更新日: 2019.06.13 その他資産運用
資産運用は続けることがポイントであるワケ
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ
保険代理店勤務を経て独立。資産運用と保険に強いファイナンシャル・プランナーとして、子育て世代向けに相談やセミナーを行っている。全国どこからでも受講可能なオンラインセミナーを毎月開催。自宅で学べる手軽さと講座内容のわかりやすさが好評。子どもが寝てからでも参加できるよう、セミナーや相談は夜も行っている。
利益を確定するタイミングが難しい
資金が必要になった場合を除き、積立中の資金を売却することは、基本的には考えなくても良いでしょう。なぜなら、その時が売却のベストタイミングかどうかは、分からないからです。
利益を大きくするためには、買ったときよりも、より高い価格で売ることです。しかし、今が高い価格かどうかは、誰も分かりません。その後、価格は下がり続けるかもしれませんが、上がり続けるかもしれません。そのタイミングは、プロでも見極めるのが難しいものです。
「あの時が売り時だった」と分かるのは、その時が過ぎて、はじめて分かることです。ですから、利益確定は基本的に行わなくても良いでしょう。
なお、資金が必要になった場合とは、その資金で何かを購入するときです。例えば、老後が近づき生活費にあてたい、家のリフォームや子どもの進学費用が必要になった。あるいは、別のもっと良い投資先が見つかり、運用中のお金をまわしたい、などが考えられます。
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複利の効果を活用できない
複利とは、利益が出たときに利益を元金に組み入れ、また運用することです。利益をさらに運用することで、利益が利益を生み出します。つまり、複利の効果は、お金が自動的に増える仕組みなのです。
例えば、100万円を運用し、1年間の利回りが10%だったとすると110万円になります。そして110万円を運用して、また10%の利回りだったなら121万円になります。
さらに、121万円を運用して、10%の利回りだったなら133万円になります。1年間に得られる利益の額は、10万円、11万円、12万円と、年数が経過するにつれ、大きくなっています。
つまり、利益が利益を生むと、雪だるま式に利益が増えていくということです。しかし、これは、毎年同じリターンを得られた場合のシミュレーションです。
現実的には、積立投資で毎年一定の利益を得られ続けることは、ありえません。ですから、利益が順調に雪だるま式に増えていくことはないでしょう。
しかし、複利の効果がなくなるわけではありませんし、長期運用で利益が安定してくると、複利の効果は大きな力を発揮します。その効果は、長期であればあるほど大きいですから、利益確定せず、運用し続けることが資産を増やす法則と言えるでしょう。
利益確定後のお金の置き場所
もし、利益確定したのであれば、その資産はどこにおいておくでしょうか?自分が使っているメインバンクの口座に入れておくという方が多いのではないでしょうか。
あるいは、証券会社の総合口座に入れたままにしておく方も多いと思います。使い慣れた銀行口座や証券口座に資産を置いておけば手続きなど考える必要がないので楽です。
しかし、それらの口座では資産を増やすことはできません。であれば、利益確定せず運用をし続けたほうが資産を有効活用できます。
利益が減ってしまったら
利益確定しなかったために、利益が減ってしまった。あの時、利益確定しておけばよかったと思うこともあるでしょう。しかし、いつまで価格の下落が続くのかは分かりません。上がったら下がる、下がったら上がる、を繰り返すのが相場です。
積み立て投資は、続けてこそ収益を得られやすくなる方法です。一時的なマイナスは受け入れ、10年、20年という長期的視野を持った運用スタンスで積み立て投資を続けることが大切です。
資産運用は続けることがポイント
以上のような理由から、積立投資においては、基本的には利益確定は不要です。マイナスになっても、利益が減ってしまったとしても、資金が必要になるその時まで、運用し続けることが資産運用を成功させるポイントといえるでしょう。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者