更新日: 2022.05.20 働き方

非正規雇用で働く女性の実態。平均年収や経済的・時間的ゆとりの有無は?

非正規雇用で働く女性の実態。平均年収や経済的・時間的ゆとりの有無は?
総務省が発表した「労働力調査(2021年平均)」(※1)によると、正規雇用で働く女性は1221万人、非正規雇用で働く女性は1413万人となっています。
 
派遣社員やパート・アルバイトなど、非正規雇用で働いている女性の方が多いことが分かりますが、その実態はどのようになっているのでしょうか。
 
今回は、日本労働組合総連合会(所在地:東京都千代田区)が発表した「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」(※2)をひもといてみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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非正規雇用で働く女性の平均年収

この調査は、全国の非正規雇用(有期契約社員・嘱託社員、臨時・非常勤公務員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト)で働く20~59歳の女性1000名を対象に行われたもの。
 
まず、個人年収をみてみましょう。

【個人年収】

・100万円未満 31.1%
・100万円~199万円 35.0%
・200万円~299万円 25.5%
・300万円以上 8.4%
→平均:167.9万円

ほとんどの人が、300万円未満という結果に。
 
ちなみに、「主な家計収入が自分」という人の個人年収平均は「214.2万円」、「主な家計収入が配偶者」という人は「137.6万円」でした。夫の扶養に入りながら働く層をイメージすると、やはり199万円以下に集中するのかもしれませんね。
 
非正規雇用で働く女性の職種については、以下のとおり。

【現在の仕事の職種TOP5】

1位:販売・接客・サービス職 43.0%
2位:事務職 19.6%
3位:わからない・その他 15.2%
4位:医療・福祉・介護職 11.8%
5位:生産工程 6.0%

販売・接客・サービス職がダントツの1位で、半数近くを占めています。
 
また、「平均的な1週間の労働時間(残業含む)」のTOP3については、1位「20~30時間未満」(21.3%)、2位「10~20時間未満」(19.1%)、3位「35~40時間未満」(14.1%)でした。
 
全体でざっくりみると、週35時間未満がおよそ7割、35時間以上がおよそ3割という結果に。個人年収の分布からしても、この労働時間が妥当といえそうです。
 

「経済的なゆとりがない」という人がおよそ7割以上

非正規雇用で働く女性の年収や労働時間をみてきましたが、生活についての意識はどのようになっているのでしょうか。

【経済的ゆとりの有無】

1位:あまりゆとりがない 38.4%
2位:まったくゆとりがない 28.5%
3位:ある程度ゆとりがある 22.1%
4位:どちらともいえない 7.4%
5位:ゆとりがある 3.6%

ゆとりがない計がおよそ7割、ゆとりがある計がおよそ3割という結果に。
 
多くの人が経済的に余裕がないと自覚していることが分かります。「主な家計収入が自分」という人に絞ると、ゆとりがない計は8割近くにも。
 
ちなみに、「時間的ゆとり」については以下のとおり。

【時間的ゆとりの有無】

1位:ある程度ゆとりがある 43.3%
2位:あまりゆとりがない 26.4%
3位:ゆとりがある 12.2%
4位:まったくゆとりがない 11.6%
5位:どちらともいえない 6.5%

ゆとりがある計が55.5%、ゆとりがない計が38.0%でした。経済的なゆとりよりも、時間的なゆとりの結果の方がまだマシということが分かります。
 
ただ、この回答をシングルマザーに絞ってみると、ゆとりがない計が55.1%、ゆとりがある計が34.8%に。
 
自分の収入で子どもを養うひとり親については、経済的にも時間的にもゆとりがなく、厳しい状況であるということが改めて分かる結果になりました。
 

「女性の活躍」について、非正規雇用で働く女性の本音とは?

近年、女性の活躍の推進が注目されていますが、実情はどのようなものなのでしょうか。女性の本音をみてみましょう。

【「女性の活躍」について思うことTOP5(複数回答)】

1位:女性だけに働くことと家事・育児の両立を求める風潮に疑問を感じる 49.9%
2位:非正規雇用の女性の働き方にも目を向けてほしい 32.7%
3位:いろいろな制度があっても知る機会がない 28.2%
4位:女性だけでなく、男性にももっと当事者意識を持ってほしい 28.1%
5位:女性活躍に関する制度だけでなく、現場の理解が高まればいいと思う 23.5%

この回答をみる限り、まだまだ社会の風潮として「女性が働くのもいいが家事・育児はどうするんだ」という見方が残っているということが伺えます。さらに、女性が働きやすくなるためのさまざまな制度が、まだ現場に浸透しておらず理解が得られにくい……と悩んでいる人も少なくないことが分かります。
 
非正規雇用の女性が経済的・時間的にゆとりを持って生活できるようになるためには、より一層の政府の推進と現場の理解・制度の活用が必要といえそうです。
 

出典

※1 総務省「労働力調査(2021年)」
※2 日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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