更新日: 2024.10.07 ライフプラン
大学の進学費用が足りないかも!? と不安になった時の解決方法
おおまかにでも把握しておかないと、進学直前になり大慌てで資金繰りに奔走する、なんていう事態になりかねません。また、計画的に貯金はしていたものの、当初の予定と違う教育プランとなり、結果的に不足してしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、現時点の貯金額が少なく、大学進学までの期間が迫っている場合の卒業までの対策について、考えてみたいと思います。ここでは、高校までは無事に預貯金内でクリアできているものとします。
執筆者:井上美鈴(いのうえみすず)
ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表
~シングルマザー・子育て世代にお金の話をわかりやすく伝えるFP~
家計管理・公的制度の紹介・教育費や老後資金の貯め方・奨学金・投資などすぐに役立つお金の話」を分かりやすく伝えるFP。
漠然としたお金の不安を感じる時間をなくし、「子育てという限られた貴重な時間」や「自分自身が望む豊かな時間」を大事にしてもらいたいという思いで活動している。
離婚後3年で教育資金を貯めた、自らのシングルマザー体験が強み。
金融機関(証券会社・銀行)・公立学校事務員・派遣会社コーディネーター等のさまざまな仕事を経験。現在、大学生の子どもを育てるシングルマザー。
https://lifesinfonia.com
入学前の費用と進学に必要な費用を知る
受験から大学卒業までには、どのくらいの費用が必要なのでしょうか。
日本政策金融公庫の調査(※1)によると、国公立でも約500万円、私立文系では約740万円、私立理系になると約808万円が必要になります。
ここでの「入学費用」には、進学する学校納付金の他に受験にかかる経費なども含まれます。
では、「入学費用」をもう少し細かく見ていきましょう。
受験費用は、受験したすべての学校・学部にかかるもので、受験料の他に交通費や宿泊代も含まれます。
学校納付金の支払いの時期は、合格が決まってすぐになります。AOや推薦入試を考えると、高校3年の夏までにはいつでも現金化できるようにしておきたいものです。
この他に、前期分の学費を3月までに支払う大学が多いようです。自宅外通学の場合は、アパート敷金、家財道具の購入費などがさらに必要になります。これらの準備費用は、同調査では平均約117万円となっています。
それ以外にも、資格取得を考えていれば、1年次から学費とは別に対策講座などの費用がかかる場合があります。
実際に受験する大学の学費や入学金、またその納入時期などを調べておくとよいでしょう。
いつの時点でどのくらい貯金があればいいのか
私立大学文系で自宅通学希望の場合は、受験までに上記の表の入学費用合計93万円と学費が年約90万円(※2)かかります。
その他に、入学準備金(スーツ、パソコン購入、教材費、定期代、通学服など)が必要です。筆者宅では、この入学準備金は約20万円になりました。
各ご家庭によって大きく変わる項目ではありますが、受験時に約200万円の貯金があれば前期分まで、約250万円の預貯金があれば1年目までは、なんとか乗り切れるでしょう。
それ以降は、貯蓄や家計での工夫、お子さまのアルバイト、在学時に申し込む日本学生支援機構の奨学金、学校独自の奨学金、または教育ローンなどでどのようにやりくりをしていくかを家族で話し合い、具体的な金額を書き出してみるとよいでしょう。
利用できる制度は活用
まずは、高校3年生で募集される日本学生支援機構の予約奨学金で、貸与型の第1種(無利子)と第2種(有利子)、返済不要の給付型と条件にあったものを申し込んでおきましょう。
ひとり親家庭の方には、無利子の「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」という制度があります。日本学生支援機構の給付型・無利息の第1種の採用が難しい場合はこちらを考えてみましょう。
また、大学独自の入学前予約型奨学金(給付型)もあるので、願書を出す前に大学のホームページなどで制度の有無を確認し、条件に合っていれば申し込んでおくとよいでしょう。採用されていれば安心して進学できますし、だからといって必ず入学しなければいけないわけでもありません。私立大学だけではなく国公立大学にもこの制度はあります。
受験する大学をよく検討し、受験にかかる具体的な費用を把握する、入学金の複数払いを回避するために受験日程の調整をするなど、できることはたくさんあります。
入学後も民間や大学独自の給付型奨学金をチェックし、条件に合ったものに申し込んでいくとよいでしょう。また、新聞奨学生など働きながら学費の支払いができ卒業後に返済を残さない方法もあります。最近では、介護現場で働きながら学費を支払うというタイプのものもあります。
とにかく情報収集が大事!
情報収集をしっかりとして、手続きの手間を惜しまなければ大学卒業までやりくりしていくことは可能です。
情報量の差で、かかる費用も大きく変わってきます。受験は情報戦と言われますが、進学費用の面でも同じと言えるでしょう。
出典
(※1)日本政策金融公庫 平成29年度「教育費負担の実態調査結果」
(※2)文部科学省 私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
執筆者:井上美鈴(いのうえみすず)
ファイナンシャル・プランナー,ライフシンフォニア 代表
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