更新日: 2022.07.06 ライフプラン
ライフプランから考える40代。どんなことにお金が必要になる?
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
子どもの大学へ進学するための費用が必要になる
出産のタイミングにもよりますが、40代になると子どもの年齢も高くなり、大学への進学が学費の中心になることが多いのではないでしょうか。
金融広報中央委員会の情報サイト「知るぽると」によると、大学4年間でかかる費用は、国立大学で自宅通学の場合、538万100円。私立大学(文系)で下宿の場合、1139万5441円となっています。ただし、この金額は、受験に関する諸費用、入学金、および年間の授業料や生活費のみを含めています。
学習塾などに通っている場合には、その分の費用がさらに追加されます。
また、進学する学部によって、入学前に準備する費用にも違いがあります。
例えば芸術系の学部に進学するときには、学習塾のほかに楽器や絵の個人レッスンを受けることになり、その費用も準備しなければなりません。
筆者の取材によると、例えば音大でバイオリンを専攻するためには、バイオリンだけで最低300万~500万円のものを、弓は100万円のものを、受験前にそろえておくケースがほとんどです(筆者の調査による目安の金額です。詳しくは大学にご確認ください)。
子どもが小さいときには、親がイメージする進路・進学先をもとに教育費を貯めていけばよいのですが、ある程度子どもの希望が明確になってきたら、それに見合った金額を前もって積み立てる必要もでてきます。
準備する方法としては、学資保険、つみたてNISA、銀行の積立預金などがあります。
マイホーム購入資金、繰上返済資金
マイホームを購入するタイミングも人によって違いますが、30~35年で組む住宅ローンの完済を考えると、遅くても40代で購入するのがデッドラインになりそうです。
40代は多くの場合、教育費がかかる年代でもありますが、住宅ローンを抱えている人が多い傾向にある年代でもあります。
40代で購入する場合、20代のときよりも頭金に充当する金額を増やせるかもしれませんので、可能な限り、年金受給前に住宅ローンを完済できるように準備しておくとよいでしょう。
例えば、45歳で2000万円の住宅ローンをボーナス払いなし、年利1%元利均等払いで組んだ場合、毎月の返済額は9万1978円、総返済額2207万4815円です(20年で返済するケース)。教育費を支払いながら、毎月約9万円もの金額を支払うのは大変でしょう。
ただし、同じ条件のローンを35年で返済する場合は5万6457円、総返済額2371万1746円です。返済期間は15年の差がありますが、毎月の返済額は約3.5万円少なくすみます。
子どもの教育費がかさむときには住宅ローンの返済額を抑えて、教育費の支出が落ち着いてから、繰上返済用の積み立てをし、年金を受給する前(可能なら退職前)に完済できることを目標にしてもよいかもしれません。
準備する方法としては、つみたてNISA、財形預金・貯蓄、銀行の積立預金などがあります。
(試算参考:住宅保証機構株式会社 返済額の試算)
老後に資金の準備
子どもがいる場合には、教育費中心にお金を捻出することになりますが、40代から老後資金の準備をスタートするのがおすすめです。
大変だからと何もしないでいると、退職後の生活で、金銭的に困難な状況に陥ることが考えられます。毎月少額でもよいので、積み立てをするとよいでしょう。
例えば、40歳から毎月5000円を積み立てた場合、60歳の定年までには、5000円×12ヶ月×20年=120万円貯めることができます。120万円では少ないと思うかもしれませんが、その間に運用していれば、さらに増やすこともできます。
積立金額が1万円なら、240万円貯まることになります。はじめから無理だと決め付けずに、少額からでも積み立てをスタートすることが大切なのです。
準備する方法としては、iDeCo、つみたてNISA、銀行の積立預金などがあります。
そのほか、すでに住宅ローンを組んでいる人もいることでしょう。そのような場合は、40代のうちに一度、見直しをしてみましょう。もし、借りているローンの金利が高いと感じているなら、低金利のものに借り換えできないか検討してみましょう。
あわせて、生命保険の見直しや家計の見直しもしてください。家計の見直しでは、不要なサブスクや通わないスポーツクラブなどがないかをチェック。無駄だなと思う支出があれば、思い切って、解約して預貯金にまわすとよいでしょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 40代以降(中年世代)のためのライフプラン
住宅保証機構株式会社 返済額の試算
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト