更新日: 2019.06.28 その他資産運用
為替差損を抑える事ができる?為替予約の付いた外貨預金とは
為替予約を付けることで、あらかじめ為替差益を確定し、また、為替差損を抑えようというものです。外貨預金のリスクといえば、為替差損です。なので、この為替差損を抑えることができれば、事実上、外貨預金に特有のリスクを排除することができます。
が、果たして、そんなに美味しい話があるのでしょうか?
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
為替予約の付いた外貨預金とは
為替予約の付いた外貨預金では、あらかじめ将来の為替レートを予約します。
例えば、現在の為替レートが1ドル110円だったとします。そして、1年後の為替レートを1ドル=115円と想定し、満期時の為替レートを1ドル=115円で予約したとしましょう。
この満期時の為替レートの予約により、あらかじめ為替差益を確定できると共に為替差損が無くなり、円よりも高い利率の利息を受け取ることも可能なのです。なんだか、良いことずくめですね。どのようなデメリットがあるのでしょうか?デメリットを列挙してみましょう。
・解約できない
・予約した為替レートの変更ができない
・予約した為替レートが、逆に円高になってしまう
・そもそも、商品が見当たらない?
「予約した為替レートが、逆に円高になってしまう」とは、どういうことでしょうか?
満期時の為替レートが(予約した為替レート1ドル=115円を越えて)1ドル120円だとしたら、いかがでしょう。むしろ、「為替レートを予約しない方が良かった」と思う方も、いらっしゃるかもしれませんね。
「そもそも、商品が見当たらない?」についてですが、為替予約の付いた外貨預金は教科書には載っていても、インターネットなどで探したところでなかなか見当たらないということです。
ということで、為替予約付外貨預金の類似商品をみていくことにしましょう。
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為替レートが目標に到達したら、(外貨預金による)運用が自動的に終了
あらかじめ為替レートの目標を設定する外貨預金があります。例えば、目標の為替レートを1ドル115円にするなどです。
目標の有効期間は1ヶ月以内です。また、最低の取引金額があります。1ヶ月以内に、「実際の為替レート」が目標の1ドル=115円に達すれば、外貨預金による運用が自動的に終了します。
実際の為替レートが目標に達した時点で、外貨預金による運用が自動的に終わりますから。為替予約付外貨預金のように「予約した為替レートが、逆に円高になってしまう」というリスクは無さそうですね。
なお、1ヶ月以内に「実際の為替レート」が目標に達しなければ、外貨預金による運用を続けることになります。
オプション付外貨預金
為替予約付外貨預金と似て非なるものに、「オプション付外貨預金」というものがあります。
例えば、「始める時の為替レート」が1ドル=110円、判定レートを1ドル105円とします。
満期時の為替レートが判定レート1ドル=105円を超えていれば、満期時には1ドル=110円で計算して円に替えてくれます。この場合、満期時における「実際の為替レート」が115円でも、120円でも同様です。しかし、満期時の為替レートが判定レート1ドル=105円を下回っていると、円には換えず、そのまま外貨普通預金に移されます。
外貨預金も他の国の通貨に換えなければ、いわゆる元本割れはありませんから、外貨普通預金にて「その時」、すなわち円安を待つのも一つの方法でしょうね。
まとめに変えて
筆者は、本稿で紹介させていただいた外貨預金は、いずれも行ったことがありません。その理由は、どうせ行うなら「シンプルに」と思っていることと、「為替予約」や「目標に達したら自動的に終了」「オプション付外貨預金」いずれも、筆者には「為替にフタをした」イメージを描いてしまいます。
また、「為替リスクを抑えたい」くらいなら、「外貨預金なんか、やらない方が良い」という気持ちもあります。
外貨預金を行うのなら、思いっきり「リスクに晒して」というのが筆者のスタンスです。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役