更新日: 2024.10.07 貯金
「ぜいたくしていない」のにお金が貯まらないのはなぜ?
「決してぜいたくしているわけではないのに、お金が貯まらないんです。」
「これといってぜいたくしているわけではないんですけどね。」
「ぜいたくはしていないのに」。
ファイナンシャルプランナーとしてご相談を受けるようになってこのかた、本当に何度この言葉を耳にしたことでしょうか。そして、ぜいたくしていない”にもかかわらず”お金が残らないとおっしゃるのです。
執筆者:福島えみ子(ふくしま えみこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。
目次
本当に「ぜいたく」はしていない?
では、こうした方々は、本当にぜいたくはしていないのでしょうか?それなのに、本当にちっともお金が毎月手元に残らないのでしょうか?
実際に家計を拝見すると、「決してぜいたくをしていないわけではないかも」という感想が頭をもたげてくることが往々にしてあります。
「ぜいたく」―この言葉がやっかいなのは、それを聞いて思い浮かべるレベルは人によってそれぞれだからです。
例えば、「毎朝有名カフェチェーンに寄ってカフェラテをテイクアウトして出勤」―これをぜいたくと思う人もいる一方で、「せいぜい400円位のこんな出費はちっともぜいたくじゃない」と考える人もいます。
その方が漠然と持っている「フツウ」の感覚がそれぞれ違うのです。「ぜいたくはしていないのにお金が貯まらない」という方の家計を拝見すると、もちろん個人差があるものの、こんな使い方が目立ちます。
お金が思ったように貯まらない人のチェックリスト
(1)外食費が多い。それも、決して高級店で外食をしているわけではなく、ファミレスやカジュアルなお店でちょくちょく外食をしている。デリバリーの利用も多め。
(2)調味料などにこだわりがあったり、食材もちょっと”いいもの”が好き。デパートの
(3)催事で”全国うまいものめぐり”などがあると、つい何か買ってしまう。
(4)デパートのお惣菜を買って帰ることが月に何度かある
(5)近い距離でもタクシーに気軽に乗っている
(6)コンビニに毎日、あるいはしょっちゅう寄る。寄れば必ずちょっとしたものを買う。
(7)日用品や洋服・服飾雑貨で4,000円以内の買い物が多い
(8)子どもに言われるがまま、ちょこちょこお金を渡している。その結果、お小遣い制にするよりも出費がかさんでいることが多い
(9)家族全員の携帯代が高め。オトクなプランを検討することなくそのまま入っている。
(10)ネットやスマホ等でのサービスの月々の課金が5件以上ある
(11)定期的に買っている健康食品がある
(12)クレジットカードの明細に、ネットでのちょっとした買い物が多い
お金が思ったように貯まらない人の特徴は?
ここに挙げたのは、ほんの一例ですが、”お金が思うように貯まらない”と感じている方は、チェックリストの中でいくつかあてはまるものがあったかもしれません。
共通して目立つのは、”ちょこちょこ”や”ちょくちょく”といったワード、そして”少しだけお高め””ちょっとした出費”という点です。これに使った!という実感も満足感もないまま、値ごろ感のあるものを頻度高く出費をしているのが特徴です。
そして、合計すると結構な金額を使っているため、結果としてお金が貯まらないというわけです。ご相談にお越し頂く際に1ヶ月の家計を洗い出して頂くのですが、あらためて使っている額の合計に驚きつつお越しになることも珍しくありません。また、大きな買い物をした覚えもないのに、クレジットカードの請求が来てからその額に驚く方もこのタイプです。
とはいえ、そういった行動も、収入がそれに見合ってさえいればもちろん問題はありません。けれども、貯まらないほどにそういった出費があるのなら見直しが必要です。
ほかにもある、お金が貯まらない口ぐせワード
また、「ぜいたくはしていない」という方が口にしがちなワードは他にもあります。それは、「どうせなら」「せっかくだから」というワード。「どうせなら今治タオルがいいよね」「せっかくだから、こっちのコースにしておこうか」など、ほんのちょっとのランクアップ支出に弱い傾向があります。
そのほか、「これくらい当たり前」という固定観念にとらわれていることも多いようです。
例えば、実際は車を使う機会はそれほどないにもかかわらず「マイカーくらいあるのは当たり前」「ケーブルテレビを契約しているくらいは当たり前」といった具合に、ほとんど使わなくても支出している費用があるケースです。もし、こんな口ぐせや支出があれば、見直しておきたいところです。
むしろ「ぜいたく」はしたほうがいい
では、こうした「ぜいたくはしていない」、でもお金が貯まらない人はどうしたらよいのでしょうか。
まずは、「ぜいたくとは?」を具体的な金額で把握することが出発点です。例えば、1泊2食付1人28,000円の温泉旅館はぜいたくだと感じる人もいれば、15,000円を超えればもうぜいたくだと感じる人もいます。1人4,000円のフレンチのランチがぜいたくと思う人もいれば、4,000円なら手頃だわと思う人もいます。自分の”ぜいたくランク”をしっかり把握するのが第一歩です。
「ぜいたくはしていない」と口にしてしまうその気持ちの裏には、収入目いっぱいに支出していても、ちっともお金を使った満足感がないことが透けてみえます。
それならばむしろ、「ぜいたくはしていいんだ」という認識を持ってしっかり「ぜいたく」をしたほうが、支出額は少なくても満足感は上がります。とはいえ、収入には限りがありますから、頻度を減らして「ぜいたく」を満喫するのか、それとも頻度は変えずに1つ1つの支出をセーブするかを自分で主体的に選んでいくのです。
そして、何に重きをおいてお金を使うのかという、いわば自分の”支出テーマ”を設定していきます。例えば、おつきあい重視主義でいくのか、食の満足度重視主義でいくのか。または、期間によってテーマ設定して、”スキルアップ重視期間”、”ダイエット兼食費抑制キャンペーン期間”を設定し、その中で”しっかりぜいたくをするもの”と”そうでないもの”を分けます。
さらに、同時並行で、支出した内容を”振り返ること”が有効です。本当にそれは必要だったのか、それがあるかないかで自分の生活や満足度はどう変わったか?を振り返るのです。洗い出してみると、”なくても変わらない、平気だった”という支出は意外と多いものです。
いずれにしても、支出に”自分の意志”を持つこと、さらに、あらかじめ先を見越して予算を把握し、その場限りの消費はしないことが大切です。なんとなくお金を使ったという満足感もないまま、だらだらとどうでもいい出費を垂れ流してしまう。そして、お金も貯まらないというのは、結局は一番もったいない使い方ではないでしょうか。
「ぜいたくはしていないのに」と思ったり、思わず口に出したりするようなら、一度自分のお金の使いぐせを振り返ってみるのがおすすめです。
Text:福島 えみ子(ふくしま えみこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表