更新日: 2022.05.24 働き方
うちの会社は残業代がでません…労働基準監督署に相談すべきでしょうか?
このような場合、どんな対応を労働者はとればよいのでしょうか。以下で確認していきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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労働基準法と残業代について知っておこう
労働基準法とは、労働者を雇う際の最低限の条件を規定した法律です。雇用主は労働基準法を順守しなければなりません。労働基準法は雇用形態を問わず、全ての労働者を保護の対象としています。正社員でないアルバイトや派遣社員も保護の対象です。
残業代の支払いは労働基準法37条に割増賃金という名目で定められています。割増賃金とは、法定時間外や深夜あるいは法定休日に働いた場合に、通常よりも多く支払われる賃金のことです。雇用主には割増賃金を支払う義務があります。
残業代の支払いを拒否されやすいケース
一定の労働制度を用いている会社は、残業代の支払いを断る場合があります。ただし、どんな制度を採用していたとしても、残業代が絶対的に支払われないわけではありません。
・「裁量労働制」
「みなし労働時間制度」とも呼ばれており、事前にみなし労働時間を取り決める制度です。実際に働いた時間が、みなし労働時間に満たなかったとしても、取り決めた労働時間を働いたとみなします。ただし、働いた実際の時間がみなし労働時間を超えていたり、深夜あるいは休日に働いていたりしたときには、雇用主は割増賃金を支払う必要があります。
・「フレックス制度」
この制度では、始業時間と終業時間が決まっており、その間であるなら、労働者が自分で労働時間を管理できます。フレックス制度では一定期間ごとに総所定労働時間が設定されています。例えば1日に12時間働いた日があったとしても、期間内の労働時間の合計が、総所定労働時間の枠内であれば残業とみなされません。
ですが、総所定労働時間を超える時間の労働には、雇用主は割増賃金を支払う義務があります。
・「固定残業制」
あらかじめ残業代金に相当する金銭が給与に含まれている制度です。みなし残業制度とも呼ばれています。しかしながら、この制度を採用していたとしても、就業規則などで定めた労働時間を超える労働には残業代が発生します。
・「年俸制」と「歩合制」
年俸制は1年単位で給与額を決める制度です。対して歩合制は、仕事の成果に応じて給与が増えていく制度です。どちらも残業代の支払いを拒否されることが多い制度ですが、法定労働時間を超えて働いた場合や、法定休日あるいは深夜の労働には、割増賃金が発生します。
労働基準監督署に相談すべき?
労働基準監督署は、管轄区域内の企業が労働関係法令を順守しているかを監督する組織です。会社が労働基準法に違反して残業代を支払わない場合には、労働基準監督署に相談することで、会社に支払いを促すことができます。
相談は匿名ですることも可能なので、まずは労働基準監督署に相談するとよいでしょう。しかし、労働基準監督署には、残業代の支払いを強制的に実行する権限はありません。労働基準監督署の指導などで残業代が支払われない場合には、法律の専門家に相談をし、残業代の請求を会社にするとよいでしょう。
残業代金が支払われないなら労働基準監督署に相談
原則として、法定労働時間を超える労働をした場合には、雇用主は割増賃金を残業代として支払う義務があります。もし、残業代の支払いを断られた場合には、労働基準監督署に相談するようにしましょう。
ただし、労働基準監督署は残業代の支払いを命令することはできないため、雇用主に残業代の支払いを拒否される場合があります。拒否された場合に未払い残業代を回収するには、訴訟などの手続きに移行する必要があります。
出典
厚生労働省 働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部