更新日: 2019.07.17 その他資産運用

「仮想通貨税制を変える会」から考える今後の仮想通貨

「仮想通貨税制を変える会」から考える今後の仮想通貨
仮想通貨へ投資を考える投資家にとって、仮想通貨の税制はとても気になると思います。現在、仮想通貨の利益は雑所得となり最大55%の税率です。
 
昨年12月、日本維新の会の藤巻健史氏参議院議員が中心となり、仮想通貨の税率や税制改革を目的とした「仮想通貨税制を変える会」が発足しました。藤巻氏は、この「仮想通貨税制を変える会」を通じて、仮想通貨に関する情報を集め国会へ仮想通貨の税制改革や提案を行う予定です。
 
この税制改革が進むことで、仮想通貨市場の活性化と仮想通貨が表裏するブロックチェーン技術改革が期待でき、将来の日本経済の発展にとても重要な意味を持ってきます。
 
佐藤美輪 

執筆者:佐藤美輪 (さとう みわ)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

会計事務所勤務を経て、中小企業のFP分析を行う企業に勤務。
一般の家計にも投資を取り入れる投資コーチとして活動中。
特に、今後、無視できない金融商品となる仮想通貨への安全な投資を広めるために、仮想通貨のファンダメンタルズ分析の実現に向けて研究しています。

「仮想通貨税制を変える会」第1回講演会開催

「仮想通貨税制を変える会」第1回講演会が、2019年1月)に開催されました。講演会では、「日本維新の会」所属の参議院議員・経済評論家の藤巻健吏氏より、発足の目的や今後活動方針についてご挨拶がありました。
 
次に、税理士として活躍する柳澤賢仁氏による「実務面から見た現在の仮想通貨税制の問題点と今後のあるべき税制について」の説明があり、仮想通貨税制の問題点、今の仮想通貨市場が低迷している理由、2019年の仮想通貨市場がどのように進んでいくのか等について詳細な解説がありました。
 
「仮想通貨税制を変える会」が主張する直近の課題として次の4つが柱となっています。
 
 -総合課税最大55%から分離課税20%へ変える
 -異なる仮想通貨間の売買は非課税とする
 -損失した投資額を繰越控除とする
 -利確時の少額決済を非課税にする
 

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総合課税最大55%から分離課税20%へ変える

仮想通貨で利益確定した場合、その収入は雑所得に分類されるため、総合課税として最大55%が課税対象となります。
 
株式投資やFX投資は分離課税であり最大20%の税率です。租税法の税制の中立性という観点からは矛盾していることになります。「仮想通貨税制を変える会」では、仮想通貨についても株式投資やFX投資と同じ20%の税率にしようという活動を行っています。
 

異なる仮想通貨間の売買は非課税とすることについて

これも世界では類を見ない税制です。仮想通貨の販売交換所では、通常法定通貨である円で仮想通貨へ投資できます。一方、既に投資している仮想通貨を使い他の仮想通貨へも投資できます。
 
しかしながら、仮想通貨間の売買は、利確してモノや物理的な利益を得ているわけではないのに課税対象となることが疑問視されています。仮想通貨間の売買は、非課税にすべきではないかとの声も上がっています。
 

損失した投資額を繰越控除とすることについて

株式投資やFX投資では、損失した投資額を翌年の利益に対し繰り越すことができます。
 
仮想通貨の場合は分離課税ではないため、前年の投資額がマイナスであった場合、そのマイナス分を翌年の利益から相殺することができないのです。このため、投資家は多額の税金を支払うことになります。
 
租税法の中立性という観点から、株式投資やFX投資同様、仮想通貨も分離課税として繰り越し控除を適用できるようにすべきではないかとの声が上がっています。
 

利確時の少額決済を非課税にすることについて

仮想通貨を使った買い物の決済についても、仮想通貨法に従い、利益分を計算した金額に対して税金を支払う必要があります。
 
例えば、日常で数千円単位の支払いを仮想通貨で支払う場合、仮想通貨を買った時期の価格と、現在の時価の差異を計算して税金を納めなければなりません。そのため、仮想通貨を日常の決済手段とすることは、現実的ではありません。
 
仮想通貨の利用を普及するためには、少額の決済は非課税とすることが必要です。
 

まとめ

仮想通貨の税制については、まだまだ改善の余地があります。当時日本政府が定めた仮想通貨法(改正資金決済法)は、仮想通貨の特性が十二分に考慮されていない状況での決定であったことが伺えます。
 
一度決まった税制が変わるまでには時間が必要です。
 
しかしながら、このような会を通じ日本政府へ改善提案することにより、仮想通貨市場の活性化やブロックチェーン技術の発展につながります。その結果、この新たな分野の経済について、日本が世界をリードできることに大きな期待が寄せられています。
 
執筆者:佐藤美輪 (さとう みわ)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
 

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