更新日: 2019.05.17 その他資産運用
国内の金融商品は金利がつかないから外貨建ての投資をしたい。そんなとき目にする「為替ヘッジ」って何?
でもそこで気になるのが為替。海外旅行で外貨を両替するときでも気になります。ましてや外貨建ての投資なんて! と思うときに「為替ヘッジ」をつけた商品に興味がわきますね。
どんな仕組みなのか、どんな注意点があるのか、考えてみましょう。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
基本は海外旅行前の外貨購入と同じ
為替ヘッジなどという難しいカタカナがあると、とてつもなく難しい。だから投資は嫌いと思いがちですが、考え方は私たちが海外旅行に行く前にいくらかの外貨を金融機関で購入するのとまったく同じです。
例えば、1ドル=105円のときに500ドル用意しようと思えば、手数料を無視した場合105×500=52,500円が必要になります。
結局旅行先ではクレジットカード決済だったので、現金を使わずそのまま日本円に戻そうと思ったときに、1ドル=110 円になっていれば55,000円、105円のままであれば52,500円、100円ならば50,000円となります。
私たちは何も行動を起こしていないのに、「たまたま」交換するときのレートがかわっただけで、「思わぬ利益」が出たり、「思わぬ損失」を被ったりします。
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収益にこだわる投資行動で「たまたま」は避けたい
海外旅行であれば、気持ちも大きくなっていることもあって「たまたま」にそれほど執着しませんが、「収益を上げる」ために行動したのですから、投資となると話は別です。
せっかく外国物の債券で収益が5%獲得できても、円に戻したときに5%の円高になっていれば、外国債券投資をする意味がありません。そこでヘッジをつけて、為替変動の動きを遮断するのです。
ヘッジ機能には費用が別途かかり、円安時の収益の上乗せは獲得できない
ではヘッジ機能をつければ、昨今の日本の超低金利環境下では得られない収益を、外国籍金融商品でそのまま享受できるわけではなく、注意点も認識しておかなければなりません。
1つ目は、ヘッジ『機能』をつける以上、ファンドマネジャー側では特別な『手間』がかかりますから、その費用をこちらが負担しなければならないことです。
しかもヘッジコストは対象国と本邦の金利差で決まります。日本の金利は、現状短期が−0.1%、長期が0%で動く気配がありませんが、海外では金利を短期金利引き上げの動きが大勢です。
そうなると、ヘッジコスト負担が今後上昇していく可能性もあります。せっかく為替ヘッジをかけたけれど、そのヘッジコストのために外国籍金融商品の上昇分がそがれてしまう、ということも覚悟しなければなりません。
2つ目は、為替の動きを遮断するということは、円安外貨高になった場合の為替収益も得られなくなってしまうという点です。
この2つの注意点を考慮したうえで、それでもやっぱりヘッジしたほうがいいと考えられるケースは、かなりの円高になるという予想の場合になります。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表