公開日: 2020.05.20 資産運用

【株式投資指標のおさらい 前編】その数値が1倍を切ると投資好機といわれる「PBR」とは?

新型コロナウイルス感染問題で経済状況が激動していて、株式相場も例外ではありません。
 
日本の日経平均株価は今年1月に2万4100円台の高値を記録した後に、3月には一時1万6300円台まで急落。海外でも、3万ドルに届きそうな勢いだったアメリカのニューヨーク・ダウ平均株価が、3月に一時1万8200ドル台まで下落する局面がありました。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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上野慎一

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執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

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その数値が1倍を切ると、株式投資の好機?

投資には、リターン(得られる収益)とリスク(将来的な不確実性や変動要因)がつきものですが、「安く買って、高く売る」ことが王道のひとつです。そして、株式投資では「PBRの数値が1倍を切ると投資の好機」とよくいわれます。一体どのようなことなのでしょうか。
 
これは、【ある会社の株価が、その会社の解散価値を下回ったら割安な水準だと考えられる】ということです。例えば、株価500円で解散価値(1株当たり)は550円の会社があるとします。
 
この会社が仮に活動をやめて解散して会社の財産(資産)を株主に分配する場合、500円で1株を買っていた株主には550円が分配されます。解散価値以下の水準で株式を買うと、リスクが少なくなってリターンを得られやすくなるというわけです。

「PBR」とは

「PBR」は、英語「Price Book-value Ratio」の頭文字で、株価純資産倍率といわれるものです。会社(企業)の財産状況は、貸借対照表で【図表1】のようにあらわされます。
 


 
【資産=負債+純資産】という計算式なのですが、仮に会社の活動をやめて解散する場合には、負債の部分(借金やまだ支払っていないツケ)は返済する必要があります。このように、貸借対照表の資産から負債を引いたもの、つまり純資産の部分がその会社の解散価値となるのです。
 
そして、純資産を発行済株式数で割った数値が1株当たり純資産=BPS(Book-value Per Share)で、株価をこのBPSで割ったのがPBRです。その数値が小さいほど株価は割安で、1倍を切ると投資の好機だといわれることがあります。
 
このPBR、会社ごとの数値は証券会社のサイトなどで簡単に調べられます。また株式相場全体の数値の動きも、日本経済新聞のサイト(※1)や同紙上の「株式市場 ◇投資指標」の欄で日々の動きを確認することが可能です。
 
このうち日経平均のPBRの数値は、昨年12月30日(大納会)で【1.16】(加重平均・倍、以下同じ)が今年に入ると最高【1.18】(1月20日)でした。
 
しかし2月下旬より急落して、3月6日から1倍割れが続いています。3月は最高【1.03】(3月2日)から最低【0.82】(3月16日)で、4月は最高【0.96】(4月30日)から最低【0.87】(4月2日と3日)でした。
 
年明けの3ヶ月間だけで見ても、最低値は最高値の70パーセントを切っています。新型コロナウイルス感染問題が株式市況に及ぼしている影響の大きさが、こうした数値の動きからも実感できます。

「PBR」の特徴は

PBRは、貸借対照表の純資産の数値、いわばその会社の“過去の成績表”から計算されます。四半期決算が普通になっているものの、直近の短期的な業績や株価の変動に対応しているものではなく、将来の成長性などを反映しにくい側面があることも確かです。
 
とはいえ、株価の底値水準を見るうえで大きな目安にはなります。
 
過去12年程度の動きを見ると、日経平均のPBRが継続的に1倍を下回ったのは、「リーマン・ショック」(2008年)や「東日本大震災」(2011年)の影響による時期など限られていて、日次値としても【0.81】(2009年3月10日)が最低でした。こうした動きは、日経平均のPBRの動きをチャート図化したもの(※2など)で確認できます。

まとめ

今回の株式急落局面は「コロナショック」などと呼ばれています。日経平均のPBRでも、3月には計8営業日で0.8倍台を記録し、3月16日の【0.82】はリーマン・ショック時の最低値に近い水準でした。今後どうなっていくのか、まだまだ予断を許しません。
 
大きく下げた後は、反発して上昇する余地も広がるかもしれませんが、株式投資には「ハイリスク・ハイリターン」の側面が強くあります。また、日経平均など市場全体の指標に対して、個々の株価が全体の動向とは違った動きをすることも決して珍しくありません。
 
PBRが株式投資の判断基準として有用な場合も少なくはありませんが、特定の株式について今が投資時期として好機かどうか、そして実際に投資するかどうかは、結局、自分で判断して責任も取らなければなりません。無理を避けることが何よりも大切だと思われます。
 
[出典]
(※1)株式会社日本経済新聞社「ヒストリカルデータ」~「日次投資指標 株価純資産倍率(PBR) 加重平均(倍)」
(※2)株式会社ディーボ「投資の森」~「日経平均株価 PBRチャート」(チャート下の期間選択ボタンのうち「ALL」を押下)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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