更新日: 2019.07.01 その他資産運用
究極のバランスファンドを構築しよう!
しかしよくよく考えてみたら、我々はどんな仕事やビジネスをしていても、お金を貯めるという公式は「収入−支出=貯蓄」であるという構造が変わることはありません。
ライフプランからキャッシュフローを導き出したとして、収入をちょっとあげて、支出をよりコントロールし、貯蓄を増やしていく、というのがいつも正確になるわけですが、実際にはこのような単純なことばかりではありません。
資産運用が各個人にとって、どのような意味を持ち、どのような効果を発揮するかを一概に言えるわけではありませんが、可能な限りシンプルにその本質に迫ってみたいと思います。
執筆者:野原亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP
確定拠出年金創造機構代表
https://wiselife.biz/fp/rnohara/
現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。 2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。生活に密着したお金の話は「人生有限、貯蓄無限」と考え、公的年金や資産運用のアドバイスも。2017年、DVD「一人社長・夫婦経営の社長のための確定拠出年金」を出版
(https://www.amazon.co.jp/dp/B073JFYMQV)
常に全体を見ないと自分にあったやりかたは見つからない
収入は場合によっては、実際よりも少なく操作することは可能ですし、支出はより効率的に多くすることも可能です。
貯蓄についても、コントロールされた収入と支出により、より多く蓄えることが可能ですし、またちゃんと管理された資産運用を実践することで、一般的な預金金利に左右されない運用も可能になります。
収入
・増やす
・複数にする
・少なく見せる
支出
・節約する
・効率的な出費をする
・より多く計上する
貯蓄
・増やす
・減らした支出分を資産に組み入れる
・より効率的に運用する
ビジネスをよりうまくまわす、仕事を頑張って給料をあげるといった直接的な収入の話はいったん置いといて、自分のライフスタイルに合った支出のコントロールと貯蓄の増加に欠かせない視点をご紹介していきましょう。
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ざっくりと「保障」と「貯蓄」にわける
まず大切なのは、生活保障と資産運用ということになります。
生活保障には、まず住居費・水道光熱費、食費などのような最低限の生活を営むための「生活維持費」があります。
また、いざという時の出費に備えるお金も必要ですよね。それから病気やケガなどで長期間働けなくなった時に備える保険や、早くに亡くなった時の遺族保障の保険にまわすお金、それなりに大きな、臨時的に発生する出費に備えるお金としての「生活防衛費」も必要です。
つまり、生活保障で活用するのは、流動性の高い貯金や保険などで賄うことになります。このうちの貯金は「無リスク資産」と呼び、貯金・国債、あるいは為替ヘッジ付先進国債券などを組み入れた投資信託・ETF(上場投信)などで準備していくことになります。
一方貯蓄は、無リスク資産とリスク資産(株式・債券・REITなど)を、リスク分散された状態の塊(ポートフォリオ)として、長期国際分散投資をしていくのが良いでしょう。
資金的余裕がない場合はどうするか?
現状で生活防衛費が少ない、無リスク資産が少ない、つまりリスク資産の運用をする余裕のない方などの場合でも、前述の分け方を意識して資産を貯めていくことをオススメします。
本来であれば、生活スタイルや家計の状況に合わせ、数ヶ月〜2年分程度の無リスク資産があると良いのですが、無リスク資産が貯まってからでないと、リスク資産の運用をしてはいけないわけではありません。
その間、インフレや円安などが急進行すると、リスク資産が全くないか、あるいは無リスク資産も脆弱だと、想像以上に家計を圧迫されてしまうからです。どちらにしても、無リスク資産を含めて、ひと塊りとして資産運用すること自体が、様々なリスクから家計を守ってくれるでしょう。
また、比較的余裕のある場合、無リスク資産が資産運用の中に組み入れられていると、運用しながら当初想定した資産配分から崩れた時に実行する「リバランス」がわかりやすくなりますし、何かの出費のために、いざという時にまっさきに取り崩すこともできるので、臨機応変に資金需要にも対応しやすくなります。
究極のライフスタイルバランスファンドを設計しよう!
バランスファンドとは、株式や債券、または他資産などを含め、複数の資産を含む投資信託を「バランスファンド」といいます。一般的には資産運用の手段のひとつとしての投資信託の話となります。さらにもっと多きな視点で、バランスファンドのような感覚を、人生の生活設計や家計に取り入れてみてください。
「稼ぎ」は増やしていくことはもちろん、安定させていく、複数持っておくことも大切でしょう。「生活保障」には、その「稼ぐ力」を守る役割があります。いまの稼ぎが続かなくなった時でも、生活を維持できるように備えます。
「資産運用」は、主に稼げなくなる老後に備えるということもありますが、インフレ対応だけではなく、時代の変化スピードに取り残されないように各資産をもっておくという目的もあります。
「稼ぎ」「生活保障」「資産運用」を常に三位一体でそれぞれバランスをとりながら、自分にあったやり方でバランスファンドを長期運用しているような感覚で、ぜひ人生設計をしてみてください。
執筆者:野原亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP