更新日: 2022.05.09 働き方
アルバイトやパートだけど有給休暇が取得できるって本当?
アルバイトやパートとして働いた場合、正社員ではないけれど有給休暇が取得できることを知っている人は少ないです。
そこで、労働者側と経営者側の2つの立場の違いから考える有給休暇制度の注意点について、見ていきましょう。
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
有給休暇が取得できる条件は?
有給休暇とは、正式には「年次有給休暇」と言われるもので、法律で定められた労働者に与えられた権利です(※1)。これは、正社員やアルバイト・パートといった区分に関係なく、以下の2つの条件を満たしていれば、年次有給休暇は付与されます。
(1)半年間継続して雇われている
(2)全労働日の8割以上を出勤している
有給休暇を取得できる日数は?
有給休暇を取得できる日数は、勤続年数や勤続時間等により、以下の表のように異なります(※1)。
(1)通常の労働者の付与日数
(2)週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数
労働者が確認しておくポイント
労働者の権利として存在する「年次有給休暇制度」ですが、雇用契約を結ぶときにその内容をしっかり確認しておくことをお勧めします。
例えば、「子どもが小さいので子どもの体調等により年次有給休暇制度を使うことがある」、「親と一緒に暮らしているので介護等で年次有給休暇を使うことがある」など、働き始めてからもめないように、しっかり話しておきましょう。
また、アルバイトやパートの形態で雇用契約を結ぶ人は、上記の表(2)にある通り、「週所定労働日数」や「1年間の所定労働日数」をしっかり確認しておきましょう。
何より大切なのは「労働者の権利だから」とだけ主張するのではなく、職場において自分の業務をしていく中で業務が円滑に進むように、休暇の申請をできるだけ事前にするなど心がけることです。
経営者が確認しておくポイント
一方、経営者は労働者が年次有給休暇を取りやすい環境づくりを心がける必要があります。労働基準法が改正され、平成31年4月より、使用者は、法定の年次有給休暇日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日間、年次有給休暇を確実に取得させることが必要となりました(※2)。
そのため、労働者ごとに付与された年次有給休暇の日数と、取得した日数の管理(例:年次有給休暇管理簿)が必要となります。
また、就業規則や雇用契約書に年次有給休暇制度のことを記載することも必要になるので、社会保険労務士など専門家に相談することをお勧めします。
労働者と経営者で話し合い、働きやすい休みやすい職場環境づくりを
そして、この制度を利用するに当たって、労働者側、経営者側双方がしっかり話し合い、働きやすい休みやすい職場環境を作ることが大切です。
そういった環境を作ることにより、「労働者に権利を主張され仕事に差しさわりが出た」とか、「経営者に事前に有給休暇が欲しいと相談をしたのに、仕事の繁忙期だからその日に休むのは困ると言われた」といった不要な争いを避けることができます。
労働者側、経営者側双方にとってよりよい職場環境は、双方のコミュニケーションから成り立つことが多いので、まずは有給休暇制度の内容を知り、話し合いながら法律で定められた制度を利用しましょう。
出典
(※1)厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 労働者の方へ
(※2)厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 事業主の方へ
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士