【FPが紹介】老後のために「月3万円」を財形年金で運用しようと検討中。友人に「NISAかiDeCoのほうがいい」と言われて迷っています。実際どんな違いがあるのでしょうか?
配信日: 2025.06.01

本記事では老後資金を貯めるのに利用できる商品や制度の特徴・メリットについてファイナンシャルプランナーが紹介します。

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老後の資産運用にはさまざまな種類がある
毎月3万円ほどをコツコツと積み立てることが可能であれば、できるだけ長い時間をかけて資産運用できる商品や制度が選択肢として有力です。
今回紹介する制度・商品は以下の4つです。
1. NISA
NISAは一定の投資金額に対する利益が非課税になる制度で、株式投資や投資信託への投資で利益が出ても課税されません。
通常の特定口座や一般口座では株式や投資信託の取引で利益が出ると20.315%が課税されるところ、NISA口座では年間最大360万円、生涯で1800万円までは課税されず、得た利益の全額を再投資することで効率的な資産運用が可能です。
NISAには、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」があり、それぞれ投資できる投資商品や特徴が異なります。
成長投資枠では投資信託に積み立てるほか、個別株式に一括で投資することも可能ですが、この個別銘柄が成長するかを予想するには知識や経験が必要です。
一方のつみたて投資枠の投資先は金融庁が定める基準を満たす、長期投資に適した投資信託に限られています。投資信託に投資すると複数の株式や債券に投資できることからリスクを抑えやすく、証券会社によっては100円から投資できます。
NISAは、2024年から従来のNISAから制度内容が大きく拡充されました。株式にも投資できる成長投資枠は年間240万円、積立投資が前提で一定の投資信託に投資できるつみたて投資枠は年間120万円まで、両方の枠を合わせた生涯の非課税保有限度額は1800万円(成長投資枠は1200万円まで)です。
非課税期間は無期限のため、長期的に保有するほど非課税のメリットを生かして資産を増やせる可能性があります。
口座開設期間も恒久化されており、思い立ったらいつでも始められます。
2. iDeCo
iDeCoは、個人型確定拠出年金と呼ばれる、私的年金の一種です。ほかの公的年金制度とは、月々の掛金や運用商品、売買のタイミングなどを自分で決められる点が大きく異なります。
iDeCoの投資対象になっているのは元本確保型の定期預金や保険だけでなく、NISAのつみたて投資枠のように投資信託に投資することもできます。
NISAにはないiDeCoのメリットとしては、運用しながら所得控除が受けられる点です。例えば毎月3万円を投資すると、年間で36万円が投資している人の課税所得から控除されます。
課税所得が安くなると、課税所得をもとに計算する所得税や住民税も安くなります。所得税率20%、住民税率10%の場合、iDeCoで年間36万円の投資をすると、2つの税金を合わせて10万8000円の税額が安くなる計算です。
また、運用期間中は非課税であり、NISAと同様、長期の運用で税金を効率的に再投資できます。
ただし、iDeCoは原則的に最短で60歳になるまで元本と利益を引き出すことができません。急にお金が必要になったときに困らない金額のみ投資することを心がけましょう。
3. 財形年金貯蓄
財形年金貯蓄は、会社員として働く人のための貯蓄制度です。財形年金は財形住宅貯蓄と合わせて元利合計550万円まで、利子などが非課税になります。貯めたお金は60歳以降、5年以上の年金給付で受け取れます。
給与から天引きで積み立てる形式で、将来の老後資金のために毎月コツコツと投資したい人や、自分で入金するのを忘れてしまいそうな人におすすめです。
ただ、現在の低金利の環境では財形年金貯蓄の運用で受け取れる利子は少なく、非課税の恩恵もあまり受けられません。長期投資することで大きく資産を増やせる可能性のあるNISA、iDeCoのほうが、非課税のメリットは出てくるでしょう。
4. 個人年金保険
個人年金保険は、公的年金に上乗せする形で、自分の年金を自分で準備するための保険です。払い込んだ保険料を保険会社が運用し、受取時期を迎えると年金受け取り、または一括受け取りという形で受け取ります。
支払った保険料は年末調整や確定申告時に「個人年金保険料控除」または「一般生命保険料控除」として4万円まで所得控除されます。
契約時に定められた利率などをもとに決められた基本年金額を受け取れる通常(定額)の個人年金保険のほか、積立期間の運用実績によって将来の積立額が変わる「変額個人年金保険」もあります。
似たような制度であるiDeCoと比較すると、払い込んだ保険料の運用を保険会社が進める点に違いがあります。一方で将来的な期待値に違いがあり、通常の個人年金保険は契約時に決められた以上のリターンを得ることは基本的にできません。
変額個人年金保険は運用成績次第で将来に受け取れる年金が異なる点はiDeCoと同様ですが、積立金の一部が保険関係費用に充てられたり、iDeCoの投資信託に対するコストよりも高めの運用関係費用が必要になったりする点が異なります。
掛金を運用するにあたって銘柄を選定したり、状況に応じて投資銘柄を変更したりするような手間を惜しまない人は、投資額全額が所得控除になって運用益も非課税になるiDeCoのほうが向いているでしょう。
まとめ
老後を見越した資産運用にはいくつもの選択肢がありますが、なかでもおすすめなのは「NISA」「iDeCo」といえるでしょう。いずれも運用期間中の利益が非課税になり、利益を再投資することで効率的に資産を増やせる可能性があります。
一方の財形年金や個人年金保険は値動きをなるべく小さくし、コツコツと長期投資したい人に向いています。ただ、昨今の低金利では大きく増やすことは難しく、ゆとりある将来を実現するなら投資信託に投資できるNISA、iDeCoが向いているでしょう。
出典
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
国税庁 No.1319 財形年金貯蓄
No.1140 生命保険料控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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