更新日: 2020.04.06 その他資産運用

「投資」と「投機」の違いを分かりやすく解説

執筆者 : 小沼鮎子

「投資」と「投機」の違いを分かりやすく解説
人生100年時代といわれ、資産運用を視野に入れて財産形成を考える人は多くなっています。
 
「投資」と「投機」という言葉は運用をしたことがある人なら聞いたことがあると思いますが、したことがない人にとっては、どちらも同じようにとらえられているのではないでしょうか? 今回は似ているようで実は性質が異なる、2つの言葉について考えてみます。
 
小沼鮎子

執筆者:小沼鮎子(こぬま あゆこ)

ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者

大学を卒業後、大手証券会社に就職。約10年間、個人のお客様への資産コンサルティング業務に主に携わる。勤務中に、資産コンサルティング業務の延長線上に、ファイナンシャルプランナーという仕事があることを知り、お客様に寄り添ったコンサルティングができることに共感し、資格を取得。アメリカでは資産管理の一生涯のパートナーとして時には金融に詳しいお茶飲み友達として身近な存在であるファイナンシャルプランナーという仕事を、日本でも普及させたいという志を持って一般の方への情報発信をしている。

「投資」「投機」とは?

「投資」と「投機」という言葉は数値などで明確な線引きがされておらず、はっきりと定義されているわけではないですが、一般的に「投資」とは会社の価値やその会社が将来生むことができる利益などに、長期的な視野で資金を投じることをいいます。
 
株式の仕組みで考えてみましょう。株式は会社が発行し、出資主となる株主を募ります。株式に投資をして、株主になると株主総会に出席して意見をいう権利が得られるほか、その会社に利益などの余剰金が出たら、配当や優待というかたちで還元を受けることができる仕組みになっています。
 
また、その会社の業績が上向くことで株価が上がれば、そのぶんの値上がり益を享受できます。これにはもちろん投資家はなんらかのリスクを負うことを前提とします。このように、投資とは将来成長しそうな会社を探してその会社の株を長い目で持ち続けることなどがあげられます。
 
「投機」とは機会に投じると書くとおり、短期的な値上がりのタイミングを狙って資金を投じることをいいます。
 
投資先の会社の成長や、その資産自体の価値が増えることを望むというよりは、その時の利ざや(売値と買値の差額によって生じる利益)を目的としています。デイトレードがこれに近いといえるでしょう。投機的な取引で大きな財産を築かれた人もいることは事実です。
 
ですが、短期的に得られる利幅は大きくないことが多いので、そのぶんレバレッジをかけたり、回数をたくさん稼がなければならなくなったり、より大きなリスクがあるということは頭に入れておかなければなりません。
 
また、投機と同じようにとらえられがちな「ギャンブル」ですが、これも明確な定義はないものの、筆者は両者を異なるものだと考えます。ギャンブルは娯楽やゲーム性が強く、主催者が一定の取り分をとった後の残りが分配される仕組みだと考えます。
 
投機的取引では、誰かの利益が誰かの損失になることから「ゼロサムゲーム」といわれるのに対し、ギャンブルは主催者が勝つように計算されているため、「マイナスサムゲーム」と考えることができます。
 

おすすめ関連記事

「投資」を、心がけましょう

株式は長期的な視野で、その会社を一緒に成長させていくつもりで保有するものと考えられています。長期保有株主に対する株主優待が存在することも、そのような意味を踏まえているのでしょう。
 
本来はこのような、長期的視野で資産を投じる「投資」の意味合いが強い方が好ましいと考えられてきましたが、近年では「投機」といわれるような取引も多数を占めているのが現状です。
 
情報技術(IT)が普及する以前は株の注文は電話でしなければならず、気配値も個人投資家がリアルタイムで見ることも困難でした。
 
近年の情報技術(IT)やインターネット取引専門証券会社(ネット証券)の普及で、デイトレードが個人でも容易にできるようになり、投機的な取引が増えたということも事実でしょう。
 
投資と投機、そしてギャンブルは似ていますが違うものです。「株はこわい」「投資はギャンブルだ」という声をたまに聞きますが、これらの言葉の認識が正しくされていないので、そのような誤解が生まれるのではないでしょうか。
 
これから資産運用を始められる人は、「投資」と「投機」の言葉の違いを理解してから大切な資産の活用法を考えるといいですね。
 
執筆者:小沼鮎子
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者