更新日: 2019.08.07 その他資産運用
<柴沼投資塾>時事ネタ編①。相場の動きに明るくなろう!
ドラマやバラエティは得意だけど、シリアスな話題はちょっと、と尻込みする必要はありません。実は、毎日腹筋を継続してシックスパックを作るよりも、相場観を形成するほうが手間はかかりません(笑)。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
4月のきな臭いニュースが相場を下押しさせているのか?
4月のニュースで目立つところは、政治的な動きですね。シリアに対する米国の空爆が実施され、そこから連想された北朝鮮への対応で、いよいよ国際情勢はカオスへと突入していくのではないかとのトーンで、政治色に染まった報道が目立つようになっています。
それと平行して、相場はもたつき、まさに「有事の円買い」ということで円高になり、日経平均の動きも重くなり「だからやっぱり相場の動きは当てられない」となってしまいます。
確かに、政治的な動きや世界の25%のGDPを握っている米国のトップ・トランプ大統領の発言などは、どうしてもセンセーショナルに報道され、私たちの目についてしまいます。また相場に対しても「その日」あるいは短期的には大きく影響を及ぼしてしまいます。
しかし、そういうときこそ、トレンドライン、ベクトルが上を向いているのか下を向いているのかという見極めが重要になります。
今回のこの政治的な混乱で相場が下げていることは、実体経済とどう関係してくるのでしょうか? そもそもトランプ政権発足以来の上昇相場は、「トランプ政権が大規模な減税をするから景気が上がるかもしれない」「債券を発行するかもしれない」という期待によるものです。そもそもこれは期待です。
そして今、いよいよ実体経済に対してどんなプラスの(マイナスの)影響が及ぶのかということが見極められる時期です。問題は実体経済に対してです。こういうときこそ、実際に経済データがどうなっているのかを冷静かつ客観的に見ることが大切です。
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ポイント1:雇用統計を忘れないでウォッチする
経済の動きがしっかりしていれば、政治的なイベントで右往左往する必要はありません。そのカギとなるのが雇用統計(米国の非農業部門雇用者数)です。雇用が健全に推移している限り経済は拡大しているのですから、生産が伸び、消費が伸びるという好循環が形成されるはずです。
2017年4月の雇用統計の数字は非常に厳しいものでした(予想がプラス18万人に対して結果はプラス9万8,000人)。ご参考までに、その1月前の2017年3月は予想プラス19万人に対して、結果はプラス23万5,000人でした。しかしこれで景気が下向きになると判断するのは早計です。なぜなら完全雇用に近い状態にまで至っているので必然的に雇用の伸びは鈍化するからです。よく「数字のトリック」などと言われますが、数字そのものだけに注目しているとそのトリックに陥ってしまいます。「なぜ、4月の雇用統計は悪かったのか」まで踏み込むことが大切ですね。
ポイント2:あくまでトレンドラインとベクトルの向きで判断する。派手な報道に振り回されない
相場を動かすのは、「利益成長が期待できるかどうか」の1点につきます。政治的なイベント(選挙や国際紛争など)が利益成長に影響を及ぼすに至る、すなわち長期的にその影響が及ぶと思った場合は、トレンドラインのとらえ方を見直さなければならないかもしれませんが、そうならないケースがほとんどです。「派手な報道(目立った報道)≠相場に影響を動かす鍵」であることを忘れないようにしていただければと思います。