更新日: 2022.06.19 働き方
働き方で給与がこんなに変わる! 正社員とパートタイマーの違い
今回は、雇用形態別の賃金を確認し、生涯年収の違いについて計算してみます。
正社員からパートタイマーへ働き方を変えたいと考えている方や、逆に正社員を目指している方は、ぜひチェックしておきましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
正社員と非正社員の賃金格差
厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」の結果によると、正社員の人と正社員以外の人の毎月の賃金は以下のとおりとなっており、約11万円の格差があります。
正社員:32万3400円
正社員以外:21万6700円
この格差は、女性よりも男性の方が大きい傾向があります。男女別に正社員の人と正社員以外の人の毎月の賃金を比較すると、以下のとおりです。
正社員:34万8800円
正社員以外:24万1300円
正社員:27万600円
正社員以外:19万5400円
また、正社員と非正社員の賃金の格差は、年齢が上がるにつれて広がる傾向もみられます。最も差が大きいのは55歳~59歳の男性で、正社員の賃金の42万8600円に対し、正社員以外では24万2800円となっており、20万円近い違いがあります。
生涯年収はこれだけ違う
統計を基にした雇用形態別での比較では、正社員と正社員以外で毎月の賃金に大きな違いがあることが分かりますが、この差が積み重なると、さらに格差は広がります。
例えば、新卒での就職から退職まで正社員で働いた場合と、正社員以外で働き続けた場合を比較すると、生涯年収には1億円以上の違いが出るといわれています。
また、出産や子育てを理由に、30歳くらいで正社員からパートタイマーなど非正社員に働き方を変えた女性では、育休を取得してから正社員に復帰した女性と比較した場合、単純に計算して、少なくとも3000万円ほど生涯年収が変わってくることになります。
<計算例>
3360万円=約8万円(女性の正社員と非正社員の月収の差)×12ヶ月×35年(30歳~65歳まで)
自分に合った働き方とは?
正社員と正社員以外という雇用形態による違いは、給与だけではありません。介護や子育てについて支援を受けられたり、提携している宿泊施設を安く利用できるなどの福利厚生サービスや有給休暇など、正社員の方が就業環境や会社の制度が充実しているケースが多いでしょう。
一方、正社員以外は残業の少なさや、転勤がないなど、正社員として働くよりライフワークバランスが良いと感じている方もいるかもしれません。特に子育てや介護といった理由から転勤したくない方、多くの収入を求めていない方など、正社員ではない働き方を選んで続けている人もいます。
個人の考え方にもよるので、必ずしも「正社員の方がよい」とはいえませんが、給与や会社の制度、ワークライフバランス、やりがいなど、自分に合った働き方を見つけて続けることは、誰にとっても重要な課題です。現在の仕事や働き方に何か不満がある場合は、自分に合った働き方はどんなものか、ぜひ考えてみましょう。
まとめ
正社員と正社員以外の人では、給与に大きな違いがあります。正社員になりたい人だけでなく、出産や子育てをきっかけに正社員を辞めようとしている人は、働き方を変える前に、この給与の違いを認識しておくことが大切です。
今回ご紹介した内容を参考にしながら、今後の自分の働き方をしっかりと検討してみましょう。
出典
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 雇用形態別
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者