費の高さに驚きます。そして高額な医療費がこわくてすぐに診療させず、手遅れになってしまう、あるいはかえって高額な治療が必要となってしまう、また手術に踏み切れないという人も少なくありません。
そうしたことを考えると、保険も検討の余地があるのではないでしょうか。ちなみに、残念ながらペットの医療費は「医療費控除」の対象とはならず、保険は「生命保険料控除」にはなりません。
ペットと暮らすと飼い主の健康寿命が伸びる!?
ペットを家族の一員として迎え入れる時、生涯責任をもってめんどうを見ることができるかと問われるのは、飼育放棄だけでなく、こうした「お金」の面も含めてのことなのです。互いの幸せのため、もういちど大丈夫か考えてみましょう。
ただし、ペットと暮らすと飼い主の健康寿命が伸びるという研究結果もあります。人間の診療費が少なくてすむというわけです。そうしたことも総合的に考え、一目惚れしたあの子との生活を思い描いてみましょう。
Text:田中 恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
監修:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表
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