更新日: 2024.09.13 その他資産運用
友人から「投資信託よりETFの方が手数料も安いし、いいよ!」と勧められました。ETFって初めて聞きましたが、よい商品なのでしょうか?
株式や個人向け国債、投資信託といった商品の名前は聞いたことがあったAさんですが、友人が言うETFについての知識がありませんでした。実際に、ETFはどのような商品でどのような特徴があるのか見ていきます。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
特定行政書士、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士相談センターの相談員として、相続等の相談業務や会社設立、許認可申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
ETFとは
ETFとは、“Exchange Traded Funds”の頭文字を取ったものです。証券取引所のような金融商品取引所に上場している投資信託で、株価指数等に連動して運用する商品です。
ETFの代表的な商品として、「東証株価指数(TOPIX)」に連動するETFがあります。
TOPIXは、東京証券取引所に上場する銘柄を対象として算出・公表されている株価指数東証部の全銘柄の動きを反映した株価指数のことです。これに連動するETFは、TOPIXの値動きとほぼ同じ値動きをするように運用される、つまり上場する銘柄すべてに投資しているのとほぼ同じ効果が出ます。
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投資信託との違いは? ETFのメリットは?
ETFと一般的な投資信託との違いを表にすると、以下のようになります。
一般的な投資信託 | ETF | |
---|---|---|
購入窓口 | 各投資信託の取り扱いがある証券会社、銀行などの販売会社 | 証券会社 |
購入価格 | 特定日の基準価額(1日1価格) | その時々の取引価格(市場価格) |
購入方法 | 基準価額がわからない状況で購入・換金の申し込みを行う | 成行・指値注文が可能 |
購入手数料 | 各投資信託、各販売会社で手数料率は異なる | 各証券会社で異なる |
信託報酬率 | ETFの信託報酬より高い場合が多い | 一般的な投資信託の信託報酬より低い |
最低投資金額 | 特に決まりはない(1万円程度) | おおよそ10万円程度からが多い |
銘柄数 | およそ6000銘柄 | およそ250銘柄 |
信用取引 | できない | できる |
(日本取引所グループのホームページを参考に筆者作成)
ETFのメリットは上表のとおりですが、まずに信託報酬が比較的低いということです。投資信託の場合、信託報酬を分け合うのは運用会社、受託会社、販売会社ですが、ETFの場合は運用会社と受託会社のみで分け合うのでその分低くなる傾向があります。また、インデックス運用なのでコストが少なくてすむというメリットもあります。
また、投資信託のように1日に1回しか価格が付くのではなく、刻々と価格が変化していくので、指値注文や信用取引が可能であるという特徴もあります。もちろん、ETFも投資信託の1つですので分配金が支払われます。
ETFのリスクは?
ETFも投資商品ですので、一定のリスクはあります。価格に影響のある主なリスクとして、以下の3つが挙げられます。
1. 価格変動リスク
ETFは、株式や債券等価格変動のある資産で運用されるため、価格変動があります。つまり、組み入れたそれらの有価証券の価格が変動することにより、ETFの価格も変動するリスクがあります。
2. 流動性リスク
株式市場でもありうる話ですが、ETF市場でも取引参加者が少なく売買が極端に少ない場合や、希望した価格・数量で売買できない場合、そもそも売買が成立しない、といったリスクがあります。
3. 価格乖離(かいり)リスク
市況や運用によって連動を目指す指数の値動きから、乖離するリスクがあります。ETFの価格乖離リスクには、主に「基準価額と取引所価格の乖離」と「基準価額と対象指標の乖離」があります。
「基準価額と取引所価格の乖離」は、市場での需要と供給の偏り、流動性が低い場合に乖離が生じることがあります。また、外貨建て資産等のETFの場合は、基準価額を評価する際、海外市場との時差、為替等のズレによって乖離が生じることもあります。
「基準価額と対象指標の乖離」は、ETFは当初決めた対象指標に連動する運用成果を目指しますが、対象指標と基準価額のリターンが乖離することがあります。乖離が発生する主な理由として、組入銘柄の配当・分配金、ETFそのものの分配金の要因、信託報酬・売買等のコストの要因、売買タイミングの要因等が挙げられます。
投資初心者には良い商品かもしれません
ETFのメリットにも書いたとおり、さまざまな手数料は一般的な投資信託より低いのは投資初心者にとってはうれしいですね。また、インデックス型ですのでリスクヘッジもできるという特徴もあります。
証券会社に口座を持っていない場合、まずは口座作成というハードルはありますが、それを乗り越えたらETFだけでなく将来的には株式の購入ができたりと、他の商品への購入ハードルも下がるのではないでしょうか。
出典
日本取引所グループ ETFの概要
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表