更新日: 2024.10.07 家計の見直し

ファイナンシャルプランナーに聞く「暮らしとお金のアドバイス」①

ファイナンシャルプランナーに聞く①宮崎真紀子さん。「お金は身の回りの全てのものと繋がっています」

Interview Guest : 宮﨑 真紀子

ファイナンシャルプランナーに聞く①宮崎真紀子さん。「お金は身の回りの全てのものと繋がっています」

Interview Guest

宮﨑 真紀子

宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士。大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てファイナンシャルプランナーとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。
 
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
 

村田保子

執筆者:村田保子(むらた やすこ)

Financial Field エディター

 

 

岩田えり

Photo:岩田えり(いわた えり)

フリーランス・フォトグラファー

日本舞台写真家協会・会員。タレント・舞台俳優など人物写真を得意とする。

 

 

 

FPとして、得意としている分野を教えてください。

「病院の総合受付」のような立ち位置で、ご相談をお受けしたいと思っています。お金のことで漠然と悩んでいる方、誰に何を相談したらいいか分からない方に最初の入口として、全般的なことを気軽に相談していただきたいですね。
 
とくに独身の方、キャリアウーマンの方などの相談には力が入ります。私自身も主人と二人家族で、ずっと仕事をしてきたこともあり、そのような方々の相談は身近に感じますし、実体験をともなったアドバイスができると考えています。
 
FPには、専門分野に特化されている方も多いので、課題がはっきりと見えてきて、もっと深く掘り下げて相談したいというときには、専門分野に強いFPをご紹介するようにしています。
 
  

医療を受けるときに似ていますね。最初はかかりつけ医に相談して、問題があれば専門の病院を紹介してもらい、手術や治療を終え、経過観測の段階になったらまた戻ってくるような感じでしょうか?

まさにそのイメージです。保険の見直しなどで、必要に応じてFPに相談されてもいいのですが、住宅費、教育費、老後の資金なども含め、人生をトータルに捉えてアレンジしたほうが効果的です。FPとは長いスパンでおつきあいを考えていただき、定期的に相談していただけるといいと思います。
 
少しお金のことが見えてくると、一つの方向に集中してしまう方も多いです。たとえばお金を増やすことに一生懸命になってしまうとか(笑)。でも目標があってお金を増やすわけですから、手段が目的になってしまうのはよくありません。かかりつけ医のようなFPがいれば、その辺りもサポートを受けられます。
 
 

ご相談に来られる方は、どのくらいの年代が多いですか?

50代〜60代の方ですね。定年が見えてきて、親の介護なども気になっているなかで、老後の資金に不安をかかえている方がとても多いと感じます。これは年代に関わらずですが金融リテラシーの格差が広がっていて、ものすごく投資に詳しく私の知らないようなことまでご存知の方もいれば、普通預金以外の方法を考えられず、定期預金もしたことがないという方も。詳しい方はご相談するときも答合わせのような感覚でいらっしゃると思います。
 
そのような方には、ご自身のリスク許容度をしっかり見極めるようにアドバイスしています。
 
やはり心配なのは、お金に無頓着な方たちです。お子さまがいらっしゃると教育費がかかるため、お金の使い方を見直す機会をもたれることも少なくないのですが、とくに独身や子どもがいないご夫婦の場合、金銭的に余裕があるからこそ、なんとなく好きなだけ使ってしまっていたり、貯金はあるけどどうしていいか分からないという方が多いのです。
 
そういった方々は、最初は漠然としていても、一つ具体的な問題が見えてくると、芋づる式に悩みが出てくることがあります。よっぽどのことがないと相談には来られない方が多いのですが、ぜひもっと気楽にFPへの相談を活用し、お金に対する気づきのきっかけとしていただきたいです。
 
 

シニア世代が抱えているお金の問題とは、具体的にはどんな内容なのでしょうか?

