専業主婦だけど「NISA」に挑戦してみたい! 利益が出たら“扶養”を外れる必要がある?「夫のお金」だと贈与税がかかるの?「月10万円・年率5%」の場合でシミュレーション

配信日: 2025.06.07

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専業主婦だけど「NISA」に挑戦してみたい! 利益が出たら“扶養”を外れる必要がある?「夫のお金」だと贈与税がかかるの?「月10万円・年率5%」の場合でシミュレーション
専業主婦(夫)の中には、物価上昇や老後不安などを背景に、「自分の名義でも資産運用を始めておきたい」と考える人もいるのではないでしょうか。中でもNISA制度を使った資産運用は、はじめの一歩として検討しやすい手法です。
 
一方で、「利益が出すぎると扶養を外れなければいけないのでは?」と不安に感じる人もいるかもしれません。今回は、専業主婦がNISAを使って投資する際の注意点や扶養への影響、具体的なシミュレーションを紹介します。
富澤佳代子

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NISAは専業主婦でも使える? 基本を簡単におさらい

結論から言ってしまうと、専業主婦であっても、18歳以上であればNISA制度を使えます。収入の有無や加入している公的保険などの要件はありません。
 
NISA制度とは、株を売って得た利益である譲渡益や配当にかかる税金(ともにおおむね20%)が免除される制度です。
 
例えば、100万円で買った投資信託を200万円で売ると100万円の利益が出るので約20万円の税金が、20万円の配当を受け取ると約4万円の税金がかかります。それがNISA制度を使うことで非課税になるのです。
 
2024年からは「新NISA」として制度が拡充され、年間最大360万円、生涯通算で最大1800万円(うち成長投資枠は上限1200万円)まで、非課税で投資が可能になりました。
 

投資で利益が出たら「扶養」は外れる?

扶養には、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。NISAで利益を得た場合、これらに影響が出ることがあるのでしょうか。
 
まず、税制上の扶養です。通常、所得金額が年間58万円を超えると配偶者控除、133万円を超えると配偶者特別控除の対象外となり、扶養する夫の税額に影響が出ます。しかし、NISAで得た利益は所得にカウントされないため、NISAが理由で税制上の扶養から外れることはありません。
 
一方、社会保険上の扶養は「年収130万円未満」が一般的な基準であり、ここで見るのは「収入」です。実は課税・非課税を問わず収入が130万円を超えると、扶養から外れる場合があります。
 
金額としては大きくて現実的ではないかもしれませんが、配当所得が毎年130万円を超える場合は、NISA制度を使っていても、社会保険上の扶養から外れる可能性があるのです。なお、株式の譲渡による一時的な収入は除外されるケースも多く、健康保険組合等によって判断は異なります。
 
不安であれば、加入している健康保険組合等に確認しておくとよいでしょう。
 

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月10万円・年率5%で積み立てたら20年後にいくらになる?

仮に、専業主婦がNISAで月10万円ずつ、年利5%で20年間積み立てたとします。元本は15年間でNISA制度の上限額1800万円になるため、残りの5年は追加で積立をしない場合を考えましょう。
 
積み立てを終えた15年後には元本1800万円が、2673万円になります。さらに5年間、年率5%で運用すると、資産は約3412万円と、1612万円も増える計算です。なお、NISA制度を使うことにより、この1612万円に税金はかかりません。
 
年5%での運用は難しいと思う人もいるかもしれませんが、これは現実的な数字です。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の長期リターン見通しによると、国内株式は年4.0%~7.5%、外国株式は4.6%~8.1%のリターンが期待されています。株式中心に資産運用すれば、5%という水準は十分に視野に入るといえます。
 
もちろんリスクもあり、元本割れの可能性がゼロではありません。しかし、一般的には長期で積み立て投資を行うことで、期待リターンに近づきやすくなるとされています。一時的に元本を割り込む時期があっても、慌てず長期運用を続けたいところです。
 

「夫のお金」でNISAをやると贈与税がかかる?

専業主婦の場合、自身に収入がないことも多く、投資資金を夫から出してもらうケースもあるでしょう。ただし、この「夫のお金」は注意が必要です。
 
税法上、たとえ夫婦であってもお金の受け渡しは「贈与」として扱われます。生活費など日常的に必要な支出をその都度渡す場合は贈与税の対象外とされますが、NISAのためにまとまった資金を渡すようなケースは、贈与税の対象となるのです。
 
贈与税の基礎控除は年間110万円なので、月10万円(年間120万円)だと贈与税がかかります。年間120万円の贈与に対する贈与税は1万円と少額ではありますが、申告と納税が必要です。
 
例えば、専業主婦ではなくパート勤務を行い、月3万円はパート収入など自分のお金で、残りの7万円を夫から受け取るなど、贈与を基礎控除の範囲に収めるよう工夫するのもよいでしょう。
 

まとめ

専業主婦でもNISAは問題なく利用でき、制度内で得た利益が扶養に影響することは基本的にありません。ただし、配当や譲渡益がNISA口座の外で発生する場合や、夫からの資金提供が一定額を超える場合には、社会保険や贈与税の面で注意が必要です。
 
制度を正しく理解し、無理のない範囲で運用を始めることで、将来の備えとして活用できる手段の1つになるでしょう。
 

出典

金融庁 NISAを知る
国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)
年金積立金管理運用独立行政法人 第5期中期目標期間における基本ポートフォリオについて~詳細~
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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