更新日: 2019.05.17 その他家計
子どもの習い事、かかるお金は月謝だけではない 習い事費用の落とし穴とは
公立の小学校や中学校に通っている場合は、学校に払う金額というのは決して大きな額ではありません。数千円~せいぜい数万円。ほとんど負担はありません。
しかし、それ以外にかかる費用が「学校外費用」、つまり習い事などの費用です。今回は、家計における「習い事費用」の位置づけと認識のしかたについて考えてみます。
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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目次
公立の小中の教育費の60%以上は習い事で占められている
平成28年度子供の学習費調査(※)によると、公立小学校の学習費総額は約32万円。そのうちの67%(約21万円)が学校外学習費となっています。
公立中学校の学習費総額は約47万円。そのうちの62%(約30万円)が学校外学習費です。私立になると学校教育費が高くなるため比率は下がりますが、やはり私立小学校での学習費のうち40%は学校外学習費が占めています。
一般的に「子供を育てるのにいくらかかる」という数字は、習い事の費用が多くふくまれているのです。
(※)文部科学省 子供の学習費調査
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/1268091.htm
高学年になるにつれて、勉強系の習い事の比率が上がっていく
小学校の低学年のうちは、学習系の習い事が少なくスポーツや芸術などの比率が高いです。学年が上がっていくにつれて、塾や家庭教師などの学習系の習い事の比率は上がっていきます。これは特に驚くことではないですね。
公立小学校の学校外学習費(習い事)は小学1年生の時点では、勉強系の習い事が年間7万円。対してそれ以外のスポーツ・芸術系の習い事が約13万円となっています。
これが、小学5年になるとどちらもほぼ同じぐらいの金額となり、小学6年生になると、勉強系が13万円、それ以外12万円と逆転しています。塾通いは小学5年頃から多くなっているということがわかりますね。
中学に入ると、いよいよ学校外学習費は勉強系の費用が多くなります。高校受験を控えた中学3年は、勉強系以外の習い事4.6万円に対し、勉強系が約37万円と9倍近くの差が出ています。
習い事費用はいわゆる月謝だけではない
塾などの勉強系に限らず、スポーツや芸術系の習い事でもそうですが、習い事にかかる費用というのは、いわゆる毎月払う月謝だけではありません。
家計の収支がうまくいっていないご家庭の相談を受けたときに、こんなことがありました。
その家計の習い事の月謝自体は、2人兄弟で月に3万円強でした。収入からみたら、驚くほど多いということではありません。その割にお金が貯まりにくくなっています。よくよくお話を伺ってみると、習い事に付随した費用がとても高いということが判明したのです。
トータルで考えると、月3万円の習い事は実は6万円だった
2人兄弟で4つの習い事の合計は3万円強。1つは月謝8000円とそれほど高くなかったものの、自宅からかなり離れたところにありました。
有料道路(往復1200円)での送り迎えに加え、時間がかかるために習い事の日は学校が終わってから外食で補食(おやつ)を食べてからに向かい、終わったら時間が遅くなるので外食するというパターンになっていました。
もう1つの習い事は、月謝自体は1万円程度ですが、年に3回程度認定試験があったり、大会があったり、ユニフォームの購入があり、月謝以外に年間10万円程度の出費がありました。
毎月ではなく年に一度の支払や、月謝ではなく外食などに含まれていたわかりにくい出費があり、こういった付随費用をしっかりと計算してみたところ、月3万円強の習い事費用は、実は6万円を超えることが判明したのです。
相談者様は、月謝自体はそれほど高くないと認識していたので、たくさんお金をかけているというイメージは持っていませんでした。年間の付随費用も計算して月割りにしてみたところ「ずいぶん高い習い事ですね」と気づいたようです。
一度始めた習い事は、子供の気持ちもありますし、わずかにでも成果があれば簡単にやめることはできません。まずはなんとなく始めないことが重要です。
そしてすでに払っているものは月謝以外の負担もよく考え、どう付き合っていくかを改めて考えてみてはいかがでしょうか。
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催