更新日: 2021.08.06 その他家計
残業代をあてにする生活は危険!? どんなリスクがある?
こうした改正は、残業ばかりで過酷な労働条件だった方にとって朗報である一方、残業代が減少することで手取り収入が減ってしまったという方もいるのではないでしょうか。
この記事では残業代の減少が家計に与える影響と、収入減少への対策方法について解説します。
執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。
時間外労働規制とは
日本の労働者の法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。また、残業(時間外労働)の上限は、臨時的な特別の事情がない限りは月45時間、年360時間と定められています。
特別な事情がある場合は、労使が合意する「特別条項」を締結することで、残業と休日労働の合計が月100時間未満、2~6ヶ月の平均で80時間以内、年720時間以内までの残業を行うことが認められています。なお、月45時間の残業時間の上限を超えて良いのは年に6ヶ月までです。
労使の合意があっても、上記の時間を超える残業および休日労働は認められていません。労働者の立場で考えるなら、労働基準法の改正で過労を防止できる安心感は広がったものの、会社が労働時間に厳しくなればなるほど残業代が減ってしまう場合があります。
残業の減少が家計に与える影響
残業代の減少によって家計の収支が悪化することも考えられます。収入が減少しても意識的に支出を見直さなければ、だんだんと貯蓄が減少してしまうかもしれません。
急な失業の場合などと比べて残業代の減少はすぐに家計に表れづらく、気が付かないまま預貯金を取り崩すことになっているケースもあります。毎月の給与明細を確認し、残業代の減少が見られるようであれば、家計の支出改善を早めに行っていきましょう。
固定費の削減
支出改善を行う際に大事なポイントは、固定費を中心に見直すということです。もちろん変動費も抑えたいところではありますが、生活水準を落とすことは容易ではありません。生活スタイルを変えない範囲で工夫してできる固定費の削減が、優先順位の高い支出改善策になります。
例えば住宅ローンを借りている方は、金利の低い銀行に借り換えを行うだけで月に数千円から数万円程度の支出改善が見込める場合があります。
住宅ローンの市場は銀行間での競争原理により、年々低金利の商品が打ち出されているため、自身が借りたときよりも有利な条件の住宅ローンが見つかる可能性もあるでしょう。
保険料の見直しも固定費の削減につながります。加入したときには必要だと思っていた特約が、時間の経過とともに状況や考え方が変わり、不要になっているケースはあります。
例えば子どもが小さい時期に加入した保険がある方で、すでに子どもが自立しているという場合は保障内容を見直せる余地があるかもしれません。
固定費の削減では、スマホなどの通信費の見直しも有効です。毎月使用している通信量と契約中のプランが合っているのか確認をしてみましょう。高額なプランを利用しているにもかかわらず、通信量を使いきれていないことが分かる場合があります。
データ通信の使用量、使用頻度に過不足ない形でプラン変更を行って通信費を削減できることはありますが、変更によって機種代に付帯されていた割引が適用されなくなるなど、結果として割高になっていないか必ず確認してください。
また、ほとんど使用していないインターネットサービスのサブスクリプション契約がある方は、早めに解約したほうがいいでしょう。
収入アップ(転職)
今の会社の収入では、どうしても貯蓄の減少が止まらないという方は、転職を検討するのも1つの手です。半年から1年ほど勉強して資格を取得するなど、スキルアップのための努力を行うことで、条件が良い企業に転職できるチャンスが広がるかもしれません。
収入アップ(副業)
最近は副業を認めている企業も少なくありません。自身のスキルや趣味を生かして、勤務時間外でお金を稼ぐ方法を検討してみるのは得策です。
例えば、長年スポーツを続けている方は週末にできるインストラクターの副業を探したり、趣味性の高い分野の知識が豊富な方はブログの立ち上げ、コレクターの方はフリマアプリでの商品の取引などで収入を得られることがあります。自身の可能性を考えてみましょう。
いつも危機感を持って収支改善の可能性を探る
企業にとって人件費は大きな支出項目の1つです。組織で働く労働者である以上は賃金の伸び悩み、または減少については常に想定しておく必要があります。
家計の支出削減に努めることはもちろんですが、自身のスキルアップや収入源の増加を図ることで残業代の減少に対応する力が高まります。
出典
厚生労働省 時間外労働の上限規制
厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)