50代になって給料が下がってしまったり、退職金が見込み額より少なくなってしまうことが判明したため、住宅ローンの返済が予定通りにいかないかもしれないとか、住宅ローンの繰り上げ返済を予定していたけど、老後資金が計画通りに貯蓄できていない、といった問題です。50代半ばから60代の方はバブル景気を経験していて、若い頃からお金をしっかりと使ってきたというタイプが多いんです。
 
住宅ローンを70代まで組んでいる人も少なくありません。現実を甘く見積もっていたことで、50代以降に節約が必要になり、どうしていいか分からなくなってしまうんです。そのような方々に、いきなり何万円も節約してくださいというのは難しいので、まずは3万円くらいの小さな節約に慣れていただくようにしています。
 
このときにどこをどう節約するかというテクニックよりも、マインドの持ち方に気をつけていただくことが大切です。今まで使えていたお金が使えなくなると、悲しくなったり卑屈に感じたりする方が多いようですが、ほとんどの方は節約をはじめても豊かな暮らしをされている場合が多い。恵まれているということを認識し直し、気持ちの豊かさを育んでいっていただきたと思います。
 
同じ1000円のランチをいただくにしても、感謝しながら食べるのと、わびしく感じながら食べるのとでは、その影響はまったく違ってきます。どちらにしても節約が必要なら、気持ちの持ち方の積み重ねで、ストレスを感じることなく家計をコンパクトにしていくことをめざしましょう。
 
 

50代以上の世代にとって、生活スタイルやお金とのつき合い方、価値観などを変えることは大変なことだと思います。豊かな気持ちをキープしたまま節約を成功させるために、何か役立つアドバイスはありますか?

お金の流れを「見える化」することは大切だと思います。キャッシュフロー表をつくれば、節約の必要性は一目瞭然になります。とくに男性は、キャッシュフロー表を見ると、いち早く理解される方が多く、自分でも細かいとこを書き入れるなど、がぜんやる気になられる方もいます。
 
女性なら家計簿をつけて収支を「見える化」することもで、大きな効果が出ることもあります。日々摂取する食事やカロリーを記録する「レコーディング・ダイエット」というダイエット法がありますが、家計簿はその手法をお金に置き換えたものと考えることができ、収支を自覚することで家計の改善につなげることができます。また、家計簿をつけはじめると、たくさんの細目を記録するのが面倒になりますから、無駄使いをやめるようになるという声も。
 
この辺りも、無駄に食べなくなる「レコーディング・ダイエット」の効果と同じですね。
 
お金というものは、美容、健康、整理整頓、生活習慣などの身の回りのすべてのものとつながっていると私は考えています。節約がダイエットと似ているということもそうですが、たとえば部屋が片づいていないと、ものが見つからなくなって探す手間がかかったり、イライラしたりしますよね。
 
それをお金に置き換えると、何にいくら必要か分からないから、使っていいかどうか判断できず、足りないかもしれないとイライラするというような状態。部屋が整理整頓できていれば、使いたいものがスムーズに取り出せるように、使うべきお金や貯蓄するべきお金がいくらなのか分っていれば、我慢しなくても貯金はできますし、使うときもすっきりと気持ちよく使えるはずです。
 
 

宮崎さんが、最近気になるお金に関するニュースや、今後注目していきたい話題などがあれば教えてください。

今後はたくさんの人が資産運用に興味をもたれると思います。投資の対象も多様化していくでしょう。駐車場や不動産などへの投資も、今まではまとまった資金が必要でしたが、現在はマンション一棟を大勢の人で運用するようなスタイルが登場し、一口オーナーになることもできます。
 
さらに、海外への投資に目を向ける人も増えると思います。私も職業柄、少額ずつでもいろいろな投資を試すようにしているのですが、海外の土地には魅力を感じ、最近ではカナダのオンタリオ州にある土地の区分所有者になりました。販売会社に実績があり、これから都市開発が進むエリアなので、リスクが少ないと考えたのです。海外の土地や建物などへの不動産投資では、好きな国や行きたい国を選び、旅行がてら開発の進み具合を見に行くことを、楽しみにしている人もいます。
 
さまざまな投資対象がありますが、気をつけたいのは仕組みが複雑なものです。とくに低金利の現在では、商品にも工夫を盛り込む必要があり、生命保険や大手金融機関の商品にも、プロでも理解するのが難しいような複雑な仕組みの上に成り立っているものがあります。もちろん信用できれば投資してもいいのですが、ご自身で仕組みが理解できないものは、損をしたときに納得感が得られないのでお勧めできません。
 
どんな投資にもリスクはつきものですが、どうせやるなら楽しみながらのほうがいいなと思います。
 

ファイナンシャルプランナーに聞く「暮らしとお金のアドバイス」①

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