更新日: 2019.05.17 その他家計

「ご褒美」は家計にとって悪なのか EGGS ‘N THINGSの行列も家計的にはマイナスなの?

執筆者 : 柴沼直美

「ご褒美」は家計にとって悪なのか EGGS ‘N THINGSの行列も家計的にはマイナスなの?
世代・性別を問わずに、人気を誇るエッグスンシングスのパンケーキ。東京銀座では1時間待ちでも諦めることなく行列を伸ばしています。

一見、意味のないこの行動ですが、家計管理に結び付けられるモチベーションになることをファイナンシャル・プランナー目線で分析してみました。
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

モノ消費からコト消費という行動基準

現在、品質にこだわらずコストパフォーマンスを追及すれば、衣食住に困ることはまずないといえます。
 
そんな環境下、断捨離という言葉が市民権を得て久しく、限られたスペースのなかで必要かつ快適なモノに囲まれて生活することの価値が定着しています。メルカリやヤフオクといったネットサイトでのフリーマーケットが活況を呈しているのもその証左といえるでしょう。
 
筆者も、1個だと1000円、3個だと1500円と提示されていたとしても、いたずらに不必要な買い物をしないことが家計管理にとって重要であると、再三にわたりお伝えしてきました。
 
これと、生クリームが渦高く盛られたパンケーキを食すために行列に参加することに何の関係があるのかということですが、満足度の高い「コト消費」は日常生活に大きなプラスになることを強調したいと思います。
 
パンケーキとともに、自分と気のおけない仲間との笑顔をインスタグラムにアップする、あるいはエッグスンシングスでパンケーキを食べた事実を味わう、非日常的な「コト」を消費することは、思った以上に楽しくかつ日常生活を活性化させてくれます。
 
普段の生活では知らず知らずのうちに「より効率的に」「よりよいコストパフォーマンス」を意識していますが、それとまったく逆の、例えば長い行列に並ぶという経験をすることによって、日ごろの生活は意味のあることだと振り返ることができます。
 
より頑張ろうという気持ちにもなりますし、待ち時間の間の何気ない情報交換で、ほかの家庭のちょっとした話からヒントになる知識もはいってきます。
 

頻度を落とすことで満足度を上げる

こういったことは、頻繁に行わないから意味があります。足しげく通えば非日常ではなくなります。たまに行くから「ご褒美」としての価値も上がります。
 
3カ月後の新メニューが出るまでには、不必要なクレジットカードや保険の断捨離を終わらせる、といった目標を設定しておけば励みにもなります。また、目先の目標がコンプリートできなければ「ご褒美はお預け」というペナルティも作っておくとより効果的です。
 

自分へのご褒美は、あくまでも「たまに」そして「家計に響かない程度に」

このような非日常的・一見非効率的なご褒美は、あくまでも「たまに」そして金額は「家計に響かない程度に」なおかつ「モノ消費」ではなく「コト消費」を意識してやってみると、振り返りにストレス解消に役に立ち、あとで不用品の整理に頭を抱えずにすみます。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

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