
これにより、急速に拡大しつつあった仮想通貨市場で利用者保護が置き去りにされていた実態が浮き彫りとなり、金融庁が複数の仮想通貨交換事業者に立入り検査をする事態に発展しています。

Text:加藤桂子(かとう けいこ)
CFP(ファイナンシャル・プランナー)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
㈱ファイナンシャル ファシリテーターズ 代表取締役
東京外国語大学を卒業後、大手企業を対象とした語学講師を務める。退職後にFP資格を取得し、外資系金融機関に勤務。FPとして独立後は、「大切な人がより豊かになるために、選び抜かれた情報と優れたアイデアを」をモットーに会社を設立。個人・法人のご相談にのる傍ら、セミナー講師や執筆活動を行っています。
http://www.fpkato.jp/
目次
仮想通貨とは、いったい何でしょうか?
お札や硬貨などの形を持たずインターネット上でデータとしてやり取りするお金で、円やドルなどの法定通貨と違って中央銀行に相当する管理者がいないのが特徴です。代表的なものに2009年に運用が始まったビットコインがあり、それを支える中核技術として「ブロックチェーン」(ブロックと呼ばれる取引データの固まりを一定時間ごとに生成し、時系列的に鎖のようにつなげてデータを保管する技術)があります。
このブロックチェーンによって安くて速い取引を実現できることから、これからの「フィンテック」(金融とITの融合)を支える重要な技術となっています。また、仮想通貨自体も決済通貨として世界中どこへでも瞬時に送金できる点が革新的とされました。最近ではビットコインやそれ以外の仮想通貨(オルトコイン)の認知度が一気に高まりましたが、投機マネーの流入により荒い値動きが続いています。
なぜNEMは不正流出したのでしょう?
仮想通貨取引所はサイバー攻撃の危険性が高いにもかかわらず、コインチェックが顧客の資産を保全するための対策「コールドウォレット」(ネットワークから分離して管理する)を怠ったことが原因の一つと考えられています。このためネット経由で不正にアクセスされ、今回の流出につながったと見られています。
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利用者を保護する法律はないのですか?
金融庁は2017年4月に改正資金決済法を実施し、世界に先駆けて交換業者に登録制を実施しました。それに伴い登録業者と登録申請中のみなし業者に対し、顧客と交換業者の資産の分別管理に加え、システム管理や安全対策を義務付けました。
しかし、それだけではまだ十分とは言えません。例えば株は証券保管振替機構、預金は預金保険機構によって利用者の財産が守られているのに対して仮想通貨にはそうしたセーフティネットがありません。今後は仮想通貨でも同様の「安心して利用できる体制づくり」が急務といえます。
投資の対象としてはどうなんでしょうか?
仮想通貨で1億円以上の利益を得た人が「億り人(おくりびと)」などともてはやされ、若い世代を中心に昨年の後半あたりから仮想通貨に資金を投入する人が急激に増えました。これによりさらに仮想通貨市場は過熱することとなりましたが、その後の暴落からもわかるように、投資対象としてみると仮想通貨は非常に値動きが荒く、投資というよりギャンブルに近い投機であるといえます。
身近な人が大きな利益をあげたとしても、同じようにうまくいく保障は全くありません。もし資金を入れるのであれば無くなってしまっても困らない金額にとどめるべきです。
利益を上げた人の課税方法は?
仮想通貨を換金、又はお店で仮想通貨を使って商品を購入した時に仮想通貨の取得額と時価の差額に対して課税されます。税金の種類は「雑所得」で、所得に応じ地方税を含めて15%~55%の税率がかかります。
会社員の場合には、20万円を超える所得があれば確定申告が必要となります。また、仮想通貨を他の仮想通貨に交換した場合も値上がり益があれば課税されますので注意が必要です。課税に関する詳細は国税局のホームページでご確認ください。
まとめ
仮想通貨とそれを支える技術はフィンテックの中での重要な役割を担っていますが、それに対する法整備や取引所のシステムの管理体制にも課題があり、利用者にとってはまだ安全なものとは言えません。
しかし今後の仮想通貨のさらなる技術の進展と利用者保護の取り組みによっては、新しい決済手段や送金手段として私たちが安心して便利に利用できるものとなっていくでしょう。
Text:加藤桂子(かとう けいこ)
CFP(ファイナンシャル・プランナー)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
㈱ファイナンシャル ファシリテーターズ 代表取締役