更新日: 2021.03.29 働き方

フリーランス妻が仕事復帰で注意すべき130万円の壁

フリーランス妻が仕事復帰で注意すべき130万円の壁
年金や健康保険など、社会保険料の支払いのポイントとなる「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」について、それぞれどのような基準で設定されているか、ご存じでしょうか。
 
今回は、最近仕事を始めた方が気にするべき収入の金額を具体的に解説します。
下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

103万円、106万円、130万円の壁

今まで専業主婦として夫の扶養家族だった方が、家計のために仕事に復帰することはよくあります。家事とのバランスを取るためにフルタイムの正社員として働くのではなく、パートタイマーとして働いたり、フリーランスとして仕事をする方も多いでしょう。
 
このような方々は、次の3つの数字について確認しておくことが大切です。収入の金額によっては、税金や社会保険料が大きく増える可能性があります。
 

103万円の壁

パートによる収入金額が103万円以下で、ほかに所得がなければ、所得税はかかりません。つまり、103万円を超えると税金を支払うことになります。また、収入金額が103万円以下の場合、配偶者控除を受けることが可能です。なお、配偶者控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合は、配偶者控除は受けることはできません。
 

106万円の壁

一定規模以上の会社で働き、パートやアルバイトによる年収が106万円を超えると、健康保険や厚生年金保険料などの社会保険料を支払う必要があります。
 

130万円の壁

規模が小さい会社に勤めていたり、フリーランスで働いている方の場合、年収が130万円を超えると、国民健康保険に加入する必要が出てきます。
 

フリーランスの方が気にするべき金額

パートタイマーなど、会社で働いている方は、「103万円」と「106万円」の壁を気にする必要がありますが、自分で仕事を始めたフリーランスの方の場合、103万円と106万円の壁は関係ありません。収入に大きな影響があるのは「130万円の壁」です。
 
年金については年収130万円以下の場合、第三号被保険者として、年金保険料の支払い義務はありません。しかし、フリーランスの年収が130万円を超えると、第一号被保険者となり、自分で年金保険料を支払います。
 
健康保険については、全国健康保険協会において認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。この条件から外れると、自分で国民健康保険に加入しなければなりません。
 

壁を越えた場合に支払う金額

フリーランスの方の年収が130万円を超えた場合に支払わなければならない第一号被保険者の年金保険料は、1ヶ月当たり1万6540円(令和2年度)です。国民健康保険の保険料と合わせると、年間で約29万円の社会保険料を支払う必要が出てきます。
 
例えば、年収が129万円だったときには、社会保険料を支払う必要がありませんが、年収が1万円増え130万円となった場合、保険料として年間29万円の出費が増えてしまうことになります。
 
フリーランスで仕事をしていて年収が130万円を超える場合は、少なくとも年収160万円以上を稼がないと、家計の収入が減ってしまいます。自分で仕事量をコントロールできる場合は、ぜひ頭に入れておくようにしましょう。
 
いかがだったでしょうか。健康保険や年金など、夫の扶養から外れるポイントを理解しておくと、保険料で損をしてしまうことを防ぐことができます。今回ご紹介した内容を参考にしながら、フリーランスとして仕事復帰を考えている場合、必ず確認しておきましょう。
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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