更新日: 2022.06.28 その他家計

【急騰】「肥料」が夏以降で3割値上げ! 野菜に穀物「食品値上げ」に大打撃!?

【急騰】「肥料」が夏以降で3割値上げ! 野菜に穀物「食品値上げ」に大打撃!?
市場作物を生産する現代的な農業では化学肥料の使用が一般的です。その肥料の原料が世界的に高騰しています。その影響で、肥料自体の価格も上がり、それは最終的な農業生産物や加工食品の価格押し上げることにつながります。
 
この記事では、肥料価格の高騰について、その原因や食料品価格への影響を考えていきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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肥料価格の高騰とその原因

全国農業協同組合連合会(全農)は、令和4肥料年度秋肥(6~10月)価格について、前期と比べて2割から9割の価格引き上げを発表しています。3大肥料原料である窒素、カリ、リン酸などについて見てみますと、窒素質が5割~9割、リン酸質が3割、カリ質が3割~8割の上昇になっています。
 
特に窒素質の尿素は、輸入材料は94%と前期に比べて2倍になります。複合肥料についても、6割の価格上昇です。この高騰の原因は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響です。ロシアや今回のウクライナ侵攻でロシアに同調している隣国のベラルーシは、世界有数の肥料及びその原料生産国として知られています。
 
例えば、ロシアのリン鉱石の年間生産量は世界第4位であり、またカリ鉱石については、ロシアが第2位、ロシアとウクライナに隣接するベラルーシが第3位なのです。ロシアでは天然ガスや石油などの豊富な化石燃料が低コストで入手できるため、肥料の原料となるアンモニアなども生産・輸出しています。
 
今回のロシアのウクライナ侵攻に抗議して、西側諸国は経済制裁を発動しています。一方で、ロシアは西欧諸国にとってエネルギーや食料、そして肥料の主要な輸出国でもあるのです。
 
ロシアはこの立場を利用して、経済制裁に対する対抗措置として、ウクライナを支援する国々への物品の輸出を制限しており、その中に肥料とその原料が含まれています。
 
日本は化学肥料の原料であるリン鉱石と塩化カリウム(カリ鉱石)は全量を輸入しており、このうち塩化カリウムの4分の1はロシアとベラルーシからの輸入に頼っています。
 
もちろん、ロシアとベラルーシ以外の国からも肥料原料は輸入しており、供給自体が止まることはないのですが、需要は逼迫(ひっぱく)するため、価格が高騰しているのです。
 

食品価格はどうなる?

ウクライナ危機の影響で、世界規模での食料価格の値上げはすでに始まっています。ウクライナは「世界の穀倉地帯」の一つに数えられるほど食糧輸出の盛んな国で、小麦やトウモロコシはヨーロッパ諸国や中東・北アフリカ諸国まで輸出されています。
 
このような、輸入食料そのものの価格が高騰するだけでなく、肥料原料の高騰により国内で生産する野菜をはじめとする農作物の生産コストが上がる見通しです。生産コストが高くなれば、小売り価格に転嫁され、家計を圧迫することになります。
 
この状況が続けば、小麦などの輸入穀物だけではなく、野菜を含む国産農産物やその加工品まで、食料品全般の価格が上昇することでしょう。
 

需給バランスの回復には紛争の早期終息が必須

食糧生産には肥料が必要で、その供給源で紛争が起きています。そして、肥料の輸出が制限されていることが、世界の食料価格にまで影響を与えているのです。
 
ウクライナ危機が続く限り、この価格高騰が収まることはないでしょう。多くの肥料や食料を諸外国からの輸入に依存する日本も、大きな影響を受けること必至です。紛争がなるべく早く終息することを祈るばかりです。
 

出典

農業協同組合新聞【食料危機がやってきた】肥料供給難で世界農業に致命的な影響も(1)
全国農業協同組合連合会 令和4肥料年度秋肥(6-10月)の肥料価格について
独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)ロシア、窒素肥料の輸出制限を延長
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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