更新日: 2022.01.02 家計の見直し
貯蓄できるとは限らない?! 夫婦共働きの場合にしておきたい家計管理のコツ
今回は、共働きが当たり前になりつつある時代の、家計管理方法のコツをお教えします。
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
共働きは必ずしも収入倍増計画ではない!
家族ごとに、お金への考え方、お金の管理方法はさまざまです。だからこそ、知っておいていただきたいのは、妻が働き始めても、それだけで手元に残るお金が増えるわけではありません。
重要なのは、収入が増えたから貯蓄ができるとは思わないことです。共働きで収入が多いからこそ、支出もそれに伴い増えるというケースもあります。
住宅ローンなどを、ご夫婦がそれぞれ返済されるケースにも要注意です。夫婦とも同程度の収入があると、財布が2つあるという安心感から、家計の見直しをせずにそのまま貯蓄できない状態が続くこともあるからです。
住宅ローンの借り換えをしたり、子どもの成長に合わせて生命保険を見直したりという、家計の見直しを怠ると、高い利子のまま住宅ローンを返済し続けていたことにも気づかないということは珍しいことではありません。
夫婦別財布でもできる家計管理方法
家計管理といえば、昔ながらの家計簿をつける方法もありますが、残高をあわせるために、使途不明金の原因を探るのが嫌になったりして、続かない方もいらっしゃるものです。
特に、コンビニでちょっとした買い物をしたときのように、レシートを受け取らない可能性がある少額の買い物も含めると、1ヶ月の支出を思い出すだけでも大変です。
今は、家計簿の手間を省いてくれるような方法がたくさんあります。レシートを貼り付けるだけの家計簿や、スマホのアプリでレシートを読ませて自動的に集計して家計簿に入力してくれるなど、自分に合った家計簿の付け方を考えてみましょう。
忙しい共働き夫婦がやりやすいおすすめの家計管理方法は
(1) 家計簿アプリをインストールして、いつでも手軽に入力できる方法
(2) 家計口座を作り、クレジットカードのカード明細で家計簿代わりとする
など、「キャッシュレス決済の方法で支出を一元管理する」という2つの方法です。家計の見直しは、夫婦そろって見直しをしなければ意味がありません。
子どもの保育料や住居費、水道光熱費などの固定費は夫、レジャー代や外食代などの変動費は妻など、支出項目ごとに決めているご家庭もありますが、収入がずっと同じではないでしょうから、それに合わせてちゃんと支出の割合も変化させているかどうかは、全体のバランスを見るという点でもとても大切なことです。
忙しい毎日でも方向性は一致させておきたい
共働き家庭で子どもがいると、毎日はとても忙しいものです。朝はご飯を食べさせ準備するだけで精いっぱい、保育園のお迎えから帰宅したら、食事の支度にお風呂に洗濯、夫婦でお金の話をする時間をとるのはなかなかできないというのも当然でしょう。
ただ、お金を貯めるために、夫婦で希望を統一させることは、家計管理の第一歩です。そのために、家族のライフベント表やバランスシートを作成してみましょう。
例えば、日本FP協会がホームページで紹介しているライフイベント表の記入方法のポイントは、大きな支出で考えられることは金額もしっかりと書き込むこと。例えば、夫は3年後に新車300万円、一方、妻は5年後に新車200万円、など思惑が異なるケースもあるでしょう。
夫の意見を通すのか、それとも取りあえず車のローンを組むのかは、各家庭の意見となりますが、健全な家計運営のためには、ローンに頼らず、目標年数を決めて目標金額に向けて「貯蓄する」という方法が安全策といえます。
そのために、バランスシートを作成し、毎年時期を決めて、どれだけの貯蓄ができたのか、確認を行い、貯蓄できた金額を目的ごとに振り分けます。時期は、税金の確定申告に合わせて12月31日とするのもよいですが、子どもがいるご家庭であれば、進級や進学などに合わせて年度末の3月31日にするのもよいでしょう。
住宅取得の時期も、「頭金0円でも、賃貸料くらいの負担で家を取得できる!」という広告をよく目にしますが、すべてをローンにすると、返済する総額は頭金を準備するよりも多くなることが多いです。
「賃貸と同じ程度」などという言葉をうのみにせず、しっかりと自分たちで計算したうえで、方向性を一致させておきましょう。
年末年始は、年末調整から確定申告の準備と、所得税を計算する時期ということもあり、家計を見直ししやすい時期といます。冬の休みのあいだに、少しでも「わが家の家計方針」を話し合う時間をとることを心掛けてはいかがでしょう。
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。