更新日: 2022.06.01 その他家計

年金受給者の親を扶養に入れることは可能? 条件やメリット・デメリットを解説

年金受給者の親を扶養に入れることは可能? 条件やメリット・デメリットを解説
「年金受給する親を扶養家族に入れたい」「年金を受給する親を扶養家族に入れるにはどんな条件があるのだろうか?」
 
このように考えている人もいるのではないでしょうか。
 
一定の条件を満たしてさえいれば、年金を受給する親を扶養家族に入れられます。
 
ただし、親を扶養家族に入れるにあたって、メリットだけでなくデメリットや注意点もあります。それらを事前に確認してから手続きを行いましょう。
 
当記事では、親を扶養家族に入れる条件をはじめ、親を扶養家族に入れるメリット・デメリットを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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条件に該当すれば年金受給者の親を扶養に入れられる

年金受給者の親を扶養家族に入れることは可能です。ただし、誰でも扶養家族に入れられるわけではなく、以下の条件を満たす必要があります。
 

【税法上の条件】

●納税者(扶養者となる人)と生計を一にしている
●年間の合計所得金額が48万円以下である(令和元年分以前は38万円以下、給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
●青色申告者の事業専従者として、その年を通して一度も給与の支払いを受けていない
●白色申告者の事業専従者でない

【健康保険上の条件】

●納税者(扶養者となる人)と生計を一にしている
●扶養家族となる親が75歳未満
●年間収入が制限を超えない(同居の場合:年間収入130万円未満かつ被保険者の年間収入の半分未満であること、別居の場合:年間収入130万円未満かつ被保険者の仕送り額未満であること、60歳以上、または障害者の場合:年間収入180万円未満)

  

年金受給者の親を扶養に入れるメリット

 
年金受給者の親を扶養家族に入れる主なメリットが、節税効果と健康保険の保険料負担削減の2点です。
 
まず、税法上で親を扶養家族に入れた場合、扶養者となる人の税計算に扶養控除が適用されて、納める税金が安くなります。所得税の扶養控除額は以下を参考にしてください。
 

【所得控除額:親を扶養家族に入れる場合】

●23歳以上70歳未満の親族:控除額38万円
●70歳以上の親族(老人扶養親族):控除額48万円(同居の場合は58万円)

 
年収500万円の人が節税できる目安額ですが、所得税率20%、住民税10%を例にすると
以下のような計算です。
 

●所得税:58万円×20%=11万6000円
●住民税:45万円×10%=4万5000円

 
そのほかに、親の健康保険料を節約できる点もメリットの一つです。
 
健康保険料については、年齢や自治体、年金収入によって異なります。各自治体のホームページなどから保険料の計算方法を確認してみてください。
     

年金受給者の親を扶養に入れるデメリット

 
「高額療養費制度の自己負担限度額が高くなる場合がある」点は、年金受給者の親を扶養家族に入れるデメリットといえるでしょう。
 
高額療養費制度は、入院や手術などで高額な医療費がかかった際に、一定の自己負担限度額を超えた分について、後で払い戻されるというものです。親を社会保険上の扶養家族に入れると、この高額療養費の自己負担限度額が高くなる可能性が高いのです。
 
自己負担限度額は、被保険者となる扶養者の所得で判定されます。一般的に年金受給者の親よりも扶養者の所得が高い傾向にあるため、自己負担限度額が高くなりやすいです。
 
また、健康保険は、基本的に75歳未満を対象としています。75歳以上になると健康保険の扶養に入れなくなり、後期高齢者医療制度の加入者となり、移行も自動で行われます。
      

加入条件を確認して年金受給者の親を扶養に入れる手続きを進めよう

 
条件を満たせば、年金受給者の親を扶養家族に入れられます。節税効果と健康保険の保険料負担削減が可能といったメリットがあるので、ぜひ年金受給者の親を扶養に入れることを検討してみましょう。
 
親を扶養家族に入れる手続きは、扶養者が勤務する会社に申請します。
 
税法上の手続きの場合、年末調整までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してください。
 
健康保険は随時対応可能です。健康保険に加入するタイミングで「被扶養者(異動)届」「続柄・収入要件確認の書類」を提出しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1180 扶養控除
全国健康保険協会 高額な医療費を支払ったとき
全国健康保険協会 後期高齢者医療制度
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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