更新日: 2019.06.19 その他資産運用
将来の為に10万円を用意したけど、何に投資すればいいのか分からない
20代の男性からこんな質問をいただきました。さまざまな投資の手法があるなかで、10万円をつかって投資を始めることは、今まで投資をしたことがない人には少し勇気が必要かと思います。
ですが、10万円という具体的な金額を指定されるなら、その金額で始めることができる投資商品を今回は提案してみたいと思います。『10万円ぐらいなら…』と思ってくださる人もきっといるはずですから。
執筆者:中西雅也(なかにし まさや)
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属
2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)
「お金のことをもっと身近に感じてほしい!」をモットーに、“手帳”を使った人生設計の方法や、知っててよかったお金の話セミナーをはじめ、年間50回以上の講演を行う。
専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
http://www.fp-sakai.com
まずは証券口座の開設から始める
投資を始めるためには、以下のことが必要です。
(1)実際に取引をする証券会社を選ぶ
(2)必要な書類を送付(もしくは写真をアップロード)して証券口座を開設する
(3)証券口座に取引のために必要な金額を入金する
(4)購入する投資商品を選ぶ
実際に手続きをしてみると、案外簡単です。口座を開設して投資の準備ができた人が最も戸惑うことは、やはり投資商品の選択でしょうか。
これまでも投資商品についてお伝えしてきましたが、株式や投資信託、個人向け国債などのさまざまな投資商品があるなかで、どの商品に投資をするかは悩ましいものです。
商品ごとに異なる特徴があるので、自分が投資商品に対して“どんな目的を持っているか”を知ることが今回の相談のポイントになりそうですね。
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投資に大金が必要ってホント!?
投資対象を選ぶ前にお伝えしておきたいことは、投資は大金が必要なイメージがありますが、実はそんなことないということです。
例えば株式投資です。株式を購入するには1単元(100株)を購入するのが原則ですが、ミニ株(単元未満株)といって、単元の10分の1単位で購入できる仕組みがあります。普通に買おうと思えば100万円(単価1万円×100株)必要になる大きな会社の株でも、10万円で購入できます。
また、有名な企業でも、株式分割などによって一株あたりの価格を非常に低価格で購入できる時期があるので、目的に応じて購入する会社の株価を確認してみるといいですよね。
投資の目的を知り、どこまでのリスクを許容できるか
では、あなたが投資商品に期待するものはなんでしょうか。投資はあくまで目的のための手段なので“なんのために投資をするのか”が大切です。
・老後に備えてお金を安全に準備したい
・普段の収入とは別で収入を確保したい
・実生活にも活用できる優待券がほしい
など、人それぞれに投資をする目的があります。それと同時に、投資に対するリスク許容度を知っておくことも大切です。リスク許容度とは、リターンに対するリスクをどこまで許せるかということです。
例えば、10年後に投資金額が2倍になるかもしれないという商品があるとすれば、その商品には10年後に投資した金額が半分になるかもしれないという側面も帯びていることを理解する必要があります。
それでもいいという人もいれば、運用成果は少しでいいから投資した金額(元本)が減らないことに魅力を感じる人もいますよね。
10万円で投資をするなら…。
では、実際に投資をする商品を選んでみましょう。今回は投資が初めての人でも気軽に購入できるものを選択肢として挙げてみました。
●投資信託
【証券会社によるが、月100円から購入可能(リスク:インデックス型であれば少ない)】
投資初心者にまずおススメしたいのが投資信託です。自分で投資商品を選択して運用するのではなく、プロが運用するので比較的安全な商品と言えます。また、銘柄や投資地域を分散することによるリスク回避が期待できる商品です。
毎月少額を積み立て、投資信託を購入する方法もありますが、初めからある程度の資金を投入することも可能です。
10万円をまとめて投資したいと考える人も多いのですが、景気には波がありますので、10万円をまとめて投資するよりは1万円を10月に分けて投資するほうが安全でしょう。
この考え方を「ドルコスト平均法」と言います。
●株式投資
【銘柄により金額が異なるが、ミニ株であれば1000円から購入可能(リスク:中)】
投資と聞いてまずイメージするのは、やはり株式投資でしょうか。株式投資の利点は生活に身近な会社の株式を購入できるので、会社を応援する気持ちで投資ができることです。
また、ご自身の目的に応じて、購入対象を幅広く選ぶことも株式投資の特徴です。配当や優待券などがある会社を選ぶと、実生活で役立つことも多いですよね。株式投資をするなら、保有目的を明確にしておくことが大切です。なぜなら、株価の上下に心を動かされる人が多いからです。
短期的な利益を求めた株式投資は、投資目的ではなく投機目的となるので、配当や優待券を目的とした長期的(3~5年)な保有をするとよいでしょう。ただし、どんな保有の目的をするにしても定期的に周りの経済ニュースや株価は確認するようにしてくださいね。
●個人向け国債
【月1万円から購入可能(リスク:低)】
「できるだけ損をしたくないけど、銀行の利子に満足できない」、そんな人には国債の購入をおすすめします。個人向け国債は、購入した金額に対して設定された利子(%)を半年ごとに受け取ることができるものです。
他の投資対象との大きな違いは、購入した時点で利益が確定する部分にあります。投資元本は償還時まで変化せず、利子の金額もある程度決まっているからです。なので、感覚的には銀行の定期預金と似ています。
個人向け国債は、日本国が発行している債券です。途中で国債を解約(売却)することになっても、元本が保証されていることもあり、安心して投資をすることができます。利子についても銀行の預金よりずっとよくて、直近でも年利0.05%の利子が下限設定(最低保証)されています。
景気に応じて金利が変化するような個人向け国債(10年)も販売されていて、こちらについては半年ごとに金利が見直されます。今後もっと景気がよくなると考えている人は、個人向け国債の変動金利型を購入されるとよいかもしれません。
まず、お金を動かす感覚を知ること
投資は始めてみないと分からない部分があるため、「どうして今日は株価が高いんだろう」「なんでこんなに株価が下がっているの」という日がたくさんありますよね。
その要因は一口で言えるほど単純なものではありません。決算発表があったり、国同士で経済戦争が起こっていたり、本当にさまざまな要因があります。
今回は、投資初心者でも始めやすい投資対象をいくつかお伝えしました。投資の原則は『リスクとリターン』なので必ず儲かる投資は存在しませんが、損をしたとしても、原因を分析して次の投資に活かしてほしいと思います。
この記事を読んだ人が投資に興味を持ってくだされば幸いです。
執筆者:中西雅也(なかにし まさや)
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属