更新日: 2019.06.28 家計の見直し

節約の第一歩としてレシートを「Joy」「Better」「Goodbye」に分けてみよう

執筆者 : 波多間純子

節約の第一歩としてレシートを「Joy」「Better」「Goodbye」に分けてみよう
節約の第一歩は「ムダなお金は使わない」ことだと考える方も多いでしょう。しかし、そもそも、「ムダだな~」とか「これ全然必要ない」と思って買い物をすることはありません。少なくとも、買うときには必要だと思うものにお金を支払っています。
 
ならば、買ったものをまずは肯定したうえで、より納得のいく買い物ができるように方向づけする方が、精神衛生上よいですよね。
 
波多間純子

執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)

㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント

「お金しだい」の人生から「自分しだい」の人生への選択をサポート。家計相談28年、相談件数4,000件超。家計相談と合わせて、その方の才能や適職を診断し潜在能力を高める「咲かせようじぶん資産」をテーマに個人セッションとワークショップを開催。

レシートを「Joy」「Better」「Goodbye」に分ける

よい買い物になったかどうか確認するためには、振り返りがかかせません。そこで、レシートを使って、手間をかけずに振り返る方法をご紹介します。
 
用意するのは3つの箱と、1週間分のレシート。箱にはそれぞれ「Joy(よろこび)」「Better(よりよく)」「Goodbye(さようなら)」と書き込みます。次に、レシートの内容を確認しながら、買ったものに対する気持ちに一番フィットする箱へ振り分けていきます。
 
3つの箱に表記した言葉の意味は、次の通りです。
・Joy=自分や家族にとって、喜びやよい経験をもたらしてくれた買い物
・Better=次回からは、よりコスパのよいものに変えたり、同じ値段ならより品質の優れたものに変える余地のある買い物
・Goodbye=そのときはよいと思って買ったけれど、今後の自分にとって必ずしも必要のない買い物。買ったことすら覚えていないくらい、無意識に買ったもの。自分にとって明らかに悪影響のある買い物
 

 

見直すのは金額ではなく感情

ここで大切なのは、振り返ったときのあなた自身の感情です。使った金額ではなく、買い物の背景にある「買った動機」に注目します。節約したい場合、「より安く」と、金額を基準に選びがちです。これがエスカレートすると、支出そのものに罪悪感を抱いてしまいます。
 
家計管理は日々の営みの一部ですから、自分を責めるような苦しい節約は、長い目で見ると人生に悪影響。買い物自体の満足感が下がることで、むしろムダな買い物が増えるという悪循環に陥ることすらあります。
 

喜びの感情を意識的に味わう

自分の素直な感情に基づいて分類しましょう。そうすると、買ったものや経験から得られた喜びの印象がどんどん蓄積していきます。結果的に、買い物に対して満足感が上がり、ムダづかいは減っていきます。
 
「Joy」には一般的に、真っ先に削りがちな外食や旅行などが入ることがよくあります。それが豊かな時間であれば、心の滋養になります。「Joy」の買い物を増やしたいと思うほど、「Better」や「Goodbye」の買い物を抑える動機づけになります。
 
「Better」は、買い物に工夫の余地のあるものです。大根1本であっても地産地消や低農薬にこだわるなど、自分の価値観に照らし合わせて選び直しましょう。同じ品質なら、より安く買う方法をとことん探しましょう。
 
限られた予算の中で、かしこくお金を使う訓練になり、家計のやりくりに自信がつきますよ。
 

ムダづかいをなくすには行動を変える

「Goodbye」は、思い直すと不要だったと気づいた買い物です。結果的に満足度の低かったと買い物とも言えます。買ったときの状況を見直すのがカギです。焦りや見栄といった負の感情に突き動かされたり、忙しさから無造作にチョイスしたものではありませんか?
 
毎朝習慣で立ち寄るコンビニでの買い物も、積み重なると結構な金額になったりします。「Goodbye」の買い物を手放すには、習慣や行動を変えてみるのが効果的です。コンビニの例ならば、通勤の道順を変えてみましょう。
 
さらに、その買い物をしたときの感情を見つめ直すのも得策です。コンビニやカフェに毎日寄る理由は、「ほっとする第三の場所(サードプレイス)」が欲しいからかもしれません。
 
その感情を別の方法でなだめるなら、家で1人の時間を充実させるのも一考。アロマのお風呂に長めに入るなどいかがですか。このレシート分けを定期的に繰り返すうちに、自然に自分の理想の暮らしに近づいていきます。レシートはムダづかい予防だけでなく、生活の質を上げる格好のツールなのです。
 
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント