更新日: 2021.09.03 貯金

貯金が「0円」の人はどのくらいいる? 貯金していないとこの先どうなる?

貯金が「0円」の人はどのくらいいる? 貯金していないとこの先どうなる?
自分たちの家庭では貯金がまったくできないけど、他の家庭では貯金ができているのだろか……。貯金が「0円」の人って、どのくらいいるのか……、と気になっている人もいることでしょう。」実のところ、貯金がない人はどのくらいいるのか、貯金していないと将来的にどうなってしまうのかを考えてみます。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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貯金がない世帯は全国で38%にのぼる

厚生労働省では、毎年、預貯金がどれくらいあるのかなどの項目を備えた、生活意識調査を行っています。2019年に行われた調査では、預貯金がない世帯、つまり金融資産のないと回答した世帯は全体で38%にものぼることが分かりました。世帯主の年代別では、20代が45.2%、30代が36.5%、40代が40.5%、50代が37.2%、60代が29.8%という結果になっています。
 
年代が上がるほど、お金持ちのようなイメージを抱きがちですが、実際には、年金を受給している60代でも3割近い29.8%の世帯において貯蓄がないことが分かりました。
 
もちろん、年代ごとにお金が貯められない事情もあるかと思います。
 
例えば、20代の場合では給料が低く預貯金にまわす余裕がない。30代、40代の場合には子どもにお金がかかる、住宅ローンを組んで貯蓄ができない。50代では子どもにお金がかからなくなったものの、両親の介護費用の負担が生じてしまう、などが挙げられます。
 
また、貯蓄がないと答えた人の生活の状態は、そのうちの45.6%が大変苦しいと回答、34.0%がやや苦しいと回答しています。実に、8割近い世帯の人たちが、生活が苦しいと感じていることになっています。
 

貯金がないとどうなるの?

貯金がなくても、家族全員が元気に過ごし、働くなどして収入を得ることができれば、何とか生活し続けることはできるかもしれません。
 
とはいえ、年齢を重ねることで雇用先がなくなってしまう、病気等が原因で働くことができなくなってしまったときには、生活そのものが立ち行かなくなってしまう可能性があります。
 
また、貯金がない・できない世帯のなかには、医療保険等に加入していないという世帯もあるかもしれません。
 
手術や入院をすることになった際、基本的に入院費や治療費は高額になった場合には高額療養費制度の対象になるため、払い戻しを受けることができますが、まずは一度ご自身で全額を支払う必要があるかもしれません。そうなると、貯金がまったくない場合には、自分たちが望む治療そのものが受けられない可能性も出てきてしまうのです。
 
老後に受け取ることのできる老齢基礎年金額は、満額で年間78万900円(2021年度)です。もちろん、会社員の場合、厚生年金も上乗せされますが、生命保険文化センターが行った調査によれば、夫婦2人の最低日常生活費は、月額で平均22.1万円という結果が出ています。
 
年間で265.2万円必要となる計算ですので、夫婦2人で受け取る年金額が生活費と比較して足りない場合には、預貯金で補てんすることが必要となります。
 

今できることからスタートする

しかし、諦めるのはまだ早いです。今できることから、コツコツと進めていくことが大切です。
 
基本的には、毎月、少しでも良いので貯金をするように頑張ってみましょう。そのためにはアルバイトや副業等で収入を増やす、家計を見直してムダを見直すなどがあります。
 
また、自治体や政府には、生活に困っている人たちに対していくつかの援助する仕組みもあります。具体的には、年金保険料の免除制度、生活保護等があります。
 
生活が苦しくなると年金保険料を滞納してしまう人もいらっしゃいますが、年金は老後に受け取るだけでなく、障害を負ってしまったときには、障害年金として受け取ることができます。
 
年金の支払いが一定の期間未納になってしまうと、障害年金を受給できなくなることもあります。生活が苦しくて支払いが難しい場合には、社会保険事務所へ行って、どのようにするべきか、対策を踏まえて相談することが必要です。
 
最もやってはいけないことは、何もせずに、そのままの状態にしてしまうこと。諦めずに、今自分にできることを考えて、行動していきましょう。
 
出典
厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書 —令和時代の社会保障と働き方を考える—」図表1-8-19 貯蓄の有無・額別にみた生活意識(2019年)
生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
金融広報中央委員会 知るぽると「各種分類別データ(令和元年)」
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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