更新日: 2022.04.14 ライフプラン
新社会人に勧めたい! ライフプランのために給料はこう使う!
今回は、新社会人が将来のために、自分の手元に残る手取り給与をどう配分しておくとよいのかを考えていきましょう。
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
支払うべきものはしっかりと払う!
日本学生支援機構が公開している「令和2年度 学生生活調査結果(令和4年(2022年)3月)」によると、日本学生支援機構の奨学金など何らかの奨学金を受給している者の割合は、大学と短期大学(昼間部)では増加傾向が続いており、大学で49.6%となっています。つまり、2人に1人が奨学金を受給している状態であり、その場合は返済も当然必要です。
日本学生支援機構の場合、貸与終了の翌月から数えて7ヶ月目に返済は始まり、口座振替(引き落とし)によって行われます。別稿(※1)で、給料の手取りの例として約20万円を挙げました。これだけの金額が手元に残り、月々少しずつでも奨学金を返済すれば、まったく問題なく返済できると思うでしょう。
ただ、大学卒業後の人生で15年もしくは20年間返済を続けるのは、とても大変なことです。社会人になれば、結婚や住宅購入、子育てなど、お金のかかるイベントがたくさんあります。支払わなければならないものは早めに支払うことを検討しましょう。
据置期間中または、在学猶予中に返還完了した場合、後日、保証料(機関保証の場合)のおよそ7割が戻るというメリットもあります(出典:日本学生支援機構「繰上返還を希望する場合 – 2022年3月卒業者の繰上返還について – 」/返戻に要する経費を除いた額となるなど、注意点あり)。
医療保険は若いうちが安い!
2年前に始まったコロナ禍からこれまで、高齢者から若者まで幅広くコロナに感染するという状態が続いています。筆者は社会保険労務士も兼務していますので、従業員がコロナに感染するたびに、企業側から「何か受け取れるものはないのか」という質問も数多く受け付けてきました。
「発症すれば」、健康保険から傷病手当金という給付が受け取れます。ただ、休業してから4日目からしか給付されませんので、療養7日間に対する給付金は3日間しか支給されません。よって、有給休暇が残っているならそちらを使うほうが実用的という風潮になってきました。
ただ、民間保険では、最初の3日間に待機期間というのはありません。若いうちは、病気にもかからないし、医療保険なんて不要だという人もいます。ただ、このコロナの状況、そして乳がんや子宮がんなど、若くても「働けないリスク」に備えることは必要だといえます。
公的な保険料は賃金に連動しますが、民間保険は年齢や性別などで保険料が変わります。若いほど安くなる医療保険は、社会人になったときに検討しておきたいものです。
将来のために投資は必須!
国際決済銀行(BIS)が発表した、2022年1月時点の円の「実質実効為替レート」(2010年=100)は67.55。1972年6月(67.49)以来の円安水準となったのです。
さらに3月28日、海外市場で一時1ドル=125円台まで進んだため、今後の円安・ドル高が懸念されます。これは、円の対外的な購買力が低下していることを示しています。簡単にいうと、今100円で買えるものが将来100円では買えなくなるということです。
誰にでも訪れる老後準備のためには、投資を学ぶということが必要でしょう。まん延防止重点措置が解除(2022年4月時点)されましたが、まだコロナの脅威も去っていませんし、地震や噴火などの自然災害もいつ起こるかわからない不安定な世の中だからこそ、「人生のリスクに対応する」ための投資は欠かせないと筆者は考えます。
新社会人にとってNISAや確定拠出年金は貯蓄の第一歩
NISAやiDeCoという投資方法は、新社会人にお勧めです。日常生活もありますから、どちらも利用するのか、片方だけなのかは、金融庁のサイトでもわかりやすく説明されていますので、ぜひ参考になさってください(※2)。
この金融庁のコラムは座談会方式となっていますが、初心者の悩みに答えた内容となっています。「全額所得控除」や「拠出金」「非課税枠」など、学生の間には聞かなかったであろう特有の言葉も多く書かれていますが、長期間でじっくりと老後資金に備えたいということであれば、iDeCoはぴったりの制度です。
ただ、勤務先で企業DC(確定拠出年金)に加入できるのであれば、そちらも老後資金のための選択肢となりえます。2022年には年金改正が行われ、適用範囲も拡大されます(※3)。自分の勤務先ではどんな制度が利用できるのか確認しておくとよいでしょう。
(※1)ファイナンシャルフィールド「新社会人のための給与明細の見方を解説! 手取りってどう計算されるの?」
(※2)金融庁「教えて虫とり先生/第7回 iDeCoが良いという話も聞くけど…つみたてNISAもやった方がいいの? 両制度の違いは?」
(※3)厚生労働省「2020年の制度改正/企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大(2022年5月1日施行)」
出典
日本学生支援機構 ホームページ
BIS(Bank for International Settlements /国際決済銀行) ホームページ
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。