更新日: 2020.04.07 その他資産運用

「年金だけでは不安だけど、投資も怖い」投資初心者が商品を選ぶ場合に注意すべき点

執筆者 : 中田真

「年金だけでは不安だけど、投資も怖い」投資初心者が商品を選ぶ場合に注意すべき点
金融庁が「老後の生活資金は2000万円の金融資産が必要」と発表したことによって、年金だけでは老後は生活できないのかなど、世間で大きな不安が広がったのは、つい最近のことです。
 
ただし、本当に老後の生活資金が2000万円必要か否かについては、老後の生活資金の中心となる年金の受給額や、老後の生活に対する「その人の考え方(生活スタイル、労働収入の有無など)」によって大きく異なります。
 
もし、老後の生活資金が不足すると考えられる場合、「投資」で不足分を補うという選択肢もありますが、投資初心者にとっては、投資に対して不安や抵抗感があるという人も少なくありません。
 
今回は、貯金(積立)だけで老後資金は準備できるのか、投資初心者が投資商品を選ぶ場合に注意すべき点などについてお話しします。
 
中田真

執筆者:中田真(なかだ まこと)

CFP(R)認定者、終活アドバイザー

中田FP事務所 代表

NPO法人ら・し・さ 正会員
株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師

給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP(R)資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
https://nakada-fp.com/

貯金(積立)だけで準備できるのか

貯金(積立)で老後の生活資金を準備する場合は、「目標金額」「目標時期(期間)」を決めることで、毎月の積立金額(概算)を算出することができます。例えば、35歳の人が65歳までに老後の生活資金2000万円を準備したい場合で考えてみます。
 
・目標金額: 2000万円
・目標時期(期間): 65歳(35歳から65歳まで)
(積立期間は30年間・360ヶ月)
 
毎月の積立金額(概算): 2000万円 ÷ 360ヶ月 = 約5万6000円
(利息などは考慮していません)
 
このように、目標金額や目標時期(期間)を定めることによって、毎月の積立金額(概算)を目安として知ることができますので、老後の生活資金の準備方法も含めて、本当に貯金(積立)だけで、老後の生活資金を準備することができるのかなどの判断材料とすることができます。
 

投資初心者が注意すべき点とは

注意点1)投資とリスクの関係を理解する
投資には、大小さまざまなリスクが伴います。一般的に、リスクが大きいほどリターン(結果)も大きくなり、リスクが小さいほどリターンも小さくなるという関係があります(例えば、大きな利益が出そうな商品ほど、大きな損失が生じる可能性があるなど)。
 
【リスクの大きさと投資先の一例】※例外もあります
普通預金 < 債券(国債・社債など)< 投資信託、国内外の株式
 
投資をする際は、リスクの関係と自分の目標(金額)等を踏まえた上で、自分のリスク許容度に合った金融商品(投資先)を選ぶ必要があります。
 
注意点2)投資に回せるお金の考え方
手元にあるお金は一般的に次の4つに分けることができます。
 
・日常の生活に使うお金
・使う予定のあるお金(子供の教育費など)
・使う予定がないお金(貯蓄に回せるお金)
・急な出費に備えるお金(病気など)
 
手元にあるお金をすべて投資に回すということではなく、この中の「使う予定がないお金」が、投資に回せるお金であるとお考えください。
 
もし、それ以外のお金も投資に回してしまった場合、いざという時に困ることになるからです(投資先によっては、元本割れなどのリスクがあるなど)。
 

投資初心者向けの金融商品などについて

まずは、(投資を勉強するという意味も含めて)リスクが低い金融商品を少額から始めてみることをお勧めします。また「つみたてNISA」の制度を使って、投資を始めてみるという方法もあります。
 
つみたてNISAは、少額から長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度で、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、一定の要件を満たしている公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されているため、投資初心者にとって利用しやすい仕組みとなっているからです(ただし、元本割れのリスクなどもありますので、デメリットについても理解が必要です)。
 
老後の生活資金の準備方法として、貯金(積立)だけではなく、デメリットなどを理解した上で「投資」を検討してみるという選択肢もあります。ただし、目標金額や自分のリスク許容度などを考慮に入れて、自分にとって本当に投資は必要なのかを考えることが大切です。
 
最後に、投資はご自身の判断と責任で行ってください。
 
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー