米国の一人勝ちというのはあり得ない?日々、変化する環境化での投資をどのように考えるべきか
配信日: 2018.10.03 更新日: 2019.05.17
このような環境下での投資をどのように考えればいいのでしょうか。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
米国の一人勝ちというのはあり得ない?
まず米国株式ですが、今年の初旬には若干不安定な動きを見せ、米中を中心とした貿易紛争や11月6日の大統領選挙を控えて方向感がつかめないとはいえ、堅調なファンダメンタルズを追い風に上昇を続けています。
クライアントの中には、「米国の一人勝ちには限界がある」とか「チャートで見れば十分上昇しているので今さら投資しても遅い『ような気がする』」という声をあげられる方も多くいらっしゃいます。
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「一人勝ちはあり得ない」の根拠を探る
まず一つ目の「米国の一人勝ちはあり得ない」というコメントですが、確かに今はモノやサービスのグローバル化が当たり前になっている今、米国だけが勝ち残るというのは考えにくいといえます。
しかし、それば国全体のマクロでの話です。株式は、銘柄すなわち「企業」の業績伸長率に着目しますので、国全体の景気動向もさることながら、企業の持つ強み、企業が扱うモノやサービスの市場占有率やその市場の動向により注目しなければなりません。
例えば、P&G(プロクター&ギャンブル)は世界展開していますが、扱う商品は洗剤やおむつ、シャンプーなど景気の良しあしにかかわらず必要になります。この市場でシェアを拡大し、高機能商品を導入していけば業績伸長が継続することは可能です。マクロとミクロを分けて考える必要があります。
チャートの形は時間軸の取り方でかわる
NYダウ指数のチャートで、「もう十分上がった」というのは何をもっていうのか。ほとんどの場合は、チャートを見ていっているのでしょう。これは時間軸の取り方でどうにでもかわる万華鏡のようなものです。
現時点では、今にも急落が始まりそうな「高所恐怖症」のチャートに見えたり、傾斜も緩やかで「安定的に徐々に上昇している」という印象を受けたり。例えば、リーマンショックが起こった2008年9月を起点に見てみると、下がったあと「順調に上昇している」という風にもとらえることができます。
ですから、1つのチャートだけを見て、「もう終わり」とか「十分下がった」といった安易な判断は危険です。最終的な投資判断は、チャートを参考にしつつも、長期ではマクロ環境をベースにしたその企業の収益性調整、財務健全性を総合的に確認して決めるべきです。
命の次に大事なお金の投資先を安易に決めてマイナスになっても損失を被るのはほかならぬ自分自身です。このような方向感が定まらない時こそ納得した投資先を選びましょう。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者