家計のやりくりで失敗してしまう人が「節約」以前に大切にしたいことって?
配信日: 2021.12.08
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
むやみな節約はストレスの原因になることも
「節約が苦手」「がんばっているのにうまくいかない」「なかなか続かない」という人は、もしかしたら一生懸命なあまり「つらい節約」になってしまっているのかもしれません。
なんでもかんでも我慢ばかりで苦しい節約は、一時的に支出を抑える効果があったとしてもなかなか継続できません。
それどころか、ストレスがたまった結果、ふとした拍子に衝動買いなどパーッと散財して努力が無駄になってしまう可能性もあります。ハードなダイエットをしたあとにリバウンドしてしまうのと同じですね。
そもそも、楽しく快適に暮らしていくためにお金を用意しているはずなのに、お金を用意するために苦しくストレスだらけになってしまっていては本末転倒です。お金はあくまで目的を達成するための手段に過ぎません。
支出を見直す前に自分の価値観を明確にしておこう
「つらい節約」にならず、今の日々を楽しみながら無理なく支出を抑えるためには、お金をかけるところとかけないところを明確に区別しましょう。
すべての支出を等しく抑えようとするのではなく、使うところは適度に使う、使わないところは徹底的に省くといった、メリハリのある使い方を心がけたいところです。
この方法なら節約しつつも使いたいところにはしっかり使えるので、ストレスになりにくく最終的に節約行動を続けやすくなります。
「家にいる時間が長いから、服や美容は最低限でよいけど快適な住環境にお金をかけたい」と考える人もいれば「今はマイホームの夢よりも子どもにしっかりした教育を受けさせてあげるのが優先」と考える人もいます。
家計改善を考えるなら、まずは自分や家族は何にお金を使うと最も幸せを感じるのか考えてみましょう。
一見すると遠回りのようですが、なんとなく小手先のテクニックをまねするだけよりも本質的な答えに近づきやすく、実際に支出を見直すときに納得感を持って積極的に取り組めるでしょう。
お金の価値観を明確にするには?
むやみやたらに節約に取り組む前に、自分のお金の価値観を棚卸しして節約すべきポイントを見極めることが大切です。
価値観は人によってさまざまです。ただ、自分の判断基準を「みんなこうしてる」「流行している」「周りと違うから恥ずかしいかな」など、他人任せにするのはおすすめしません。あくまで自分はどう感じるか、心の声に正直に「自分軸」を大切にして考えてみましょう。
ピンとこない場合は、もう少し具体的にイメージしてみましょう。例えば、以下のよくある家計の支出の中で、あなたが特にこだわりたい費目・積極的にお金をかけたい費目はどれでしょうか。
第1位~13位まで、優先順位をつけてみましょう。ほかにお金を使うことがあれば費目が追加しても構いません。
□食費
□住居費
□水道光熱費
□通信費
□日用品雑貨費
□教育費
□交際費
□洋服代・美容費
□趣味・娯楽・レジャー費
□保険料
□車両費
□自己投資費
□税金
手にできるお金には限りがあります。より優先順位が高い費目にお金を振り分けられるよう、優先順位が低い費目は工夫をしながら徹底的に節約しましょう。
逆に、優先順位が高い費目で無理に節約すると、理想をかなえられずに不満が残ったり、我慢が続いて苦しくなったりするかもしれません。
単身なら自分の判断だけで実行できますが、ときどき夫婦間でこの価値観がズレていて、あとあと言い争いや仲たがいの原因になってしまうケースがあるようです。
家庭内でズレを解消して同じ方向を向いていっしょに努力していけるよう、「お金の家族会議」のようなものを開いて、それぞれが優先順位をつけた表を見せ合って話をしてみるのもおすすめですよ。
まとめ:お金の使い方に「メリハリ」をつけよう!
人によって価値観は違います。ちまたに流れる節約術や支出の見直し方が、あなたにもぴったり合うとは限りません。
「お金を貯めたい!」とすべてを我慢してつらい節約生活を送る前に、ひと呼吸おいて、自分がお金をかけたいこだわりポイントとそうではない部分の区別をはっきりさせましょう。
日々の暮らしを楽しみながら堅実に貯金していくために、自分の中や夫婦間で価値観をすり合わせ、メリハリをつけたお金の使い方をしていきたいですね。
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表