更新日: 2022.03.23 働き方
家族名義で副業してもバレないってホント?
では、副業を行っていることを会社に知られないように、家族名義で副業をすれば大丈夫なのでしょうか?
執筆者:小山英斗(こやま ひでと)
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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国は副業を勧めている?
2018年、厚生労働省が示している「モデル就業規則」から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という記載が削除され、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」といった「副業・兼業」に関する章が追加されました。
さらに2020年9月、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されました。このガイドラインは、副業・兼業を希望する人が安心して取り組むことができるよう、働く人と会社の双方に対して、労働時間管理や健康管理などを含めた対応方法について示しています。
また、ガイドラインでは副業・兼業に関する裁判例から、「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由」と示されており、副業・兼業のメリットについても多く触れられています。このガイドラインを基に、国や政府も「働き方改革」のなかで副業を推進しています。
働く人にとって副業は、以下のようなメリットが挙げられます。
●離職せずに別の仕事に就くことで、スキルアップやキャリア形成がしやすくなる
●本業の所得を生かして、やりたいことに挑戦でき、自己実現を追求できる
●所得が増える
●本業を続けることで、リスクを抑えながら将来の起業・転職の準備ができる
会社が副業を禁止にしている理由
会社によっては、就業規則で副業禁止を明記しているところも少なくありません。一般的な理由としては、「本業に専念してもらいたい」「社員の過重労働の懸念」などがあると思います。
前述のガイドラインでも、働く人が労働時間外に副業をすることは自由としながらも、以下の場合においては会社側でそれを制限することが許されるとしています。
●長時間労働などにより労務提供上の支障がある場合
●業務上の秘密が漏えいする場合
●競業により自社の利益が害される場合
●自社の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がある場合
副業OKによる会社にとってのメリット
国や政府も副業を推進するようになり、働き方が多様化している中で、副業を認める会社は以前より多くなっています。副業を認めることで会社にも以下のようなメリットがあることが、ガイドラインでは明示されています。
●働く人が社内では得られない知識、スキルを習得することができる
●働く人の自律性や自主性を促すことができる
●優秀な人材の獲得、流出の防止ができるため、競争力が向上する
●働く人が社外から新たな知識や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる
ガイドラインをきっかけに、副業を解禁している会社が増えているほか、会社によっては「週4日勤務」という働き方を取り入れて、無理なく副業にも時間を使えるようにしているところもあるようです。
家族名義で副業しても大丈夫?
副業をしようと思ったら、まずは就業規則で副業が認められているかどうか、しっかり確認しましょう。もし禁止されていても、ガイドラインで会社側が副業を制限することが許されているケースに該当しないのであれば、そのことを会社に説明して了解を得ることが可能かもしれません。
では、会社が副業を認めない場合、家族名義で副業をすれば会社にバレずに済むのでしょうか?
まず家族名義で副業をすることは、会社に副業が知られるかどうか以前に、下手をすると脱税となってしまう可能性もあるので十分に注意が必要です。
家族名義で副業をすると、その家族が確定申告を行うことになり、自分には副業による収入は一切ないということになります。確定申告する際の名義人は「実質所得者課税の原則」により、実質所得者でないといけません。実質所得者は、その事業の経営方針に関して決定権のある人だと認められる必要があります。
つまり、家族の名前だけ借りて、その家族が副業にまったくかかわっていないのであれば、本来の実質所得者ではないので発覚したら脱税扱いとなり、修正申告を求められることになります。そうなると副業だけでなく、脱税していることも会社に知られてしまうもしれません。
どうしても家族名義での副業にしたいなら、副業の実態としても家族を主体にしなければなりません。また、家族の収入として計算することで、その家族が被扶養者だった場合には扶養から外れて、支払わなければならない税金が多くなってしまう可能性があることにも注意が必要です。
まとめ
コロナ禍でテレワークが増え、時間を効率的に使えるようになったことや、働き方について考える機会が増えたことなども、副業をすることへの後押しとなっているようです。
また、これからは会社を選ぶときにも、「副業OK」かどうかが選択肢の1つになってくるかもしれませんね。
出典
厚生労働省 モデル就業規則
厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)