更新日: 2019.01.11 その他資産運用
投資の基本は3R(リスク、リターン、流動性) リスクから学ぶ投資の考え方。
しかし、最近では「投資は難しそうで怖い」ともっぱら貯蓄に励んでいた人のなかにも、「投資」に関心を持つ人が出てきました。
そこで今回は、「投資の基本」について考えてみましょう。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト
投資はリスク、リターン、流動性から成り立つ
投資とは、「リスク(損失の危険)を最小限にしながらリターン(利益)を得ること」です。
危険をいかに減らして、いかに利益を確保するか、これを「資産運用」といいます。
リスクとリターンが同時に存在しているのが投資です。つまり、必ずしも利益が出て儲かるわけではありませんし、必ず損失が出るというわけでもありません。
投資ではまず、何に投資するか、金融商品を選ぶ必要があります。金融商品を選ぶときに重要となる判断の基準は、(1)リスク(2)収益性(3)換金性の3つです。
具体的にいうと、「リスク=金融商品の値下がりの危険」「収益性=金融商品の値上がりの程度」「そして換金性=簡単に現金化できるか」の3点に注目すべきということです。
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さまざまなリスク
まず、投資にまつわるさまざまなリスクを考えてみましょう。
お金は手元に持っていても、銀行などに預けていても、投資するにしても、常に何らかのリスクにさらされています。
まず、「インフレリスク」があります。インフレリスクとは、本来得られるはずだった利益が、物価上昇(インフレ)のせいで実質的に減少することです。
続いて「流動性リスク」とは、急にお金が必要になったときに、すぐに現金に換えることができないリスクです。
「価格変動リスク」は、価格変動によって投資した元本を割り込むリスクのことです。買う時期、売る時期によって価格はまちまちになり、買ったときより売るときの価格が安くなってしまうことがあります。
そして、「信用リスク」は投資先が破綻・倒産するなどして、投資したお金が約束通り戻ってこないリスクのことです。
不動産は流動性リスクが最も高い
投資の対象となる不動産、投資信託、預金、株式のうちで「流動性リスク」が最も高いのは「不動産」です。
不動産は高額であるだけに、売買に時間と手間がかかります。買い手が現れなければ、いくら値段を下げても売れず、現金化することができません。
それに対して、「預金」は銀行の窓口やATMでいつでも現金を引き出すことができます。
この中間が「投資信託」や「株式」です。これらは、販売会社や証券会社を通じて売買します。ただし、投資信託や株式はその日のうちにお金が手に入るということはなく、4営業日後など、証券会社ごとに支払い時期が決まっています。
また、不動産、投資信託、株式は、取得時期よりも安い価格で売らなければならない「価格変動リスク」があります。
現金、債券、株式を比較すると、「株式」のリスクが最も高く、次いで「債券」、「現金」の順となります。
運用時期により決まる流動性リスク
また、各金融商品には長期、中期、短期という運用時期があります。
「長期運用」とは購入した金融商品を5年以上運用することです。長期運用にふさわしいのが株式といわれています。
株式は原則として株式市場で売買され、株価が決まります。株価に影響を及ぼす要素にはその企業の経営状況のほかに、市場での需給関係、景気の動向など多くの要素があります。投資するにはかなり勉強する必要があります。
ただし、最近はAI(人工知能)を使ってお勧め銘柄をアドバイスしてくれるサービスや、スマホで簡単に売買ができるサービスも登場しています。
「中期運用」は2~4年程度運用することで、これに向いているのは債券、つまり国債や社債などといわれています。債券とは、国や企業が多数の人々から資金を借り入れるために発行する借用証書のことです。
投資信託は株式や債券について投資のプロが投資家に代わって運用してくれるもので、「ファンド」と呼ばれています。投資信託は株式と同様に証券会社や、最近では銀行でも取り扱っています。
「短期運用」とは1年以内の運用で、1年以内に現金化することです。すぐに現金化できるかどうかという、「流動性リスク」はこの運用時期によって決まります。
もちろん、長期、中期、短期投資のどれを選択すべきかは一概に言えません。その人のそれぞれの考え方、状況によって異なります。逆に言うと、投資の醍醐味はここにあるとも言えます。
投資は余裕資金で行うべき
このように、各金融商品の性格を見てみると、すぐにでも使う可能性があるお金で株式や債券を購入するのは避けたほうがよいかもしれません。
特にリスクの高い金融商品については、いくら儲かりそうであっても長期的な視点を持ち、余裕資金で行う必要があります。
金融商品を選択するときはリスクとリターンをしっかりと考えることが大切です。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト