更新日: 2024.10.07 家計の見直し
お金が貯まる体質になるコツって?毎月かかる「固定費」を見直すときのポイント
この方法は効果的ですが、精神力に頼る部分も大きく「誘惑に弱い」人にはこれだけでは難しいかもしれません。今回も「お金が貯まる体質になるコツ」をお伝えしたいと思います。
執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役
「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。
西山ライフデザイン株式会社 HP
http://www.nishiyama-ld.com/
家計を固定費から見直す
通常、節約することを考えた場合、例えば「スーパーなどのチラシをこまめにチェックし、必要なものを安く買う」などの方法を思い浮かべるでしょう。もちろん、コツコツと節約することは悪いことではありません。
しかし、スーパーなどでの節約は1回の買い物でせいぜい数十円から数百円程度の節約だと思います。月額にしても1万円の節約にはならないでしょう。
一方で、毎月かかる固定費を見直す方法があります。すなわち、光熱費、通信費、保険料や家賃などです。固定費は毎月かかるものなので、一度見直すとその先ずっと効果が継続します。年額に直せば数万円あるいはそれ以上の効果が期待できる場合があります。
電気代・ガス代
ご存じとは思いますが、ガスや電気は数年前から「自由化」され、消費者が好きなガス会社、電力会社を選んで契約できるようになっています。中、ガス代と電気代をまとめることでさらに割引が受けられるサービスもあります。
電力会社やガス会社は使う人それぞれの「使い方」によって金額に差がつく料金設定プランを設定しています。昼間に誰かが家にいる家庭では昼間も電気やガスを使うでしょうが、昼間は誰も家におらず主に使うのは夜間と休日だけという家庭もあるでしょう。
ここで注意しなければならないのは、携帯電話の料金などとセットになっているような場合です。特定の携帯電話会社を利用している人に電気代やガス代がお得になるようなプランを選ぶ際に注意が必要です。
こうしたプランを選ぶと容易に乗り換えができません。これは携帯電話会社の「顧客の囲い込み」の手法の一つと考えられます。
通信費
通信費でまず思い浮かぶのは「携帯電話料金」でしょう。すでに大手3社(docomo、au、ソフトバンク)もそれぞれ以前よりも安いプランを発表するなどしていますが、今後「楽天」の参入が予定されているほか、すでに浸透している「格安携帯会社」もプランを見直し、メニューが拡充しているところもあります。
他社への乗り換えには手数料がかかることなども考慮する必要はありますが、自分にとって一番お得なプランを用意している携帯電話会社に乗り換えるのも効果的です。
保険
数多くの保険を扱う代理店では、お客さまのニーズを聞いたうえでその方に最も適した保険を紹介する会社があります。
複数の保険会社の商品を取り扱い、その中から「あなたにはこんな保険が必要です」と勧められると思いますが、果たして本当にその保険が必要なのかを最終的に判断するのは加入者本人です。中不必要な保険を勧められたようなケースもあります。
保険の基本的な考え方は、貯蓄では賄えないほど大きな支出が必要になるケースをカバーすることだといえます。
例えば、自動車を運転していて人身事故などを起こしてしまうと、億単位のお金が必要になる場合があります。これだけの金額を貯蓄でカバーできる人はほとんどいないでしょうから、自動車保険には入っておく必要があるといえます。
最近は自動車保険もネットで加入できるものが増え、保険料も各社で差があります。
どの保険会社も一定の基準を満たしていなければ営業が継続できないことから、どの保険会社を選んでも大きな差は出ないと考えられます(もちろん、各保険会社は他社と差別化を図るため、保証範囲などでさまざまな工夫をされていますので、そうした違いを知ることは重要だと思います)。
生命保険の場合はどうでしょう。例えば、お子さまがいない共稼ぎのご夫婦の場合、どんな保険が必要でしょうか?
生命保険は、もし被保険者が亡くなった場合などにご家族がその後も資金面で苦労せずに生活できるかどうかが最も大きなポイントでしょう。大事な配偶者が亡くなればその精神的なショックは大きいことは理解できます。しかし、保険金が出なくても生活できるならば、多額の保険金は必要ないといえます。
一方でお子さまがいる場合はどうでしょう。お子さまが成長する過程で必要な養育費、教育費は幼稚園・保育園から大学卒業までで少なく見積もっても1000万円以上かかります。
お子さまが2人いればその倍。場合によってはベビーシッターや学童保育、家事を手伝ってくれる方を頼む場合もあるでしょう。これだけの費用を残された配偶者ひとりだけでカバーするのは難しい場合が多いのではないでしょうか?
こうしたケースに備えるための生命保険は必要です。逆にいえば、余るほど多額の保険は不必要だといえるでしょう。
住居費
住宅費はどうでしょう。すでに住宅を購入されている方は、支払っている住宅ローンを見直すことで月々の支払いを少なくしたり、支払う期間を短縮したりするなどの方法もあります。
最近は超低金利です。10年前のフラット35の金利は2%台後半、3%前後でしたが、今は1%台前半。
もし現在の住宅ローンが、残りの返済期間25年、金利2.8%、借入金の残債3000万円の人が返済期間25年、金利1.11%の住宅ローンに借り換えた場合、総返済額は借り換えに伴う手数料を考慮しても680万円以上少なくなることになります。月々の返済額も約14万円から約11.5万円に圧縮され、年間では30万円もの大きな差が出ます。
賃貸の場合、家賃の値下げはなかなかハードルが高いですが、契約更新の際に「ダメもと」で申し入れてみてはいかがでしょうか? もし下がらない場合は家賃の安いところに引っ越す、などという選択肢もあるならば交渉もできると思います(あまりやり過ぎて大家さんと険悪になるのは避けたほうが無難ですが)。
まとめ
なかなか削減できないと思っている固定費も、じっくり考えてみると削減できる可能性があるのではないでしょうか? 大切なのはこれらを実行に移すことです。先述のとおり、固定費は削減するのに手間はかかるかもしれませんが、一度下げられれば、その効果が長期間にわたって継続します。
このひと手間を行動に移すときにも、前回お伝えした「家計のキャッシュフロー表による将来予測」は役立ちます。「実現したい目標のために」と考えることで、このひと手間を行う目的が見えてくるでしょう。そして、こうした考え方が定着することで「お金の貯まる体質」への改善が進んでいきます。
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役